Go to NoobowSystems Lab. Home

Go to Research and Computing

Astigmatic Astronomer
Observation log by an astigmatic astronomer who still cannot tell which is Deneb or Vaga.

いまだにどっちがデネブかベガかわからない、乱視の天文学者の観測メモ。 他のページと同様、なにも期待しないでください。

[Jump to the latest topic]

そもそもそれまで生きていられるのだろうか?

    小学3年かそこらのころ、小学館の図鑑をよく眺めていました。 「気象・天文」は特に好きで、ヘルツシュプルング・ラッセル図とかバン・アレン帯とか、 まだよくわからないくせに不思議な世界に引きこまれていました。
    日食がどうして起こるのか、どうして毎月1回必ず起きないのかは理解できていたし、 その予測は軌道計算によってずっと未来まで可能なのだということも頭ではわかっていました。 が、図鑑に載っていた2009年7月の日本での皆既食の予言はショッキングでした。 それって40年も先じゃないか! そのとき自分はどうなっているんだろう、そもそもそれまで生きていられるのだろうか?

    それだけ印象深かったので、7月22日は年度が変わってすぐに休暇予定にしていました。 ポゴには「ポゴ、今日のお昼ころ、太陽が月に隠れちゃうからね。日食っていうんだ。 パパはきょう日食が起こることを40年の前から知っていたんだよ。」 地方都市の一戸建てに住む平凡なサラリーマン、というのは、幸せではあるけれど、 予言されてもあまりうれしくなかっただろうなあと思います。

    さて、もうすこしで食の開始。 真剣に観測してやろうなんてつもりはさらさらなく、 ただ40年前の図鑑に書いてあったことが本当に起きるかどうか確かめられればよかったのです。 だから皆既帯まで出かけようというつもりもなかったし、 観測機材もまったく---簡易サングラスさえ---用意していませんでした。 それに・・・なんとなく天気が悪くて見られないのではないかという予感がしていたのです。

    そして予感は的中。朝から曇り空で、青空が覗く気配はまったくありません。 庭にチェアを出し、ワインを舐めながら、あたりが暗くなって行くのをぼんやり見ていました。 チェアの脇においたNoobow7100コンピュータには、 はるばる離島に赴いた観測チームのライブカメラが恨めしそうに曇り空を映し出していました。
    事前準備といえば、各地のライブカメラで安定していそうなサイトをあらかじめ探しておいたことくらい。 振り向けば、部屋の中でNoobow9100とNoobow6200コンピュータがそれぞれ別サイトのライブカメラを表示しています。

    正直にいうと、70%を超える食ならもっと暗くなるだろうと思っていました。 実際には測定値としての明るさはずいぶん下がっているのだろうけれど、 台風の時の方がもっと暗いだろうと思う程度でしかありませんでした。がっかり。
    と、一瞬だけ雲の薄くなったところから太陽の形が見えました。 もう最大食をずいぶんすぎてしまっていますが、はっきり欠けています。 サングラスなしに直視で普通にみることができました。 デジタルカメラでの撮影も、なにも工夫せずただシャッターを切っただけ。

    よし、小学館の図鑑は間違っていなかった。観測報告書に書くにはそれで十分です。

...and everything under the sun is in tune,
but the sun is eclipsed by the moon.

    ともあれ、生きているうちに1回は皆既を体験したいなあ。 次に日本で見られる皆既食は…ええっ、そんな先? そのとき自分はどうなっているんだろう、 そもそもそれまで生きていられるのだろうか?



ガリレオ衛星

    ポゴとホームセンターに買い物に行き、出目金を1匹ビニール袋に入れてもらってチェックアウトしようとしたら、 レジの近くのワゴンセールで天体望遠鏡が売られていました。 ひとり心静かに星を見上げるだなんてなんて優雅な時間の楽しみ方なんだろう! ま、低価格の入門機では月面とか金星の満ち欠けがせいぜいだし、そもそも私はひどい乱視で、 明るい星はいくつにも分かれて見えてしまうので、買ったとしても楽しめないだろうなあ。
    と思いながらよくみると、立派な赤道儀に載った反射型で、 USB接続のCCDアイピースがついているからPCのモニタで見ることができる! これならオレの老いた目でも見えるぞ! 値札をみると、箱がかなり痛んだ展示品処分でなんと半額。 子供のころ欲しいだなんてとても言い出せないような贅沢品だった天体望遠鏡、 それも赤道儀のニュートン式反射望遠鏡に手が届く! 「ぱぱー、これでなにするの?」 「ポゴちゃん、これは望遠鏡だよ。メイジーのビデオでチャーリーが持ってたのよりもずっと性能のいい反射型だ。 これならお月さまやお星さまがすごくきれいに見えるよ。それに…今年は 世界天文年 だしね。」 そう、今年買わずにいつ買うっていうのだ?

    駐車場のデリカまで大きな箱を運ぶ私に、 金魚をぶら下げたポゴは「ぱぱー、またおおきなのかっちゃったねー。ままはなんていうかなあ。」

    いきなりリビングで組み立て始めた私を見てヨメは意外にも驚かず、「とうとう手を出したか。」 ポゴの教育のためだ、と私が言い出すのを待っているかのようです。 レシートを見ながら 「へえ、けっこう立派じゃん。この間もらった引き物のギフトカタログに載ってた屈折式を頼まなくてよかった。」

2009-03-01 Kenko SW-V PC 通常店頭価格29800円のところ展示処分品につき半額

    実際には望遠鏡を引っ張り出して星空を見上げるほどの心の余裕など残っていない日々がつづき、 ケンコー・スカイウォーカーはリビングの一角を無駄に占有するだけでした。 が、子供のおもちゃには見えない立派な天体望遠鏡というのは案外にかっこいいインテリアで、 場所ふさぎなのは間違いないながら、ヨメもまんざらでもない様子。

    9月の連休、ひさしぶりに午後をまるまるのんびりと過ごせました。 何をするでなし、ポルコ・ロッソ・モードで昼間から庭のチェアでワインをちびちびやりながらのんびり。 少し元気が出てきました。 翌20日は抜けるような秋の青空が夕方まで続き、南東の空に木星が明るく輝き始めました。 2週間前の夕方はこの木星の近くを、 STS-128ディスカバリーがドッキングしたISSが同じようにまばゆく輝きながら北東に向かって飛んで行っていたなあ。 あれは美しかった・・・そうだ、今夜は木星を見よう。

    望遠鏡を庭に引っ張り出し、木星に向けます。 ファインダーの調整も赤道儀の調整もできていないのですが、 さすがにマイナス2等の木星はさほど経たずに視野にとらえることができました。 あれ? ピントが合わないな。 どうしても光は一点に集まらず、円盤状にしかなりません。 なにか間違っているかな?それともオレの乱視ではこんなものなのかな?・・・そうじゃない、これでいいんだ!

    小学3年生のとき金持ちの友達が持っていた屈折式と違って、 この望遠鏡では木星は点ではなくて大きさを持って見えるんだ! 目をこらせば、木星特有の縞模様が見える!! さらに木星の両脇に一直線に、えらくバランスが取れた配置で4つの小さな星が並んでいます。 これはひょっとして…ガリレオ衛星?

    それは間違いなく、イオ・エウロパ・ガニメデ・カリストでした。 いまからちょうど400年前にガリレオ・ガリレイが手製の望遠鏡で観測し、 木星の周りを回っている衛星であることを確信した4つの衛星です。 いままで写真でしか見たことがなかったけれど、月以外の本物の自然衛星からの光をこの目で見たぞ!!

    あわてて工人舎SA5 Noobow7100コンピュータに専用ドライバをインストールし、 デジタルアイピース (*1) を取り付けてみます。 クロック500MHzのAMDプロセッサでは5fps程度しか出ないけれど、 デジタルアイピースは木星と4つの衛星からの光をとらえ、Noobow7100のLCDにその姿を映し出しました。わあ!

    ごく淡い木星の縞模様はデジタルアイピース上ではまったく見えず、 像もぼやけていて大きく尾を引いてしまいます。 それでもしっかりガリレオ衛星を引き連れて天空を横切っていく木星の姿をムービーにとらえることができました。 ホームセンターの展示処分品でこんなことができるだなんてすごい! 望遠鏡を買った日の夜に初期不良チェックとして星を一つ二つ見はしたけれど、今夜が真のファースト・ライト。

    望遠鏡を片づけ、ムービーファイルをNoobow6100 Fadoraサーバにアップロードし、じっくり見直してみると、 あれ? 1時間にも満たない時間間隔なのに、衛星の配置は明らかに変化しています。

    天文年鑑2009年度版をとりだし、ガリレオ衛星の運動図を見てみると、それで正解。 公転周期がわずか1日と18時間半のイオをはじめ、これら4つの衛星は実に短時間のうちにその配置を変化させるのです。

    木星のすぐ近くに一列に4つの小さな星があって短時間のうちに位置が変わっていくこと。 数日間の観測ののち、これらは木星の周りを回っているとしか考えようがないこと。 そして木星に近い方から3個の星の運動周期は正確に1:2:4の比率を持っていること…を知ったときのガリレオの驚きと興奮がいかほどであったか。 400年後のいま、私もそれを楽しむことができました。

    木星の縞模様をもうすこしはっきり、できれば大赤班をこの目で見てみたいなあ。 わずか15秒で視野から出てしまいしょっちゅう微動ノブで追いかけるのは面倒だからモータードライブがあれば便利だろうなあ。 月の摂動を観測してみたいし、金星の満ち欠けも一通り観察したいし、火星接近時にははたして極冠が見えるかどうか試してみたいし。
    性能のよい一眼デジタルカメラとマウントを使えば付属のデジタルアイピースよりずっときれいに見えるだろうし、 それで写真を撮れば天王星・海王星もわかるかもしれない。 彗星の写真も撮ってみたいし、プレアデス星団はどうみえるだろう。 今年は真横なので無理だけど、小学生のときに見た土星の環ももう一度見てみたい。

    むう、これは楽しい。夢中になってしまう人が大勢いるのも当然だな。 自宅にドームとまで行く気はないけれど、なんとなくもうちょっと投資してしまいそうな気がします。

2009-09-20 木星とガリレオ衛星を観察

*1 ケンコーの商品名は「デジアイピース」ですが、本稿では以降「デジタルアイピース」と書きます。


Images taken by the Kenko Skywalker V 114mm Newtonian Telescope combined with Kenko SN9C102 Digi-Eyepiece CCD camera, sold at a nearby DIY shop with a bargain price of 149USD. I could never afford telescope for me when I was a kid; now I go back to my 10 years old and begin exploring the universe.


2009-09-20 Jupiter and Galilean Moons
02643 Jupiter -2.7
J1 Io 5.0
J2 Europa 5.3
J3 Ganymede 4.6
J4 Calisto 5.6


やっちゃった

    夕暮れの空に半月が出ていたので観てみようとSky Walker Vを引っ張り出したら・・・ カーテンがひっかかって見事に望遠鏡を倒してしまい、バキッという音とともになにかが飛んで行きました。 ああっ、やっちゃった。

    壊れたのは接眼鏡取り付け部でした。プラスチック部がみごとに分離しています。 ううう、まだほんの2時間くらいしか使っていないのに。
    幸い、破断面はきれいでした。変形はありません。 シアノアクリレート接着剤は効きませんでしたが、ボンドG-17ではうまく取りつきました。

    接着剤が乾くまで待ち、星を見てみると、鏡筒や反射鏡にダメージはなかったようです。ああよかった。
    気を取り直して半月を観ます。クレータがくっきり。 デジタルアイピースではかなり拡大されますが、なかなか実視のような美しさは得られません。 付属のビデオキャプチャソフトウェアは明るさやコントラスト、ガンマなどのパラメータを調整することができます。 が、映像を見ながらではプロセッサパワーをずいぶん食われてしまうため、 Noobow7100 工人舎SA5では調整パネルの操作がとてもスラギッシュです。 調整に手間取っているうちに月面が画面外に出てしまうため、 赤経微動させてまたSA5に戻り…なかなかきれいになるセッティングが見つかっていません。

    9月20日に木星を観たときはいちばん低倍率の接眼レンズとバーローレンズだけしか使っていませんでした。 今回はより倍率の高い接眼レンズを試しましたが、大きくはなるもののくっきり見えるようになるわけではないので、あまりメリットはありませんでした。 今日のガリレオ衛星はずいぶんバラバラな配置。先日はたまたま端正な配置だったんですね。

    庭は南側なので、北極星を使った赤道儀の校正ができません。 ので調整はいいかげんなまま。 ですが、なかなかうまく星を追尾できないのはそれだけが理由なのではなさそう・・・赤道儀の水平回転部がなにか変なのです。

    まず赤道儀と三脚との結合部である水平回転部がグラグラしています。 なめらかに水平回転してもらいたいところなのですが。 つぎに、水平クランプをどうきつくしめても、水平回転部はまったくロックされません。 これでは観測中に赤道儀が水平に回ってしまい、赤経微動だけで追うどころではありません。 回転軸が多少ぐらついても水平クランプで締めてしまえば固定されそうなのですが。

    どうにも変なので、三脚から赤道儀を取り外して水平回転部を調べてみます。 ぐらつく原因はわかりません。 水平クランプは…クランプねじが短すぎて、赤道儀側の回転部円周までねじが届かないのです。 組み立てる際にどれか別のクランプと間違ってしまったかなと思いましたが、そうでもなさそう。 どうやら、バランスウエイトのクランプがそうであるように、クランプねじの奥にピンを入れておく構造のようです。 そのピンがないために、いくら締めてもロックされないのではないかと。 私のSW-V PCは店頭展示品の現品処分でしたから、 組み立て展示・分解箱詰めのときに細かな部品をなくしたことに気づかないことはとてもありえそうです。
    バランスウエイト用のピンは太すぎてだめでした。 硬いステンレス製の、適当なサイズのピンはないかな。 手持ちの機構部品ジャンク箱を探したら、小さなアルミスペーサパイプがありました。 少し細すぎ、かつ強度は明らかに足りませんが、試してみるとうまい具合に水平回転部がロックされました。やったね。 水平回転部がきちんとロックできたら、今度は三脚のねじれが気になります。鏡筒の揺れを減らすにはもうひと工夫必要。

2009-09-26 SW-V PC 転倒させ接眼部破損 修理


Accidentally flipped down the telescope...

アンドロメダ銀河にチャレンジ

    今夜はこれまた星がきれい。ちょっと観てみようかな。 あいかわらず赤道儀の校正を行わないままの素人お手軽観測ですが、 望遠鏡の取り扱いも少しずつ慣れてきました。 木星をちらっと観たのち、東の空に鏡筒を向け、プレアデス星団を観てみます。 おおっ、こんなに星があるんだ! いちばん倍率の低い接眼レンズでさえ、 大きく広がるプレアデス星団は視野に収まらず、部分しか見えません。 が、そのかわり多くの星がにぎやかに輝いています。こりゃ六連星どころじゃないな。 背景のぼんやりしたガスは見えませんでした。

    つぎに、半信半疑でアンドロメダ銀河にチャレンジ。 いったいアンドロメダ銀河ってどこにあるんだろう。 星図を見てだいたいの見当を付けて望遠鏡を向け、数多くの星が散らばる海を進んでいくと、 突然ぼんやりしたものが視野に入りました。 年寄りの目のかすみ? でも、周囲の星はくっきりピントが合っています。 どうやらこれがアンドロメダ銀河のようだ…でも楕円には見えず、円形に近いので、はたしてこれがそうなんだか。 もしかして別のものを見ているのではないかという疑念を晴らせません。 まだ不慣れなので赤道儀目盛を使って別の星からの角度で調べることもできないし、 なにしろふつうこのクラスの望遠鏡でどのように見えるのかもわかっていないし。

    もしこれがアンドロメダ銀河だとして・・・多分そうだと思いますが、230万光年も離れたモノを見たことになります。 自分の目でみたものとしては明らかに最遠だし、230万年前に出た光をいまやっとみたわけですから。

    さらに考えてみるとこの低価格天体望遠鏡は、 エレクトロニクスの助けなしに230万光年かなたのアンドロメダ銀河を見せてくれたわけです。 ちょうど大きなアンテナを使ってゲルマラジオを聞いているようなわけで、ある意味驚き。

    次はオリオン大星雲を狙います。 これはさすがに星図を頼ることなく、小学生のときの知識だけで視野にとらえることができました。 ほんとだ、ぼんやり星雲が見える! こりゃあきれいだなあ。 でもトラペジウムは、乱視の目には見ようによって3個にも見えるし10個くらいにも見えるし、困ったもんだ。

    今夜は練習と考えたのでデジタルアイピースは使わず (写真は後日撮影)。 片づけ始めたら、頭上をオリオン座流星群の火球が派手に火花を散らしながら飛び去っていきました。




The performance of Kenko Digi-Eyepiece, also marketed from other brands, is a toy level. It can detect objects only up to apparent magnitude of 6, and its field of view is approx. 0.2 degree of arc. There are not so much scenes where multiple bright objects located within 0.2deg, therefore in the most of the case the Digi-Eyepiece output image only carries a single dot. The orion nebula is beautiful in the telescope, but the Digi-Eyepiece barely shows only three from famous four star, the trapezium.

2009-10-18
M45 Pleiades
M31 Andromeda Galaxy
M42
Orion Nebula / Trapezium
Orionids

明るい星

    今夜も練習。細い月の後、明るい星をいくつか見てみます。 みなみのうお座のフォマルハウト、わし座のアルタイル、こと座のベガ。 デジタルアイピースでは真ん中の明るい星しか写らず、寂しいです。 もっとも今夜はうっすら雲が出ていて明るい星しか見えないせいもありますが。
    今夜も片づけている最中にオリオン座流星群の流星が一つ見えました。 せめてピークの間くらいと思い53.748MHzをしばらく聞いてみましたが、おかしいなあ、流星エコーは一回も聞こえません。 ベランダダイポールが鯖江に対して90度近い向きになっているからなのかな?



2009-10-21
α PsA
Formalhaut
α Aql
Altair
α Lyr
Vega 0.00
Orionids
ホームセンター天文学

    今日は金曜日。早く帰れたし、ゆっくり星を観よう。 木星の縞模様をなんとかデジタルアイピースで撮影できないものかといろいろ調整してみましたが、 まだうまくいっていません。 さらに本日は、デジタルアイピースの調子がいまひとつ。 ビデオキャプチャプログラムのプレビュー画面でみると、最初の10秒かそこらで映像が途切れてしまうようになってしまいました。 それに気づかず、接眼レンズではしっかり見えるのになんでデジアイピースでは見えないんだろう、 としばらく格闘してしまいました。 Noobow7100のWindowsXPを再起動し、 ビデオキャプチャプログラムのプレビューをいったんOFFにして再度ONにしたら途切れなくなり、問題解決。 でもドライバかどこか、不安定な印象があります。Noobow7100がパワー不足なのも一因なのかな。 そんなことをしていたら、まもなく全天曇り空になってしまい、今夜はおしまい。

    望遠鏡を部屋に引き上げ、揺れを減らせないものかといじっていたら、 三脚の脚取り付けボルトが1本緩んでいることを発見。 締めたら、三脚のねじれは明らかに減りました。 ほかのボルトもきつく締めて、かなりの改善。やったね。
    赤道儀ベースのがたつきはやはり原因不明。製造不良なのかなあ。 赤経軸がクランプをきつく締めてもがっちりせず、数度ふらつくことにも気がつきました。 最初からこうだったのか、倒してしまったためのダメージなのかは不明です。この対策はどうする? ケンコースカイウォーカーSW-VPCは結局のところホームセンターの低価格モデルなので、 一見立派に見えても細部の製造品質はやはり安物、だとしてもまったく不思議ではありません。

    デジタルアイピースが付属していてPCの画面で見られるというのはこのモデル購入決断の最大の要因でしたが、 さすがにその撮像性能はトイレベル。 説明書には感度50luxとあります。 それでもガリレオ衛星はしっかり見えましたから、実視等級4等くらいまでは間違いなくいけるわけです。 もうすこし工夫してみよう。
    この製品の数万倍の感度を持つCCDカメラが数万円程度で買えるようです。 今の1万倍の感度なら14等級まで写るわけで、すごそう。 ううう、今年の冬はボーナス出るのかなあ。

2009-10-23 三脚緩み修正

アンドロメダとオリオンの往復

    美しい星雲や銀河の写真はよく見かけますが、よっぽどの倍率でないと見えないんだろうなと長いこと思っていました。 が、たとえばアンドロメダ銀河やオリオン大星雲などは、実はいちばん倍率の低い接眼レンズでも視野いっぱい以上に広がっています。 星雲・星団を楽しむなら倍率は低くてよく、倍率が高いと淡い雲がかえって見えにくくなります。明るさと分解能のほうがずっと重要。

    なるほど、このへんはその昔の短波受信機の性能の話と似ているな。 当時の入門者、たとえば小学4年生だった私は、ラジオを買うなら予算の中で一番感度のよいモデルを選ぶべきだと考えていました。 が、使い始めてしばらくすると、感度はある程度あれば十分で、むしろ選択度と安定度およびイメージ抑圧性能、 そしてバックラッシュのないスムースなダイヤルの方が重要であることに気づきます。 さらに使い込んでいくと、混変調特性とかダイナミックレンジとかノイズフィギュアとか群遅延特性とか、 初心者にはなんのことか見当すらつかない特性こそが最後の優劣を決することを悟ります。

    望遠鏡の場合は、口径が全体の性能を大きく支配するのは間違いないとしても、スペック上の倍率はむしろどうでもよく、 まず第一に重要なのは架台が機械的にがっちり安定しているかどうか、という点でしょう。 この点で現状のアイザック1号 (いつのまにかそう呼ぶことにしました) はまさに問題あり。 まさに短波受信の入門者が低価格モデルのチューニングつまみと格闘しているのと同じ状況なわけだ。

    写真撮影をするなら赤道儀が必須。でも普段からぐらついているようでは写真撮影なんてどのみち無理だから、 それならばしっかりした経緯儀のほうがずっとよい…という説法の意味がようやくわかってきました。

    いっぽうで、完全自動で希望した星をずばり導入できる架台というのは、便利だろうけど探る楽しみはないんだろうなあ。 これは短波ラジオなら昔のアナログダイヤルとデジタルダイヤルみたいなものでしょう。 いまでも私が短波を聞くときは、目当ての局があるならデジタルダイヤル機を使いますが、 なにか面白いものが聞こえないかなあと散歩するときは昔のアナログ機に火を入れることが多いです。 し、小学生のころ局発ドリフトとダイヤルのバックラッシュに苦しみながらかすかな信号を見つけ出したときのうれしさは格別でした。 もうしばらくはこのぐらつく赤道儀で楽しんでみよう。

    というわけで、今夜も練習。 10日前にアンドロメダ銀河をみたときはまったくのあてずっぽうでしたが、今夜はもうすこし工夫します。 カシオペアの位置からアンドロメダ座をみつけ、どれがミラクなのかを知り、そこから北へμAnd、νAndとたどって…見つけた。

    次にオリオンの星を一つみて、アンドロメダ銀河に戻り、別のオリオンの星を眺めてまたアンドロメダ銀河に戻り…と繰り返しました。 ファインダーの軸合わせが概ねうまく行っていることもあり、アンドロメダ銀河を見つけるのはかなり手早くできるようになりました。

    アンドロメダ銀河M31の近くに、かすかにぼんやり光る小さなものを発見。 付近の恒星の配置から、これは伴銀河M32であることが確信できました。 逆に、アンドロメダ銀河は本当に中心のバルジしか見えていないこともわかりました。 夜空がもっと暗いところに行けばよりよく見えるかな? M32の視等級は+8.1等。近くにある+8.9等のM110も見えるかなと思って探してみましたが見当たらず。 M32よりも大きく広がっているからかな。

    いっぽうのオリオン座は、今回はオリオンの頭 - λOri メイサ (ヘカー) をじっくり眺めてみました。 ながいこと一つの星だと思っていましたが、 望遠鏡で見るとメイサの近くにはφ1 Ori Khad Priorとφ2 Ori Khad Posterior、HD36881、 そしてメイサとφ1 Oriの間には端正にならんだ3つの星。ずいぶんにぎやかです。 オリオンはその三つ星と小三つ星で有名ですが、頭にも三つ星があったんですね。 この頭の三つ星の識別記号を調べようとしましたが、さまざまな天体カタログがあってどれを見たものやら。 λ Ori メイサは3等、φ1 Ori / φ2 Ori は4等。 せっかく見たものは記録に写真を撮影しておきたいですが、 このグループ全体を撮影するには視野角が1.5度ほど必要。 これに対しデジタルアイピースでは視野角が0.2度程度しかないので、ただ光点がぽつんとある映像にしかならず、 眼視での賑やかさは得られません。

    望遠鏡を片づけてから、λOriメイサは実は連星であることを知りました。 角距離は約4秒。 後日(2009-11-03 1254UT)再度見てみましたが、分離できませんでした。 というより、私の乱視の目にはすべての恒星は角距離数度の3重・4重星に見えます。とほほ。


2009-10-27 Andoromeda
β And Mirach 2.07
μ And --- 3.86
ν And --- 4.53
M31 NGC224 / Andoromeda Galaxy 4.3
M32 NGC221 4.53

2009-10-27 Part of Pleiades
19 Tau Taygeta 4.29
21 Tau Asterope 1 5.64
22 Tau Asterope 2 6.41

2009-10-27 Orion
α Ori Betelgeuse 0.58v
β Ori Rigel 0.12v
γ Ori Bellatrix 1.64v
δ Ori Mintaka 2.35v
ε Ori Alnilam 1.70v
ζ Ori Alnitak 1.70v
θ1 Ori Trapezium ---
θ2 Ori --- 4.98
ι Ori Hatsya ---
κ Ori Saiph 2.06
λ Ori Meissa (Heka) 3.39
φ1 Ori Khad Prior 4.39
φ2 Ori Khad Posterior 4.09
HD36881 --- 5.60

2009-10-30 Orionids
オリオンを東から西へ横切るように流星。オリオン座流星群の名残かな?

望遠鏡さえ使わずに

    星座の写真をとるなら望遠鏡さえ不要でただカメラを空に向ければよい・・・いわれてみればそうなのでしょうが、 いままで試したことはありませんでした。 なにか特殊な、高感度の機材が必要なのだろうと思っていたのです。 いままで使っていたデジタルカメラは暗いところでの感度がえらく悪く、星なんか撮れるわけがないと思っていたこともあります。

    が、1年前に買ったSONYのコンパクトデジタルカメラDSC-H10 Cyber-shot H10をよくみると、 マニュアル露出モードで露出時間を30秒まで伸ばすことができることに気がつきました。 ので、試してみることにします。

    まずは月を撮ってみると、さすがにクレーターの細部までくっきりというわけではありませんが、なかなかきれいに撮れています。

    次に、ISO相当の感度設定、絞り、露出時間、ズームその他いろいろ試しながら、 薄曇りと月明かりのなかかろうじて見えている木星を撮ってみました。 このカメラは光学10倍ズームで、さらにデジタルズームで20倍まで拡大できます。 デジタルズームではさすがに画質が低下してしまうので、光学だけの最大ズームにしてみます。 目視では木星が一つぽつんと見えているだけですが、 デジタルカメラは木星だけではなく近くの恒星を1つ --- おそらくιCap --- はっきりととらえています。 さらに、ガリレオ衛星が2つ見えています。

    シャッターを長く開けば月明かりの空が真っ白になるほどでですが、 10倍ズームで5秒開いて撮影すると星像が流れ始めてしまいます。 よってこれ以上開くなら赤道儀を使ったガイド撮影が必要で、しかしアイザック1号の赤道儀では揺れてしまってそれも不可能。 それでも5等程度は見えていますから、カメラ単体でアイザック1号+デジタルアイピースと同等かそれ以上に暗い星も撮れそう。 コンパクトデジタルカメラを接眼鏡に取り付けるためのアダプタを買おうかな。

    H10を光学ズーム2倍、露出時間20秒にしてアルタイルを中心に撮影してみました。 写真をファイルサーバに移し、Noobow9100コンピュータで明るさ・コントラストとガンマを補正したのちに拡大して見てみると、 あ、けっこういろいろ写っているぞ。 星図を見ながら写真に星の名前を書き込んでみると、およそ6等までのほとんどの星が捉えられています。 月は下弦でまだ昇っていなかったけれど、夜空はまだ漆黒とはいえません。 条件がよければもっと見えるかも。望遠鏡なしの天体観測ってけっこう楽しいなあ。




Even without a telescope - these images are taken with Sony Cyber-shot DSC-H10 compact digital camera. Iota Capricorni (app.mag. 4.28) is visible together with Jupiter.

2009-10-31 DSC-H10 Standalone Photo
02631 Moon ---
02643 Jupiter -2.7
ι Cap HD203387, 32 Capricorni 4.28



Exposing for 20 seconds, many stars are captured. The faintest objects are approx. apparent magnitude of 6. The field of view: approx. 27 degrees.

2009-11-08 DSC-H10 Standalone Photo
α Aql
Altair and Vicinity ---

ひきつづきデジタルアイピースと格闘

    雨上がりですっきり晴れた夜空にまばゆい満月。空は明るくて暗い星はよく見えませんが、木星はくっきり。 西の空の方が暗いので、今夜はそっちを眺めてみよう。
    わし座のアルタイルあたりから望遠鏡の仰角を下げていき、へび座尾部をうろうろ見ていたら、 ほとんど同じ明るさの星が2つ、きりっと光りながら仲よく寄り添っているのが見えました。これこそふたご星と呼ぶべきだな。 周囲の星の位置をスケッチしてあとで調べたら、これはへび座θ星のアルヤ。 ひつじのしっぽ、という名前だそうで。 やはり連星で、距離角は22秒。 4等級なのでデジタルアイピースでも撮影できるはずですが、うまくいきませんでした。

    デジタルアイピースは撮影範囲が狭いので、 接眼レンズの眼視で正確に視野中央に持っていっておいてからすばやくデジタルアイピースに交換する必要があるし、 それでもそのまま視野に捉えられることは多くありません。 また接眼鏡に比べずっとドローチューブを繰りこまなくてはならずピント合わせ直しが必要、 さらに感度が低いので、4等級ともなるとちょっとピントが外れているとコンピュータのパネルにはまったく映らないのです。
    デジタルアイピースSN9C102の感度では6等級が限界で、視野は長手方向で約0.2度。 わずか0.2度角の範囲に6等以上の星が複数あるという場所はそう多くありません。 したがってデジタルアイピースの画像はほとんどの場合はただ点がひとつあるだけ、ということになりますし、 その画像だけからそれがどの星であるのかを特定するのはとても困難ということになります。 これなら倍率を低くして広範囲を撮れるほうがよかったのになあ。

    後日もういちどθSerにトライしました。 20mm接眼レンズでほどなくちいさなふたご星を捉えることができ、 デジタルアイピースに取り換えたら、例によってぼやけてはいるもののきちんと二つの光点がLCDパネルに映し出されました。 よしよし、と思ったものの、キャプチャをスタートする前にロスト。しばらくあがきましたがダメ。ううう、難しい。
    θSerに3晩目のトライ。眼視導入はすんなり行き、デジタルアイピースに交換してほどなくLCDパネルに光を捉えられました。 やはり慣れと練習は大切だな。

    すでに書いたようにたいていの星ではデジタルアイピースの画像はただ点がぽつんと一つあるだけ、 星雲や星団の撮影も感度不足で無理。それがつまらないなら、θSerのような二重星を狙ってみたらどうかな。

    というわけで、まずはやはりこれ・・・こと座の二重二重星、英語圏では通称The Double Doubleを狙うと、おお、見えた。 ε1Lyrとε2Lyrのそれぞれをさらに分離して見ることはできませんでした。 アイザック1号の計算上の分解能からすれば何とかなりそうですが、実際の性能はそれに及んでいないようです。 低品質なレンズによるものなのか、倒したときに反射鏡や鏡筒にわずかな歪みが生じたか。 それともわたしの乱視ではどだい無理なのか。

    恒星の3分の1は連星だと聞きます。すぐ近くのこと座ζ星も連星。しっかり2つ見えます。 調子がいいなあ、今夜はデジタルアイピースで3つの連星が記録できたぞ。
2009-11-03 Orions
α Ori Betelgeuse 0.58v
λ Ori Meissa (Heka) 3.39
θ1 Ori Trapezium ---

2009-11-03 Serpens Cauda
θ1 Ser Alya (Alga) 1 4.62
θ2 Ser Alya (Alga) 2 4.98




At the third attempt the image of Alya was captured into the Digi-Eyepiece.



The Double Double is seen on the Digi-Eyepiece. Separation of each isn't expected with this boy's CCD. And with my astigmatic eyes, all stars appear as quad-quad system anyway.



Another double in the constellation Lyra, the Zeta Lyrae. Separation is plenty for Digi-Eyepiece.

2009-11-08 Lyra
ε1 Lyr Epsilon 1 Lyrae 4.67
ε2 Lyr Epsilon 2 Lyrae 4.59
ζ1 Lyr Zeta 1 Lyrae 4.34
ζ2 Lyr Zeta 2 Lyrae 5.73



デジタルカメラで撮影しようとしたけれど

    荒れた天気が去って、夜になったらこれまた美しい星空。 自由な時間がとれる少ない機会に夜空が目いっぱい澄みわたって月もないという幸運は数カ月に一度だけかも。 突然大規模なEスポとバックスキャッターが出てしまったときのようなもので、何をしたらいいか、どこを観るべきか、 中年小学生はあわてまくり。

    で、今日のお題はくじら座オミクロン星、ミラ。 約332日周期で大きく明るさが変わる長周期変光星で、あと数日で極大との予報です。 でも、はて、くじら座ってどこだろう。星座早見盤と星図を使って、ああ、あれだ。ちょうど夜中に南中するでしょう。 ミラの極大は1年につき1カ月早まるわけですから、 6年かそこらすると極大のときは昼間の空にいることになって観測できなくなってしまいます。 明るいミラを見たければ今はいいチャンスなんだな。
    極大といっても2等で、燦然と輝くといったものではありません。 望遠鏡でしばらく暖かな色のミラを眺めました。 明るくなるときミラは縮み、暗くなると膨れ、その色も変わるとのことで、近くで眺められたらさぞ不思議な光景でしょう。

    美しい星団・星雲の写真は無理としても、せめて実際に見た星の記録は撮っておきたいと思うので、 SW-V PC 付属のCCDカメラでこれ以上努力するのは止めて、Cyber-shot H10でコリメート撮影してみることにしました。 この程度のブラケットならホームセンター天文学の範疇だなとは考えましたが、時間もなければ道具もないし、 出来合いのものを買ってしまいましょう。 ドイツのショップで30ユーロ程度で売られているのを見つけましたが、 送料を考えるとけっこう高くなってしまいます。 ので、ビクセン製のデジタルカメラアダプタにしました。 ワンタッチでカメラをどかして直視で見られるというのは便利そうです。

2009-11-18 ビクセン デジタルカメラクイックブラケット

    接着剤で修理した接眼部が壊れはしないかと用心深く取り付けて、何枚か撮影。 しかしあまりうまく撮れません。 理由は明確、鏡筒のブレが大きすぎるのです。
    鏡筒の軸線から大きく離れたところに300グラムのブラケットと380グラムのカメラが取り付いたために鏡筒の重量バランスは大きく狂ってしまい、 もともとぐらついている架台を大きく揺らしてしまいます。 Cyber-shot H10は小さいカメラではあるものの、 クイックブラケットが想定しているカメラの質量300グラムを超えているために、 ブラケットの強度も不足しています。 結果としてそよ風程度の風が吹いているだけで画像は大きく乱れ、 カメラを10秒セルフタイマーにしてもちっともブレは収まらず、絶望的。

    こんな状態なので、露出時間を長くすることができません。 感度をISO3200相当・露出時間0.62秒でプレアデスの一部を撮影したものを見ると、 それでもSN9C102デジタルアイピースよりはずっときれいに撮れています。 揺らさずにガイドできればきれいに撮れそう。 やはりしっかりした架台と三脚が最優先だな。









2009-11-14 Mira
o Cet Mira 2.0v
And Andromeda Galaxy and vicinity (DSC-H10)



Through the Kenko SkyWalker V 114mm Newtonian telescope, a part of Pleiades is much more visible with DSC-H10 digital camera, than with the Kenko Digital Eyepiece. Exposure time cannot be made longer than 1 second due to severe vibration caused by the cheap loose mount.


我等をめぐる宇宙

    きちんと天文學の基礎を勉強しなおそうと思ひ、暫く前に買つておいたテキストを引つ張り出して、 まずは最初の概論の章をじつくり讀んだ。 ちよつと古い本であるが、太陽系・銀河系・球状星團・銀河系外星霧そして宇宙論までカバーされてゐる。 この時代誰獨り地球大氣圏から出ておらず、周廻軌道から地球を眺めたこともなく、月の裏側を見たものも居らず、 ろくな電子機器も計算機もなく、 それでも宇宙のことがここまで理解されていたことに驚かざることにはゐられないであらう。 數日間に亘りこの本を讀み電子化作業を進めてゐたら、自分が書く文章にも相應の變化が表はれてしまつた。



Click picture to download the article.


毎日せいけつ綿棒200本入り

    どうせ買い換えるのならいいものを・・・と考えましたが、 高剛性の本格的な自動追尾式赤道儀は、 人生先行き不透明な中年サラリーマンの大幅カットされたボーナスではかなりキツい値段です。
    で、アイザック1号のグラグラ赤道儀を恨めしく眺めていて、ひとつアイデア。 架台ベースと三脚上面の間に厚いシムを入れてみたらどうだろう? t=2〜4mm程度の軟質プラスチック板のようなものはないかな、と辺りを見回してみたら、 おおお!! これはピッタリだ。
    見つけたのは、株式会社山洋の「毎日せいけつ綿棒200本入り」の、ポリプロピレン製円筒形容器のフタ。 なんと外径がずばり同一です。 このフタのまんなかにカッターで架台ベースの軸が入る大きな穴を開け、 三脚上部に最初から付いている黒色樹脂製のスペーサを外してその代わりに綿棒のフタを使います。 すると、なんと架台はグラ付くことなくぴったりと取り付きました。 これぞホームセンター天文学だ。
    水平クランプのピン代わりのアルミスペーサは変形してしまったのでM4.5のボルト軸に交換して、 クランプも再び機能するようになりました。

    でも正直なところ期待はあまりできません。 赤緯軸のがたつきは前よりあきらかに酷くなってきていますし、赤経軸もがたつきが出てきています。 ボルト緩みの類なのか、それとも材質が悪くて磨耗変形しはじめているのか?

2009-11-22 綿棒のフタを使用

    綿棒のフタは確かに効果がありました。 数日前よりずっと安定しています。 今夜はたまたまおひつじ座のあたりが暗くてきれいだったので、ハマルとシェラタンの間あたりを散歩。 おひつじ座α星ハマルからほぼ西に望遠鏡を振ると、小さいながらきりっと光る小さな星をひきつれた星が見えました。 綿棒のフタのおかげで、ほかの一つの星をあわせた位置関係を記録してあとで調べられる程度の記録写真は撮れましたが、 素人写真としてですらおよそ鑑賞に堪えるものではありません。
    調べると、これはおひつじ座λ星。 位置角37.4秒、A星が4.8等、B星が7.4等の連星です。 ちょっと離れたところに見えていたのはBD+22 290星。こちらは9.3等。


2009-11-23 Part of Aries
α Ari Hamal 2.01
β Ari Sharatan 2.66
λ Ari A Lambda Arietis A 4.9
λ Ari B Lambda Arietis B 7.4
BD+22 290 BD+22 290 9.3


火星とプレセペ

    変な夢を見て夜中に目が覚めてしまいました。まあ今日は休みだからいいか。 空を見ると、あれ、晴れてきれいな星空だ。じゃ、朝まで星を見てやろう。風もほとんどないし。

    上弦の月が西の空に明るいので、今回は南東方向。午前3時、かに座に火星が赤く輝いています。 火星を見るのは今年初めて。いままさに地球に近づきつつあり、来週あたりからぐっと大きく、かつ明るく見えてくるのだそうな。 今日見たところでは、低倍率接眼レンズでも円盤状に見えてきているものの、まだ模様は確認できませんでした。 そういえばスピリットはサンドトラップから抜けられたのかな。

    火星の周りの空を眺めていて、なんだかぼやっとした星に気づきました。 望遠鏡でのぞくと、きれいな散開星団。 放課後に校庭で遊んでいる子供たちを見ているようで、45倍の接眼レンズの視野なんて狭いよ! といわんばかりに多くの星が元気に輝いています。これはM44、かに座のプレセベでした。

    西の空に移ったふたご座とこいぬ座のあたりを望遠鏡で散歩していたら、 オレンジ色の光点がすーっとすばらしい速さで飛んでいきました。 それっ、とふたつの微動ノブをくるくる回して追尾できるところまで追いかけっこして楽しみました。 このあと30分ほどの間に人工衛星が合計4機、おはよう!といいながら接眼レンズの視野の中を横切って行きました。 地上はまだ暗い夜明け前ですが、周回軌道高度ではすでに大気を通してオレンジ色になった太陽が顔を出しているのでしょう。

    東の空が白み始め、星がしだいに消えていく中、ひとつ輝いているのは金星。 あと1カ月とちょっとで外合で、小さくみえています。 すこしは縁が欠けているのが見えるかなと思いましたが、おりしもちょっと強い風が吹いてきて鏡筒を揺らしてしまい、確認不可能。 K-12mm接眼レンズの75倍で見ると、星像は視野の1/4ほどの長径をもつ楕円軌道でくるくる回っています。まるっきりだめだ。


2009-11-27 Mars in Cancer
02642 Mars 0.0
M44 Praesepe 3.7
02640 Venus -3.9


天王星

    今夜は天王星にチャレンジしてみます。 いままで見たことなかったし、いまはうお座とみずがめ座のあたりにいるとのことで、 あと1カ月もすると夕方でも西の空低くなってしまって見えなくなるから、今のうちだな。

    天文年鑑を見て、2009年12月05日でのその予報位置 --- 赤経23h34.4m 赤緯マイナス3°36′--- をGoogleEarthにプロットし、周りの星との位置関係を調べます。 下弦の月が昇って東の空が明るくなってきていますが、ペガサスの南側にある6等なら見つかるだろうと信じてお散歩開始。 しばらくあたりをうろうろして、あ、これかな? ほかの星とは何となく見え方も色もちょっと違う星がぽつんとあります。 円盤状には見えませんが、色はごくわずかに緑がかっているような気がします。

    これが本当に天王星なのか、今度は位置を確認しながら試します。 まずペガサスの四角形のひとつ、ペガサス座アルファ星マルカブをファインダー中央に捉え、 そこから赤緯だけを落としていきます。 すると、特徴的な台形に並んだ4つの星が見えてきます。 これらは55Peg、57Peg、58Pegそして59Peg。 引き続き同じくらい赤緯を落とすと、うお座の一部、魚の頭の部分の二つの星、 うお座ベータ星フム・アル・サマカーとうお座ガンマ星が見えてきます。 この位置関係から、うお座カッパ星とうお座ラムダ星を見つけます。 うお座カッパ星にはすぐ近くに9Pscがあって重星として見えるので判別できすぐにわかります。 またこのとき、16Pscの位置をチェックして、どこか別の場所を見ているのではない確信を得ておきました。
    つぎに、目見当でうお座カッパ星とラムダ星とのちょうど中間点にファインダーのクロスヘアを合わせます。 これで望遠鏡はほぼ正確に赤経23時34分に向いたはず。この位置が今夜のベースキャンプです。 ここから主鏡を覗き、ふたたび赤緯だけ下げていきます。 すると、視野に14Pscが入ってきます。 ちょっとだけ赤経を振り、西側にある13Pscとそのさらに西の12Pscとの位置関係でこの3星を確認できました。 いずれも6等で、月明かりの中ファインダーではほんのかすかにしか見えません。 赤経を14Pscに戻し、ベースキャンプから14Pscまでの角度とほぼ同じ量だけ赤緯を下げていくと・・・ あった、さきほど見つけたごくわずかに緑っぽく見える星だ。 ここらあたりには、今夜の月明かりの中でこれほどはっきり見えるはずの恒星は星図にはありません。

    さらに念を入れて。 赤緯固定のまま、ここから赤経だけしばらく東に振っていくと、特徴的な配置をした5つの星が見えましたのでスケッチし、 星図と比較してみました。 赤道儀の緯度調整が正確ではないので多少の誤差はあるはずですが、さきほど見た星の赤緯はほぼ天王星の予報とあっています。 間違いない、地球から20天文単位も離れた天王星からの反射光を見たぞ。

    何週間かにわたって写真を撮って位置の変化を見たりすれば立派な自由研究ネタですが、望遠鏡での撮影は最初からあきらめ。 デジタルカメラ単独で星野写真でもと思いましたが、残念、雲が出てきてしまいました。

2009-12-04 Uranus
α Peg Markab 2.49
55 Peg 4.54
57 Peg 5.05
58 Peg 5.39
59 Peg 5.15
β Psc Fum al Samakah 4.48
γ Psc Simmah 3.70
κ Psc 4.95
λ Psc 4.49
9 Psc 6.26
16 Psc 5.68
14 Psc 5.91
13 Psc 6.39
12 Psc
Uranus
HD223744 9.26
HD223653 HIP117641 7.96
HD223663 8.25
HIP117644 8.63
HD223610 9.37


水星とダブル・クラスタ

    じつは私は水星も見たことがありません。12月中旬に水星が東方最大離角との予報です。 したがって日没直後によく見えるはずで、今はまだ太陽に照らされている面をこちらに向けているはず。 東方最大離角を過ぎると日陰の面がこちらを向き始めてどんどん暗くなってしまいますから、今週はチャンスです。

    ラボの観測点から西の日没点方向には平屋ながら工場があります。 今年の前半は平日でさえ早じまいしていてリーマンショックの影響を感じたのですが、今では稼働率は回復しているみたいで、 土曜日も夜遅くまで稼働しています。 そのため西の低い空はあまり見やすくありません。 もっとも普段平日は夕方になんか帰れるはずがありませんので、日没直後の空を見るなら日曜日の夕方に限る、ということになります。 で、日曜日の今日、天気は雲ひとつない快晴。絶好のチャンスとばかり、望遠鏡を引っ張り出します。

    位置予報を参照するまでもなく、水星を見つけることができました。 K-12mm接眼レンズなら点ではなくディスク状に見えます。 が、大気の影響で像は不安定、きらきらとカクテル光線のように色が目まぐるしく変わります。欠け具合は認識できませんでした。 MESSENGERはあそこまで行ったんだなあ。 この前の第二回接近のときはコンピュータがセーフモードに入ってしまったらしいけれど、3回目のチャレンジはどうだったのだろう。

    高度が落ちるにつれて明るさも落ち、最後にはぼやっとした弱い光の塊になって、初視認から30分後の1759JST、 水星は工場の屋根の排気ダクトの裏に姿を消しました。

    今夜のもうひとつのターゲットはペルセウス座の二重星団、The Double Cluster。 私にとってしばらく謎だった、星座早見盤のh-χの正体です。 RK-20mmの45倍でみると、およそ1度角の視野におびただしい星が広がり、0.4度角ほど離れて2つの密集中心があります。 もっと2点に集中しているかと思ったのですが、こりゃにぎやかだ。

    天王星が写るかなと思ってうお座の西をCyber-shot H10で撮影してみました。 シャッター開放時間が3分程度まで延ばせればいいのですが。 演算のためのメモリ容量を低価格機では確保できなかったりするのかな。 それでも無理やり明るさとコントラストの補正をかけたら、ノイズのなかかすかに天王星が確認できました。 3万円しないカメラひとつで、すごいや。
2009-12-06 Mercury and the Double Cluster
Mercury
NGC884
NGC869


自動追尾赤道儀

    Kenko SkyWalker SW-V PCの赤道儀のぐらつきは、やはり倒してしまった影響が効いていそうです。 赤緯軸は、回転させると、渋いところと軽いところがあります。 軸がわずかに曲がってしまったのでしょう。 曲がったままなんべんも回しているので、受け側もしだいに径がゆるくなってきているのだろうと思います。 うう、自分のミスが悔しい。

    いうわけで、とうとう自動追尾の高剛性赤道儀の大特価品を発注してしまいました。 アウトレット扱いの三脚とのセット。 冬のボーナスは、これはもう出なかったものと考えます。 どうせなら鏡筒もセットでと思いましたが、マジに失業の可能性が高まってきているので控えました。 もし来年夏まで職を失っていなければSLRカメラを、次の冬までも生き延びられたら鏡筒を…という計画。 もっとも、買えるうちに買っちゃったほうがよかったのでは、と私の中のキリギリス君は言ってます。

    ビクセンSXD赤道儀にKenko SkyWalker SW-Vを載せると、一回り大きくなってぐっと力強くなった感があります。 知っている人がみれば間違いなく噴き出してしまうほどコスト的にはアンバランスです。 が、期待通り、ガッチリしていて何しろブレない! ひとまずは、これでいいのだ。

2009-12-08 SXD赤道儀+SX-HAL130三脚 入荷

土星

    ビクセンSXD赤道儀のDC12V電源コネクタはよくあるタイプのものだからどうにでもなろうと思いましたが、 いざ使おうとしたら、あれこれは新しいタイプだ。ラボには在庫品はありません。 ので、近くの100円ショップで単一乾電池を買ってまずは付属の電池ボックスで初運用します。 お店には単一アルカリがなく、仕方なくマンガン乾電池を2セット、計16本買ってきました。 テストにもなろうと思って2種類のブランドを買ってきておきました。

    今夜はSXD赤道儀と専用コントローラStarBookの使い方の練習。 ユーザーインターフェイスはこまかな部分でしっくりこないところが多いものの、腹が立つようなものではありませんでした。 なにしろこの先長らく使っていかなければならない機械なので、よかった。 StarBookの外観デザインははやくも時代遅れになってきた感があります。 こういう機器の意匠はやはりコンサバにしておいてほしいなあ。

    モータの駆動音は静かとは言えませんが、困るものではありません。 問題はむしろその音質で、100円ショップのモーターライズのおもちゃのように安っぽく不規則な音です。 もちろんこんなのは装置の主たる目標性能に何ら影響しないので構わないのですが、 投資した金額に見合った心地よい駆動音、というのは望みすぎなのかな。

    自動追尾なしで動かしてみたり、アライメントのとりかたを練習したりしていたら、 そのうち変なことが起こり始めました。 StarBookコントローラの表示と赤道儀の状態が食い違ったり、自動導入がいつまでたっても終わらず回り続けたり、 キー操作に応答しなかったり、ゆっくりと回り始めたり。
    あれえ、もう壊れたかな? 返品交換するのも面倒だなあ。 電源を切りなんべんかホームポジション設定・アライメント取り直しを行ってもダメ。 最初うまく行っていた自動追尾動作もいまやまったくできません。
    マニュアルのトラブルシューティングページにもヒントなし。で、電池を交換したら…正常になりました。なあんだ。

    低速とはいえ回転機械が電源電圧低下で誤動作する、というのはアマチュア向け機器とはいっても考えものです。 マイクロコントローラが持っているADCで自分の母線電圧を監視して異常が起こる前に止めるくらい簡単にできるだろうに、 と思ったら、Cirrus Logic CS89712はARM720TDMIコアを持つVoIP向けのSOCで、どうもADCは持っていない様子。 確かにStarBookはイーサネット接続能を持つけれど、 VoIP用チップを使っているだなんてまったくの予想外でした。 ふだん電話機とかのオフィス通信機器を扱っているところに開発を頼んだとしたら、 機能安全とかシステムFMEAとかにはまったく素人、というのもありえる話かな。

    今夜はよく晴れていますが、風が結構あり、鏡筒がボゥボゥ鳴っています。 前の赤道儀では観測中止を余儀なくされた天候ですが、ビクセンSXDはまったくもって安定しています。 し、一度視野に捉えた天体がコーヒー休憩の後も視野から動かずにそのままです。 ブレないので倍率の高い接眼レンズが使いやすくなりました。 トラペジウムは今度は4個に見えるし、散開星団もきれい。やっぱりいいなあ。

    微動ハンドルの代わりにコントローラのキーを使って、星空の散歩を続けます。 慣れてしまえばいいのでしょうが、速度と方向が同時に連続的に加減できる、たとえばジョイスティックだったらいいのに。 今夜はうさぎ座とおおいぬ座がとくにきれいなので、そのあたりをうろうろ。 おおいぬ座の散開星団M41でしばらく立ちどまり眺めました。

    先日夜明けまで星を見たとき、土星は探しませんでした。 環消失の時期なので、環が見えないんじゃ中年小学生としては面白くないなあ、と思ったのです。 が、よく調べると1年の間ずっと環が見えなくなるというものでもありません。

    StarBookは主要惑星の天空上での位置も画面表示してくれます。 土星を自動導入すると、鏡筒はほぼ水平位置に落ち着き、近くの民家の屋根を向いています。 し、東の空は真夜中を過ぎても町あかりでまだ明るいので、望み薄。あまり遅くならないうちに今夜は寝ようと思ったのですが、 東の空の仰角15度あたりをうろうろしているうちに土星の高度が上がってきて、 ケンコースカイウォーカーSW-V鏡筒ははっきり環を伴った、うすオレンジ色の天体を視野に捉えました。 わあ、10歳のとき以来だ。

    土星の環消失は環を真横から見るときに起こるとばかり思っていましたが、実際にはそれだけでなく、 環の真横から太陽の光が当たるときにも消えるとのこと。 言われればそうですが、40年近くも知らないままでした。

    それが環であると知っているからそう見えるものの、今日の見え具合は環であると確信できるようなものではなく、 左右対称に先の丸いツノが生えたような感じ。 K-12mmを使っても、惑星本体の縞模様は見えないし、ましてやカッシーニの間隙などまったく認識不可能。 さあ、どう工夫しよう。観測に都合のいい時期ならもっとよく見えるのかな。
    視野左側にちいさな光点がありました。これは衛星なのかな? それともたまたま近くに見える輝星? 口径117mmでもレアとタイタンくらいは見えそうなものなので、こんど再トライしよう。

    自動追尾装置のおかげで土星はずっと視野の真ん中に留まっており、 しだいに高度が上がってきてコントラストもくっきりしてきました。 ちょびっと環が見える土星はなにしろ愛らしく、気がつけば1時間以上も土星を眺めていました。 午前3時過ぎ、モータードライブが奇妙な音を立てて変な方へ動き出してしまいました。電池切れです。今夜はこれでおしまい。

    最初に使った中国製のダイソーGPマンガン電池は2時間ちょっとでダウン。 2番目に使った韓国製ダイソーGigaMaxマンガン電池は5時間以上運用できたことになります。 最初はせわしなく導入やアライメントを行っていましたから使用条件が異なり、単純比較はできません。 移動運用時には信頼できるブランドのアルカリ電池を使えば一晩持つだろうと思います。 家で使う分には、さて、どう工夫しようかな。
2009-12-12 Saturn
M41
Saturn


メシエ天体めぐり

    今夜はビクセンSXD赤道儀の電源として今年の7月でターボ・ファルコン号を引退した55B24スタータバッテリを使います。 半年近く放置していたのでさらに劣化は進んでいるはずですが、赤道儀を回すくらいなら大丈夫でしょう。 昼間のうちに、安定化電源を使って5〜6Aで8時間ほど充電しておきました。 今回は安直に純正付属のバッテリーケースに別の電源ケーブルを追加して給電します。

    夕方は少しあった雲も夜にはなくなって快晴。 風も強くありませんが、本格的な冬の寒さ。 マウンテンジャケットとモーターサイクル用オーバーパンツを着込んでの星空散歩です。

    今夜の散歩はStarBookに道案内を頼み、メシエ天体を見て回ります。 どのくらい見えるもんなんだろう。

みずがめ座
    M2 6.5等 球状星団
すこしは星に分離できるかなと期待しましたが、ぼんやりした暗い丸に見えるだけでした。
ペガスス座
    M15 7.0等 球状星団
M2と同様、星に分離できず、ぼんやりした暗い丸に見えるだけでした。
オリオン座
    M42 2.9等 オリオン大星雲
    M43 7.0等 散光星雲
赤道儀に取り付けたCyber-shot H10の10倍ズームでオリオン大星雲の写真を撮りました。 ブレがあって工夫の余地があるけれど、星間ガスがはっきり写りました。 λOri MeissaもCyber-shot H10のズームでにぎやかな様子が撮れました。
    M78 8.3等 散光星雲 ×
ほとんど見えず。
おうし座
    M1 8.4等 かに星雲
かすかに見えました。自動導入でそこまで持って行ってくれなければ気づかなかったろうと思います。 色形はさっぱりわかりません。
ふたご座
    M35 5.1等 散開星団
きれいな散開星団。後で調べたらすぐ近くに散開星団NGC2158があるはず。見えていたのかな?
ぎょしゃ座
    M36 6.0等 散開星団
くっきりしているけれどちょっとまばら。
    M37 5.6等 散開星団
30arcminほどの広がり。薄くて、注視すると見えにくいけれど、望遠鏡を振るとはっきりわかります。
    M38 6.4等 散開星団
暗く小さい。
くじら座
    M77 8.8等 棒状銀河 ×
視線をそらすとかすかに見える気がするがほぼ識別不可能。
うさぎ座
    M79 8.0等 球状星団
うっすらとしか見えません。StarBookがピンポイントで導入してくれなかったら気づかなかったでしょう。
かに座
    M44 3.7等 散開星団 プレセペ
これはやはり見事。
いっかくじゅう座
    M50 5.9等 散開星団
きれいな散開星団。
おとめ座
    M61 9.1等 渦巻銀河 ×
きれいな渦巻銀河のはずだが見えず。他の銀河も確認できず。
りょうけん座
    M3 6.2等 球状星団
均整の取れたうすいボールに見えます。
しし座
    M65 9.3等 渦巻銀河 ×
    M66 9.0等 棒渦巻銀河 ×
    M95 9.7等 棒渦巻銀河 ×
    M96 9.2等 渦巻銀河 ×
これらはいずれも確認できず。


    どうやらメシエ天体の場合、現状の設備と環境それに乱視の目では見えるのは視等級8等程度までのようです。 いまのところアイザック1号鏡では、銀河としては、M31アンドロメダ銀河とその伴銀河M32しか見えていないことになります。 ううむ。 郊外のロケーションだし月明かりもないけれど、接眼鏡の視野背景ははっきりとした明るさを持っています。 もっと西の、空が真っ暗なところへ移動運用しないと眼視では暗い天体は見えないのかなあ。

    今夜の1度角アステリズムは、かみのけ座の17Comの周辺。

    へたりかけた55B24Rスタータバッテリでほぼ9時間安定して赤道儀を動作させられました。しばらくこれでいくか。 ところで、SXD赤道儀とStarBookには逆接続保護は入っているのかなあ? カーバッテリを使う人は多いでしょうから当然入れてくれていると思いたいですが、マニュアルには明記されていないし、 電源電圧低下で誤動作するくらいだからミスユース対策も怪しそう。



2009-12-19 Messier Objects
M1 Crab Nebula 8.4
M2 6.5
M3 6.2
M15 7.0
M35 5.1
M36 6.0
M37 5.6
M38 6.4
M42 Orion Nebula 2.9
M43 7.0
M44 Praesepe 3.7
M50 5.9
M79 8.0
α Cet Menkar
γ Cet
δ Cet
μ Lep
α Leo Regulus 1.36
β Leo Denebola 2.14
θ Leo Chort 3.33
α CMi Procyon 0.34
α Aur Capella 0.08
α Boo Arcturus -0.04
17 Com
HD108651
HD108642


海王星が見えない

    バッテリとACインバータを内蔵したポータブル電源ユニットはいままでにサンヨーテクニカ製の同じモデルを2台使いました。 ディーゼルエンジンの始動もできる比較的大型の製品だったのですが、 内蔵されているバッテリは交換できないタイプで、バッテリがへたってしまうとまったく用をなさなくなるので損な気がします。 キャリングハンドルのついたケースにB24を収めて、 ヒューズや電流電圧計のついたポータブルバッテリユニットを自作するのは楽しそうです。

    アイザック1号で水星・金星・火星・木星・土星・天王星が見えましたので、惑星としては残すところ海王星のみです。 あと2カ月くらい早くチャレンジしておけばよかったのですが、もう夕方でも西の空で、条件が悪くなってきています。 本日トライしたのですが見えませんでした。残念、来年かな。

    何気なくアンドロメダ座の星をひとつ覗いてみると、あ、これは二重星だ。 暖かな色をした主星にキリッと青い小さな伴星がよりそっています。 元気でやんちゃな男の子とそのお母さん、といった風情。アンドロメダ座ガンマ星、アルマクでした。

    今夜のもうひとつの立ち寄りは、ペルセウス座のM34。 RK-20mmの視野いっぱいに広がった散開星団です。きれいだね。

    途中でふとした拍子に赤道儀のモーター音が止み、StarBookコントローラに応答しなくなりました。 あれえ? 電源を入れ直して正常復帰。バグかな?


2009-12-20
γ And Almach 2.26
M34 5.5


いるか座

    晴れているけれど上弦の月がまぶしいので、今夜はマイナーな星座でも見ようか。 月から離れていて暗いほうをみたら、いるか座がありました。 肉眼直視では空の明るさに埋もれて星なんか全く見えないけれど、 望遠鏡でなら星座を構成する星はどれもくっきり。

    いるか座ガンマ星はきれいな二重星です。 デジタルアイピースを引っ張り出して使ってみると、 苦労せずに撮影できました。 架台が安定していて正確に視野中心に導入でき、時間が経ってもそこから動かず、 またもしデジタルアイピースの視野に入っていなくて微動させるときも、 StarBookの画面を見ればもともとの位置に簡単に戻すことができます。 せっかくコンピュータ制御しているのだから、今の場所を覚えさせて後で簡単に戻れるメモリ機能があればいいのに。

    いるか座ガンマ星を撮影した後、StarBookでアンドロメダ座ガンマ星アルマクを自動導入すると、 Noobow7100のLCDパネルにずばり先日見た二重星が映し出されました。 こりゃ楽だわ。 デジタルアイピースではアルマク伴星はきれいな青色に写っています。

    いるか座にある星雲・星団はいずれも視等級が低く、現状の機材とコンディションでは見えるはずがないのでトライせず。





2009-12-26
α Del Sualocin 3.77
β Del Rotanev 3.63
γ1 Del 5.14
γ2 Del 4.27
δ Del 4.43
ε Del Deneb Dulfim 4.03
ζ Del 4.64
10 Del 6.01


月夜のお散歩

    もうすぐ満月。明るい星を見ます。 みずがめ座とうお座をうろうろ。 マイナーな星座としてとかげ座を見てみようとしたのですが、 StarBookの画面では星座は細かいところが正確に表示されないようです。 天体名の指定は主要な恒星やメシエ天体はメニューから選べるし、 NGC番号やIC番号での指定もできますが、 リストされていない恒星は座標と画面表示を見ながらカーソルキーで位置指定するしかありません。 バイエル符号やフラムスティード番号、ヘンリー・ドレイパー番号での指定ができればいいのに。 さらにいうと、星図画面のクロスヘア位置にある星が何なのかを表示してくれる機能があれば便利でしょう。 ううむ、どうもコンピュータを使い出すといろいろと欲がでてくるなあ。

    今夜の二重星は77 Pscとζ Psc の二つ。 ちょっと暗めでボーイズCCDでの記録はやめました。 角距離数秒程度になると、RK-20mmと私の目では二重星なのか乱視でそう見えるのか判断つきません。 SW-V付属のK-12mmアイピースはアイリリーフが小さくて、眼鏡をかけたままでは視野が狭すぎて不便ですし、 眼鏡を外せばすべての星が多重星に見えてしまうし。

    今夜の1度角アステリズムはうお座アルファ星とその周辺。 すぐ脇に3つの8等星がまっすぐ並んでいます。
2009-12-30
α And Alpheratz
δ And
π And
σ And
θ And
ε PsA
88 Aqr
δ Aqr Scheat
λ Aqr Hydor 3.73
η Aqr 4.04
φ Aqr 4.22
99 Aqr
ζ1/2 Aqr (unable to separate) 3.65
77 Psc A/B Binary 6.35 + 7.25
ζ Psc Binary 5.24 + 6.3
α Psc Alrischa
(binary, unable to separate)
4.10
HD12415 8.59
HD12484 8.18
HD12537 8.11
TYC 40-319-1 10.9


くじら座とジュノー

    背景が暗くてよく見えるのがくじら座なので、小さい星を見ます。 なかでも配置が楽しい幾つかの星を眺めました。暗いのでデジタルアイピースでは撮影せず。

    今回は近くにバッテリ駆動のNoobow7100 工人舎SA5を置いて、wikisky.orgで星図を表示させながら散歩。 望遠鏡視野の東西南北がどっちなのかを確認してしまえば、およそアイザック1号鏡で見えるものはすべて識別記号を調べられますので便利。

  • HD9336 / HD9337
  • HD8866 / HD8895 / HD8973
  • υ Cet(Aquae Abyssi) / 57 Cet / HD12155
  • χ Cet / HD11131
  • HD6573 / 28 Cet / 27 Cet
  • HD8556 / HD8600 / HD8484

  •     小惑星を見てみたいと思い、天文年鑑で見えそうなものを探してみると、 ジュノーがくじら座の北にあって、視等級9.6とのこと。これならいけるかな。 天文年鑑の暦ではおおよそ10日ごとの赤緯赤経が掲載されていますが、 今日(2010-01-09)はちょうどその10日間隔の中間です。 ので、JPLのホライズンズ・システムで今日と明日の0000UTCの座標を計算し値を得ました。 その中間点、つまり1200UTCは2100JSTですから好都合。座標をGoogleEarthにプロットしてみました。

        GoogleEarthの写真には信じられないほどの数の星が写っていますが、 アイザック1号鏡でそんなに見えるはずがないので、視野角約1度を表示させてイメージファイルに落とし、 グラフィックプログラムでいったん画像をぼやかせたのちにコントラストと輝度の補正機能を使って、11等級以下の星を消しました。 すぐ近くに見えるはずの10等星、HD4166との位置関係からジュノーを探してみました。

        が・・・暗くて良く見えません。20時近くなっても空はうっすら明るいままで、次第に高度が落ちてきて、さらには薄雲が出てきてしまいました。 SXD赤道儀のアライメントはほぼ取れているはずで、中央に暗く見えているのがジュノーだとは思うのですが・・・。
        視野にかすかに見えている合計8つの星のどれがどれなのか、最終的な確信が持てないまま、コンディションが悪化してしまい、結局断念。 くそー、結構準備したのに。初心者の試みなんてこんなものか。
    2010-02-07
    HD9336 6.8
    HD9337 7.4
    HD9463 7.6
    HD9514 7.3
    HD9513 8.6
    HD8866 7.0
    HD8895 6.9
    HD8973 7.3
    HD10148 5.6
    υ Cet Aquae Abyssi 4.0
    57 Cet 5.4
    HD12155 7.3
    HD10998 6.6
    τ Cet Durre Menthor 3.5
    ζ Cet Baten Kaitos 3.9
    χ Cet 4.6
    HD11131 6.7
    η Cet Deneb Algenubi 3.5
    HD6866 7.7
    30 Cet 5.8
    HD6573 7.6
    28 Cet 5.6
    27 Cet 6.1
    θ Cet Altawk 3.6
    44 Cet 6.2
    HD8556 5.9
    HD8600 7.4
    HD8484 8.9
    HD12020 6.6
    δ Cet Phycochroma 4.1
    HD16786 6.7
    HD16835 7.6


    火星接近

        10ヵ月前にサンドトラップにはまってしまったスピリットは、冬になって電力が不足することもあって、とうとう脱出を断念したそうです。 デリカD:5が落輪したとき のように電動ウインチつきの70系ランクルが助けに来てくれたらよかったのにねえ。 悔しいなあ、でもよくがんばった!!

        そのスピリットがいる火星は、31日の衝に先立って今夜地球に最接近とのことで、アイザック1号鏡を向けてみました。

        赤く明るく輝く火星は確かに大きく見えますが、残念ながら現状の光学系では極冠も火星人の運河も識別不可能でした。 Cyber-shot H10でコリメート撮影もしてみましたが、天体雑誌を飾る写真に比べると同じ天体とは到底思えないトホホなできばえ。 ホームセンター光学系ではこんなもんだね。 写真はともかく、せめてアイピースをもうすこしマシなものにすれば改善されるかな。


    2010-01-27
    Mars 3 days before opposition -1.2


    しし座とベスタ

        ジュノーは失敗しましたが、別の4大小惑星の一つ、ベスタはどうだろう。 2月20日の衝にむけて明るくなってきており、予報ではすでに実視6等級になっています。 現在しし座にあって、20時台ではまだ東の空で背景が明るいものの、これなら見えるにちがいない。 ベスタは4大小惑星の中でも反射能が大きくて明るいとのこと。初心者に味方してくれるかな。

        試してみようと思ったものの、機材の準備ができたら薄雲が出てきました。 肉眼では雲に隠れていますが、アイザック1号鏡はレグルスをはっきりアイピース中央にとらえています。
        2時間待ったら、東の空の薄雲はおおむね消えました。 しし座ガンマ星アルゲイバは二重星とのことですが、乱視の目では判別できません。

        アルゲイバでアライメントをとり、StarBookの座標表示は近傍ならほぼ正確になりました。 天文年鑑でベスタの2月03日と2月13日での予報位置をえて、今日はここのあたりにいるはずの座標に鏡筒を振ると、 きらりとした星が見えました。 約1度角の視野には中心の星のほかに3つはっきりと見える星が、またかすかに見える星が1つあります。 これらをスケッチして、Google Earthの星野写真と比べます。 おお、これだ、間違いない。初めて小惑星を見たぞ。

        さらに、Cyber-shot H10の光学10倍ズームで撮った写真にもその天体ははっきり写っていました。 周囲の星を同定し、位置関係を確認します。 露出30秒で10等星クラスまで写っていますが、やはりこの辺に、この明るさを持った恒星はありません。 このコンパクトデジタルカメラは、アステロイドベルトを周回する、地球から1.44天文単位離れたところにある直径500kmの岩を捉えました。

        これなら、何日かつづけて写真を撮れば、天空を横切っていく様子がわかるでしょう。 それに、あと10日かそこらで、ベスタはアルゲイバの近くを通ります。 視野角1度でにぎやかな光景が見えるかな。

       




    2010-02-07
    α Leonis Regulus 1.35
    η Leonis Al Jabhah 3.52
    γ Leonis Algieba (binary)
    1.98
    4 VESTA 6.8
    HD90603 8.276
    TYC 1423-923-1 10.196
    TYC 1423-957-1 9.404
    HD90735 8.018



    ベスタの衝

        全く雪が降らない年も珍しくはない富岡ですが、今年はよく降るなあ。 といっても午前中にはすっかり融けてしまうのですが。 ほぼ2週間、星空は拝めずでしたが、ベスタが衝となる今夜はきれいに晴れ上がりました。
        今夜はベスタの位置がどう変わったかを写真に撮ってみることにします。 望遠鏡を引っ張り出して火星を視野中央に捕らえ、つぎに鏡筒に取り付けたSONY DSC-H10の視野中心に火星が来るよう位置あわせ。 準備ができたら、鏡筒をアルゲイバに向けて、カメラの10倍ズームで撮影。 今日の正確なベスタの座標は調べていませんが、10倍ズームの約5度の視野角には入っているはず。

        撮った写真をNoobow9100で見てみると、アルゲイバと40 Leoのほかにひとつ、明るい星が写っています。 付近の星を同定していくと、おお、やはりこれだ。 JPLのホライズンズ・システムで座標を確認し、正解であることを確認しました。 むむ、もうアルゲイバの近くは通り過ぎちゃったんだね。


    Asteriod 4 Vesta at its opossition. Without any extra lenses, a compact digital camera captured small asteriod in its view.

        ついでにDSC-H10でプレセペを撮影。 NoobowSystems主任研究員のポゴは、GoogleEarthでプレセペをダブルクリックしてちょっとズームアウトすると ぶた星 があることを発見しましたが、この低価格コンパクトカメラ単体で撮影した写真にも、 小さいながらその中央にぶた星が捉えられています。



    2010-02-20
    4 Vesta 10 16 16.52 +20 06 03.9 6.13
    HD73710 6.44



    土星

        鏡筒にデジタルカメラを載せるための自由雲台を買いました。 いままでのジャンクの寄せ集め雲台よりもずっとしっかりしていて使いやすいです。当然か。

    2010-03-13 エツミ E-101 ボールヘッド 1780円 取り付け

        来週に土星が衝とのこと。 いっぽうで来週になると月が出始めますから、今日あたりのほうがチャンスかな。 今夜は久しぶりに空がすっきりしていますので、19時過ぎ、望遠鏡を引っ張り出しました。 バックグラウンドはまだ街明かりでかなり明るいものの、土星は東の空にくっきり見えています。 Sony Cyber-shot DSC-H10単体のズームでリングまで写るだろうかと思いトライしましたが、さすがに解像度不足でダメ。 それではボーイズCCDではと試すと、おお、かわいく写っているぞ。



    Saturn closes to its opposition. Although the ring is still nearly flat, the Boy's CCD captured its lovely appearance.

        まだ夜9時まえなのにオリオンはすでに西に傾きかけていて、南の空にはうみへびが大きく長くのたくっています。 あまり明るくはないうみへびのなかで、アルファードがきらり。

    Alpha Hya Alphard in in the southern sky.

    2010-03-14
    Saturn App. Diameter 19.4sec 0.5
    α Hya Alphard 1.98



    2010-04-29

        久しぶりに晴れ。満月が昇り始めるまでの1時間、望遠鏡を空に向けます。 火星、土星、アークトゥルス、M3、レグルス。
        Sony Cyber-shot H10単体の10倍ズーム30秒露出で、球状星団M3をぼんやりと写すことができました。 もっとも、写っているのは中央の密集した明るいところだけ。 実際には数倍の大きさに拡がっているはずなのですが、薄ぼんやりした春の夜空のなか背景の明るさに埋もれてしまっています。 おとめ座の銀河団を少しは写せるかなと思いましたが、無理そう。
        火星とプレセペを一緒に撮ることができました。

    そのうち満月が東の空に顔を出しました。今夜はここまで。


    The open cluster M3 is captured by standalone Sony DSC-H10 compact digital camera.




    Mars and Preasepe in one sight.



    2010-04-30 SLRカメラ

        1年以上も続いた給与の大幅カットが解除されたので、さらに日本経済の確実な回復を祈願して日本製の最新SLRカメラを買いました。 これで直接焦点撮影ができるはずですが、アダプタはまだ手配していないし、 そもそもボンドG17で修理した接眼部がカメラの重量に持ちこたえるとは思えないので、しばらくは星野撮影のみにします。

        まずはカメラそのものに習熟。 フルオートモードでの撮影はマニュアルをまったく見なくてもできるし、かなり奇麗に撮れます。 さすが最新鋭機だ。
        CMによると、このカメラは愛する我が子をだれでもきれいに撮れるとのことなので、ポゴの写真を撮ってみました。 でも前歯が2本抜けたままでアッカンベエした我が子の写真は、お世辞にも鑑賞に堪えるものではありません。 こりゃ誇大広告だ。 そういう宣伝文句は、歯っ欠け自動修正機能とかアッカンベエも笑顔に強制修正するくらいになってからにしてほしいな。

        19時20分、予報通りにISSが西南西の空から昇ってきましたので、これを撮影。 手持ちのズームで撮影したのですが、さすがにコンパクト機より感度が良く、 また"Image Stabilizer"内蔵レンズがうまく動作しているとみえて、案外に手ブレのない映像が撮れました。 ISSはその後4分間かけて、北斗七星を横切って、北東の空に消えてきました。

        次に赤道儀に取り付けて星野撮影。 薄雲がたなびく空模様でいまひとつチャンスがなく、また背景が明るいので出来はよくありません。 操作ボタンにバックライトがなく、まだボタンの配置を覚えきれていないので、星空の撮影ではえらく不便。 機能をフルに使いこなせるまでにはそれなりの練習と慣れがいりそう。 取り急ぎ、まったくのド素人の作品例として、かに座の散開星団、M67。 Vixen SXD赤道儀はいまのところバックラッシュ補正とかにまったく手をつけていませんが、 そろそろそれが気になってきました。

    2010-04-30 Canon EOS Kiss X4 Double Zoom Lens Kit



    The open cluster M67 in constellation Cancer is taken with brand new Canon EOS Kiss X4 SLR Camera with genuine zoom lens.



    Head of Hydra.

    2010-04-30
    M67 (Open Cluster)

    ソンブレロ銀河

            翌日曜日の夕方は昨晩よりすっきり晴れました。 月が顔を出す前に、ほぼ南中に近づいたM104ソンブレロ銀河に鏡筒を向けます。 接眼鏡を覗いてもなんにも見えないけれど、X4のフルズームで撮った写真には、おお、ちっちゃいけれど、ちゃんと写っているぞ。 すごい、4600万光年も離れているんだよ、これ。
        翌日はさらに空がすっきり。もう一度眼視を試すと、かろうじて何かあるような気がするという程度。

        ズームそのものの視野角はCyber-shot H10の10倍ズームと変わりませんが、画素数が多い分細かいところを切り出すことができます。 1600x1200ピクセルを切り出すと、視野角は約1.5度。 望遠鏡の低倍率接眼鏡を使った場合に近づいてきます。


    Messier 104 Sombrero Galaxy and vicinity in connstellation Virgo and Corvus.



    A part of above image. Sombrero Galaxy is visible through the genuine zoom lens.

    2010-05-01
    M104 Sombrero Galaxy

    木星の幽霊

        買った当初は、ホームセンター望遠鏡では金星と火星のほかは単なる光の点にしか見えるまいと思っていたのですが・・・ 半信半疑でNGC3242木星状星雲に鏡筒を向けると、むむ、なにやらぼんやりしたものが見える。 十分に目を暗さに慣らさないと見えないし、構造が分かるほどはっきりは見えませんが、 まるく薄ぼんやりとした灰色の円が確かに見えています。 中年小学生は今夜惑星状星雲を初めて見ました。

        星野写真を撮ってみると、点にしか写っていないものの、他の星とはまったく異なる青色を示しています。 文献では「たいていは青みがかったグリーンに見える」とあるものの、今回 眼視では色は感じられませんでした。 大気の透明度が低かったためかな。

        NGC3242 "Ghost of Jupiter"は、実視等級8.6等。 他の惑星状星雲はほとんどこれよりも暗いので、夜空のきれいなところにでかけるか、 大口径鏡を使わないと見えなさそうだな。 こぎつね座の亜鈴状星雲(M27/NGC6853)は実視7.5等で見えそうですが、夏まで待たないと。


    The Ghost of Jupiter, NGC3242, looks beautiful blue in this starfield photo taken by the SLR camera w/zoom lens. To the astigmatic aged eyes through the low priced 114mm Newtonian telescope, it only looked very dim gray.

    2010-05-02
    NGC3242 Ghost of Jupiter 8.6


    電源を考える

        SXD赤道儀は中古カーバッテリーで快調に動作していますが、 移動運用のために他の方法も用意しておこうかと思います。 まずは消費電流を実測してみました。
        平常時、つまりStarBookコンピュータ自体の動作と自動追尾モータ動作をあわせ、250mA前後。 1軸のみ高速移動させると450mA程度に増え、2軸同時に高速移動させると700mA近くになります。 高速移動の起動時は突入電流があり、瞬時ピークは実測していませんが、電源容量として1Aあれぱ十分な様子。 予想したよりはずっと軽い電源で動作しそうです。 いっぽう、電源電圧を9Vまで下げても、モータの高速回転は勢いがなくなりますが、 制御そのものは安定しています。

        移動運用時はSXD赤道儀の電源を自動車のシガーソケットから直結で電源を取って使うユーザもいるでしょうが、 SXD赤道儀とStarBookの電源回路がたとえばロードダンプサージやネガティブサージといった自動車電源の常識を考慮して設計されているとは思えないので、 かなり不安です。 ま、もしそれが原因でフィールドで不具合が多発していたのなら、発売されてからそれなりに月日がたった人気商品ですので、 すでに対策が打たれているでしょう。 あまり心配しなくてもいいのかもしれません。
        わがラボのデリカD:5は純正のサブバッテリシステムを持っているので、エンジンをかけずサブバッテリから給電していれば全く心配なし。 もしエンジンをかけてメイン・バスから電源をとる場合で、かつサージ損傷が怖いのなら、 インバータで作ったAC100Vからトランス式のACアダプタでDC12Vを得るほうが、効率は悪いしノイズもばら撒いてしまうものの、安全に思えます。 そんなことをするくらいなら、16Vくらいのツェナをひとつ入れてサージプロテクタをつくっておけばいいかな。

    2010-05-04 SXD赤道儀消費電流測定

        夜遅く、空がすっきり晴れ渡りました。 もう望遠鏡を外に持ち出すには遅い時間だったので、固定三脚で星野撮影。 春の星空をまじまじ眺めるのはほとんど初めてです。 なにしろ去年までは本当に、同定できる星座といえば北斗七星(星座じゃなくてアステリズムですが)、カシオペア、オリオン、はくちょう・・・程度だったので、 撮影した写真に星座を引き星の名前を書き入れて、勉強します。 午前1時、おとめ座とかみのけ座はすでに西の空。 てんびん座とへび座頭部が南で、さそりがかなり上がってきています。


    At 1AM local time, Virgo and Coma Berenices are already in the west.



    In the south are Libra and Serpens Caput. Scorpius is already rising high.



    Zooming in to the Serpens Caput.



    High south - Ophiuchus and Hercules.



    コル・カロリ

        天頂に、きれいな実視連星、りょうけん座アルファ星コル・カロリが輝いています。 ので、ボーイズCCDで撮影。明るいほうがα2CVn、小さいほうがα1CVn。
        主星のα2CVnはとても強力な磁場を持ち、磁軸が自転軸から傾いているため星の部分で元素構成が異なっていて、 よって自転に応じて光度変化をもたらし、かつスペクトラムも変わるとのこと。 だから110光年も離れているのにもかかわらず、その自転周期が計測できるそうで。 ふうん、ずいぶんいろいろなことがわかってきているんだなあ。

        Vixen StarBookのコントローラの天空図には星座も表示されますが、主要なものだけ。 マイナーな星座は表示されません。 あれ、この星はなんだろう? と思ったら、座標表示をメモして、たとえばWikiSky.orgで検索をかけることになります。 でもそれだけで、その星に関する多数の天文学者の論文や観測データを入手できます。 コンピュータとワイヤレスネットワークとインターネットがなかったら、これだけでも結構な努力が必要だったでしょうね。 いまは自宅の庭で、気分は立派な天文学者。


    A binary star Cor Caroli is shining beautifully overhead.

    2010-05-12
    α CVn Cor Caroli 2.82 Combined


    金星と月

        夕方高速道路を走っていたら、済みわたった空に細い月と金星が寄り添うように光っています。お、こりゃきれいだ。 家に帰って赤道儀のセッティングを終えたころには高度が下がり、 月は先ほどまでのちょっと冷ための白ではなくて、赤みがかってきていますが、 まずはSLRカメラのズームレンズで撮影。 でもこの10分後、うす雲が全天を覆ってしまいました。 そういえばもうすぐH-2A F17、金星探査機「あかつき」のランチです。 大勢の人のメッセージとともにポゴの応援メッセージも焼きこまれたアルミパネルが取り付けられた「あかつき」は、 あそこでいったいなにを発見するでしょうか?


    As if they are celebrating the upcoming launch of the Venus Observer probe "Akatsuki" by the H-2A Flight 17, slim moon and venus were beautiful in the western evening sky.

    2010-05-16
    Moon and Venus


    火星とレグルス

        火星がレグルスの近くを通過。 赤い星と青い星がきれいに並んでいるのが雲の切れ間からちょっとだけ覗きました。 ので、SLRカメラと三脚で固定撮影。 撮れた写真は鑑賞するにはさみしいでき具合でした。 火星もレグルスも上層の薄い雲ですこし霧をまとっているように見えますが、それ以外の輝星はまばら。 露出を長くしても背景が明るくなるだけ。

    2010-06-07
    Mars and Regulus

    環状星雲

        梅雨入り宣言直後、強い雨が去って久しぶりにいい天気。 夜9時に帰れたのですぐ望遠鏡を引っ張り出し、さそり座ベータ星をボーイズCCDで撮影。 それにつづいてM20 M8 M7をSLRカメラで撮影。 M8 干潟星雲はズームレンズの中でぼやっと輝いています。
        せっかくSLRカメラを買ったのに、 一度壊してしまって接着剤でかろうじて取り付いている接眼部は明らかに強度不足なため、 カメラを取り付けて写真を撮ることができません。 どうにか夏のボーナスまではクビにならずに済みそうだから、 安いやつでいいから鏡筒を買い換えようかなあ。

        昨年秋に西の空から沈んでいったこと座は、いつの間にか東の空高く上がっていたんですね。 で、ものは試しと環状星雲を自動導入してみました。 おお、うっすら見えてるぞ。でもごくかすかで、色や形はほとんどわかりません。 晴れたといってもところどころ雲がかかっているし、雲がないように見えても実際には上層に薄い霞があるようです。 背景が真っ暗に見えないとだめかな。
        SLRカメラのズームレンズで写真を撮ってみると、青緑色をした小さなドーナツがしっかり捉えられています。 うう、やはり望遠鏡にカメラを取り付けて直焦撮影したくなってきた。






    2010-06-16
    Beta Sco (Binary)
    NGC 6523 M8 Lagoon Nebula
    NGC 6822 Ring Nebula


    アイザック2号鏡

        どうにかクビにならずにボーナスがもらえました。ひところに比べると数10%以上も目減りしていますが、 貰えただけ幸せだな。ので、鏡筒をグレードアップ。あれ? 昨年末の計画よりも前倒しのような気がするけど。
        次のボーナスの保証はないので、大奮発と言うわけには行きません。 選んだのは ケンコー   スカイエクスプローラーSE-200NCR。 口径200mmのニュートン反射式低価格モデルです。 他の形式も考えたのですが、乱視ばかりでなく腰痛持ちでもあり、 かがんだ姿勢で使わなくてはならない望遠鏡では再発間違いなしと思われたので、直立姿勢で観測できるのが何より。 それにアップグレードの最大の目的は、カメラを取り付けて直焦撮影したいということ。 アイザック1号鏡の接眼部を金属製のアフターマーケット品に交換すればカメラは取り付くでしょうが、 いっぽうで、高倍率では使い物にならないSkyWalker鏡筒の光学性能にさすがに満足できなくなってきました。 ので、一段階ステップアップを決心したというわけ。

        リビングに置いたケンコースカイウォーカーSW-XPCはいい感じのインテリアでしたが、 ビクセンSXD赤道儀に乗ったケンコースカイエクスプローラSE-200NCRは結構威圧感があり、 インテリアの域を明らかに越えています。

        SE-200NCRはこのクラスで最低価格帯。 アイピースが二つ付いて3万円を割る価格です。 同一口径でもアマチュア向けハイエンド機では50万円位のものがありますから、価格差は実に20倍もあります。 とはいえとても買えないというものではありません(もし職を失わずにいられるのなら)。 なにしろ350万円の上級グレード新車を買うところを300万円の普及帯グレードで済ませればいいのです。 問題は、ありがたみもよくわからないうちに最高級品を買ってしまうと、その後は興味を失うのも速く、 結果として楽しくないということ。 教習所で簡単に免許を取って憧れだけで大排気量ハイパフォーマンスの最新型スーパースポーツモーターサイクルを買い、 まるっきり乗りこなせないうちに振り落とされて痛い目に合い、さほどたたずに降りてしまったライダーはゴマンといます。 それよりも小排気量マシンをとことん乗り込んで、十分に腕を磨き、 かつそのマシンの絶対的な能力不足をどうにも自分の能力でカバーできなくなってから、 ワンランク上のマシンに乗り換えるほうがどんなに楽しいか。

        新しい設備が届いたものの、3夜連続で、猛暑の昼間に続いて夕方から雷雲・激しい夕立、朝まで空は曇ったまま。 土曜日 ファインダーの調整、赤道儀のバランス調整、Tリングを使ってのSLRカメラ取り付けのトライアルを行い、観測準備完了。 でもまた空は雷雲で覆われてしまいました。
        結局6月16日以降ほぼ1ヶ月半の間ずっと、観望を楽しめるような天気に恵まれていないことになります。 水不足にはならないからいいことではありますが、アイザック2号鏡のファースト・ライトはいつまで待たされるんだろうか。

    2010-07-21 Kenko Sky Explorer SE-200NCR 26,750円 税・送料込み
    2010-07-21 Kenko T Ring Adapter


    アイザック2号鏡 ファーストライト

        地元公民館夏祭りの打ち上げ花火の煙が去った夜空は、ずいぶん久しぶりの全天の星空。 月もなく、明日も休み。ようやくアイザック2号鏡のファーストライトの夜になりました。

        やっぱり明るい! 街明かりで背景は暗いとはいえないけれど、 口径114mmの1号鏡に比べるとずっと多くの星が見えます。 付属してきたPL25mmのアイピースはアイリリーフが今まで使ってきたものに比べて大きく、 眼鏡をかけたままでも視野が広いです。

    2010-08-07
    M13 NGC 6205
    "The Great Globular Cluster of Hercules"
    5.8
    M92
    M57 The Ring Nebula
    M56 NGC 6779
    kappa her
    Alpha Cyg Deneb
    Gamma Cyg
    M29
    M27 Dumbell Nebula
    M71
    M17

        さあて、いろいろ見て写真を撮ってみよう。 まずは、M13 ヘルクレス球状星団。 ところが、どうやら一発目からすばらしい写真、というわけにはいかないようです。
        たしかに114mmに比べれば明るいし、細かい部分も写っているのですが、 自動追尾赤道儀の動きがスムースでなく、露出時間を長くするとブレが目立ってしまいます。 このままでは暗い天体をきれいに撮ることは困難だし、 ピンボケぎみで画像にシャープさがありません。 架台のバランス取りがうまく行っていないせいかな? まあいいや、工夫の余地があればあるほどホビーとしては楽しめますから。

        それにしてもこの大きな球状星団・・・さしわたし145光年の空間に100万もの恒星が密集しています。 もしこの球状星団の中心に近い恒星の惑星の地上から夜空を眺めたら、 いったいどんなふうに見えるんだろう? どえらく明るい星が全天にちりばめられて、夜でも明るいんだろうか?



    The Hercules Globular Cluster M13 was the target for the first light of my new, although low priced, Kenko Sky Explorer SE-200NCR 200mm Newtonian telescope. The photo was taken with a Canon EOS Kiss X4 SLR camera. Image sharpness was not as expected, due to the mounting instability.

        M57 環状星雲を撮影してみました。 Canon EOS Kiss X4ズームレンズセットに付属のズームレンズでは、最大ズームでの視野角は約4度。 これに対しSE-200NCRにカメラボディを取り付けての直焦撮影では視野角は1度とちょっと。 右の写真は撮れた画像の一部を切り出したものですが、ドーナツがはっきり、かわいく写っています。 眼視ではさすがにここまで見えるわけではありません。

        惑星状星雲の代表、こぎつね座の亜鈴状星雲(M27/NGC6853)も見てみました。 が、写真映りはよくありません。今後の工夫が必要。 M31アンドロメダ銀河は、口径114mmのスカイウォーカー鏡筒よりも明るく見えますが、 東の空は街明かりで明るく、雑誌の写真のような美しい渦巻は見えず、 また写真にもバルジしか写りませんでした。


    The Ring Nebula, M57. Image is much bigger and prettier than the one taken by the standalone Canon genuine zoom lens.

        こと座の球状星団M56は、 太陽系から3万2900光年離れた、さしわたし84光年の星のかたまり。 眼視ではうっすらとした丸いもやとして見え、写真でもぼんやりとしか写せませんでした。

        ISO800 露出8秒で、15等級の星がかろうじて写っています。 鏡筒ブレの問題が解決して露出時間を延ばせるようになれば、もっとはっきり写るでしょう。 がんばれば冥王星も写せるだろうか。



    The apparent magnitude of the faintest star in this photo is approx. 15.4.

        昨年晩秋にお別れをした木星は、東の空高く輝くようになっています。 SE-200NCR + X4 の組み合わせでは、ガリレオ衛星を引き連れてまばゆく輝いています。 木星表面の模様を写すためには、露出時間を400分の1秒にまで短くする必要がありました。
        雑誌等で目にする写真のような精細さは得られませんが、 何枚もの写真を撮って画像処理すれば鮮明になるのでしょう。 専用の画像処理ソフトウェアを買ってくればいいのですが、 自分で書いてみるのも面白いかな。 簡単な加重平均&ノイズ除去くらいなら自分でもどうにか書けるだろうとは思いつつ、 しかしそんな時間は取れそうにありません。

        いまは木星の縞模様がひとつ消えてしまっているので、ちょっとにぎやかさに欠けます。 でもこの設備でもこれだけ見えるのだから、毎日見続けて写真を撮っていけば、 縞模様の経時変化の研究ができそう。



        天の川の中を覗くと、星の数ほどとはよく言ったもので、本当にたくさんの星が見えます。 口径200mmの反射望遠鏡であるケンコー スカイエクスプローラーSE-200NCRのスペックでは、 極限等級は13.28等。 もし見えた星をあまねく同定してノートにつけようなどと考えたら、それだけでライフワークです。

        天頂に輝くはくちょう座の真ん中の星、γCygを中心に撮影してみると、 ISO1600 露出5秒で12等まで写っています。 鏡筒ブレの問題が解決して露出時間を延ばせるようになれば、もっとにぎやかになるでしょう。

        なお右の写真は、ここまでに掲載した他のほとんどの写真と同様に、 カメラのCCDの素子欠陥の修正を入れていません。 まじめに研究するなら修正を行うべきですが、 素人のホビー写真なんだからにぎやかに見えてむしろ楽しかろう・・・くらいのお手軽観測ですから。


    Scope wobbling and tracker backrush limits the expose time - improvement needed.



    曇り続きの夏の夜

        08月07日以降はまたまた曇り続き。 今年の夏休みはのんびりと星でも見て過ごそうと思ったのに。 夕方の西の空には金星・火星・土星それに水星が集まってにぎやかですが、 きれいな写真をとれるような晴天にめぐり合えていません。

        今夜 雲の合間から覗いてみたのは、はくちょう座の散開星団M39と、へびつかい座の球状星団M107。 M39は25mm接眼鏡の40倍の視界を埋めるように広がっています。 M107は眼視でほんのかすかにぼんやりと丸く、すこしでも薄雲がかかるとさーっと視界から消えてしまいます。

        こんな具合なので、ペルセウス座流星群も楽しめません。 それでも2つほど、大きく明るいのを見ることができました。
    2010-08-12
    M39 Open Cluster
    M107 Globular Cluster



    なんで球形のままなの?

        08月07日に撮影したヘルクレス座球状星団M13のピンボケ写真を眺め、もっときれいに撮れないかなあと考えていて、 あれ、そういえば、なんで球状星団は球状なんだろう。
        球状星団は重力で集まって球形を保っているというけれど、 これだけの数の星が一ヶ所に集まっていれば、お互いの重力で引き合って星団はますます凝縮し、 最後には中心の一点で中性子星とかブラックホールとかになっちゃうんじゃないのかな。 一つの球状星団に含まれる星ぼしはどれもほとんど同じ程度の年齢で、 かつとても古いとのこと。100億年がとこ経っているのにまだ球状をしているだなんて、 重力で一点に固まるのにはそんなに時間がかかるのかな。 でも球状星団のさしわたしはせいぜい100光年とのことですから、 いくらなんでも100億年経てば集まっちゃいそうなものなのに。

        太陽系にしても銀河にしても、それを構成する個々の天体が中心の周りを公転しているから潰れずに形を保てているんでしょ? それなら球状星団を構成する個々の星は星団の中心点をやはり公転していて、 だけれど軌道面はまるっきりランダム、と言うことなんだろうか。 球状星団を球状たらしめて、中心に大集合させないメカニズムって一体どういうものなんだろう。

        ちょっと調べただけではすぐにはその答えは出てきませんでした。 ウェブを歩き回ると、個人の方が書いたページではたいてい、球状星団が一番好きだとか、きれいに撮れたとか、 せいぜいが重力で集まっていて・・・といったもの。 だからさ、どうして重力で一点に集まってしまわないでいるのよ? 天文台とかの解説を見ても、大して違わないレベルです。

        そんなことを気にするだなんてオレくらいのもんなんだろうか、あるいはみんな常識として知っているの? それともオレは普通の人ならやらかさない、なにかえらくトンチンカンな勘違いをしているのだろうか?
        新聞の読者Q&Aコラムに、 「球状星団は多くの星が球形に密集していると教わりますが、なぜ重力で一つにくっついてしまわないのですか?(東京都板橋区・男性)」 というものがあり、ああ良かった、同じ疑問を持っている人がいた。 ワクワクして続きを読むと、 「星団の中の個々の星は、じっとしているわけではなく互いに動いているため、 くっつきもせず中心にも落ち込んでいかないのです。」    こんなんでわかるかい!! うう、ますます知りたくなってきた。 うむ、今年の夏休みの課題はこれだな。 なにしろ曇り続きですから、晴観雨読。

        ひきつづきウェブを彷徨い、論文やら講義ノートやらプレゼンテーションスライドやら、 Noobow7100 工人舎SA5のメモリを増設しておいたことに感謝しつつFirefoxのタブをいっぱい並べてサーチして片っ端からダウンロードし、 第2研究所で育児をしつつ読んでみることにします。 なにしろ偏微分記号が出てきただけで意識が遠のいてしまう数学オンチなので (もしそうでなかったらもっと有名な大学を出て今頃はなにか別の仕事に就けていたでしょうね)、 ジーンズの"我らをめぐる宇宙" のように、シロートにもわかりやすく説明してくれているものはないかなあ。

        すると、ようやくわかりやすく解説してくれている文献にめぐり合えました。 感謝しつつ、以下 引用させてもらいましょう。

    プラズマ・核融合学会誌 第69巻第6号 1993年6月 p584 - p600
    解説: 多体問題専用計算機GRAPEの開発 戎崎俊一 (東京大学教養学部)

    2. 衝突系と無衝突系

    重力多体系は大きく衝突系と無衝突系に分けられる。 ここで言う衝突とは実際に星同士が衝突することではなく、個々の星の重力によって他の星が散乱されることをいう。 球状星団や銀河の平均星間距離は星の大きさよりずっと大きいので、第一近似では物理的に衝突する確率は無視できる。

    ・・・なるほど、球状星団は星がぎっしりと思っていたけれど、 お互いにぶつかってひとかたまりになるほどには密ではないってことだ。

    この二体緩和の時間尺度を典型的な重力多体系である球状星団と銀河について見積もると、表1のようになる。 つまり、球状星団の二体緩和の時間尺度は108〜109年で、宇宙の年齢(〜1010年)よりも短い。 ・・・(球状星団の)年齡は宇宙年齡とほぼ等しく、二体緩和の時間尺度よりずっと長い。 つまり、球状星団は衝突系である。 衝突系は重力熱力学的カタストロフと言われる一種の不安定が発生し、 コアが収縮して中心密度がどんどん上昇することが知られている。

    ・・・だよな。当然、だんだんぎっしり状態になってくるわけだ。 この傾向はますます強くなっていくから、加速度的に雪だるま状態になるんじゃないの?

    二体緩和時間の10倍ほどたつと中心密度が非常に高くなり、その中で三体衝突が起こるようになる。 三体衝突の結果、そのうち二体がより強く結合し、もう一体がその束縛エネルギー分をもらって飛び出す。 系全体からみるとエネルギーが発生したように見える。

    えっえっ、何だって?

    ・・・エネルギー発生が十分に起こると中心核は膨張に転ずる。 この膨張がある程度進むと、また中心核は収縮に転ずる。 典型的な球状星団はこの様な重力熱力学的な振動を数回経験していると考えられている。

    そうだったのか! 球状星団のコアは、よくわかんないけど、 収縮しだすと内部でエネルギーが生み出される仕組みを持っているんだ! そのため、一気に凝縮したりしないんだ!

        かなりスッキリしました。 でも、知らない言葉がいろいろ出てきましたし、どういう理屈でコアが膨張するのか、 シロートなりにさらに調べてみました。 いくつもの論文や発表スライドを行き来して、しだいに球状星団の進化の全体像が見えてきました。 で、ほぼ3日ウェブをうろうろした後に・・・ズバリすべて書いてある記事を発見!

    The Dynamic Lives of Globular Clusters by S. George Djorgovski - Sky and Telescope, October 1998 p38 - p43

    Here was the resolution of Henon's paradox:
    binarries can serve as energy sources that stabilize globular-cluster cores against collapse.

        これでバッチリだ!! 最初からこれを読んでいればなにも難解な論文や研究発表スライドとにらめっこしなくても良かったのに。 でも逆にいろいろ勉強できて良かったのかも。教科書ガイドは、最後の自己採点として使うのがベストですからね。

        ホームセンター望遠鏡にうっすらと見えたぼんやりしたモノについて、 かなり理解できてきたような気がします。 もっとも方程式だけではナマの宇宙すべては表しきれないだろうし、 そもそも球状星団の構造と進化の研究は今もなお進行中のようだから、 今後の学者さん・研究者さんたちの努力に期待。 まあ、多少はわかったつもりになっておいて安物望遠鏡を天に向け、 遠い世界に思いをはせ、出来の悪い写真を撮り続けているのがシロートの分にはあっているのでしょうね。

        以下に、今回見つけて、シロートにもおぼろげに理解できそうと取り組んだマテリアルを挙げておきます。

  • 物性研究 61(2), 97-102, 1993-11-20 自己重力系の緩和と進化 杉本大一郎 (東京大学教養学部)
  • 天文学特別講義IV 牧野淳一郎 2009
  • 活動期に入りつつある球状星団の力学的進化の研究 稲垣省五 (京大理)
  • Antonov Problem & Quasi-equilibrium State in N-body Systems 樽家篤史
  • 長距離相互作用系の準安定状態 京都大学大学院人間・環境学研究科 阪上雅昭
  • 多数の初期連星を含む星団の数値的研究 谷川衝(東京大学)
  • 球状星団進化における連星系の効果 立川崇之 日本原子力研究開発機構
  • 銀河の力学構造と自己重力多体系の非線形現象 郷田直輝(国立天文台)
  • 重力多体系の物理の基礎 小久保英一郎 国立天文台理論研究部
  • Star Clusters and Stellar Dynamics:George Djorgovski, Lecture 15
  • Stability of gravitational systems and gravothermal catastrophe in astrophysics, J F Sygnet et al, 1983
  • Dynamical Evolution of Globular Clusters Lyman S. Spitzer Jr. 1987

  •     自分でもすぐに忘れちゃいそうなので、キーワードのサマリーをまとめておくことにしました。 論文やセミナーの教材を門外漢が斜め読みしただけなので誤解があるだろうし、信じないように。 最近ではWikipediaで調べたことをまとめてレポートとして提出するだけで卒業できちゃうトンデモ大学があるようですが、 すくなくとも以下のセクションの記述はそれ以下の信憑性と思ってください。

    重力多体系
      多数の物体がお互いに重力で引き合っている系は重力多体系と呼ばれる。 銀河系全体や、球状星団は重力多体系と考えられる。

    衝突系(Collisional)と非衝突系(Collisionless)
      重力多体系は、衝突系と非衝突系に分けて考えられる。 ここでいう衝突とは、実際にふたつの星が実際にぶつかるわけではなくて、 すれ違いざまにお互いの重力の影響で運動速度や方向を変えることをいう。 銀河系全体をみると、星と星の間隔は星の大きさよりもずっと大きく、つまりまばらなために、 衝突はほとんど起こらず、したがって非衝突系と考えられる。 いっぽう球状星団では星が密集しているため、衝突の影響を考える必要が出てくる。

    ニ体緩和
      二つの物体が衝突し、エネルギー交換が行われること。

    緩和時間 Relaxation time
      物体(星)の最初の軌道と直角方向の速度が、当初の運動速度と等しくなるまでの時間を緩和時間(relaxation time)と呼ぶ。

    強い遭遇と弱い遭遇
      強い遭遇とは二つの物体が極めて近くを通り過ぎることで、 銀河系の大きさと星の数を考えた場合、銀河全体としてみる場合は強い遭遇が起きることは極めてまれである。 球状星団の場合は、ひとつの星の生涯に1〜2回はこのような強い遭遇が起きるものと考えられている。
      弱い遭遇は強い遭遇の場合よりも距離を置いて二つの物体が通り過ぎることで、 弱い遭遇の数多い累積は1回の強い遭遇よりも影響度が高くなる。

    重力熱力学(Gravothermal Dynamics) - 熱輸送による系の進化
      衝突系では、あたかも気体分子の熱力学的ふるまいのような見方ができる。 ただし重力多体系のそれは、気体のそれとは異なる点も多い。 ここで熱とは系内の星の乱雑な速度のことを示す。 衝突系では二体重力散乱により星同士がエネルギーを交換することで熱が輸送され系が進化する。

    熱平衡 Thermal Equilibrium
      二体緩和が続く結果、長時間の後には系全体が熱平衡の状態になる。 この振る舞いを動的緩和(Dynamic Relaxation)と呼ぶ。 ただし自己重力系では、必ずしも単純に熱平衡に向かうわけではない。 エネルギー交換の結果、それぞれの物体の空間分布が変わるから。

    ビリアル定理 Virial theorem
      N個の粒子が互いに重力相互作用する系(自己重力多体系)において、 系全体の運動エネルギーの時間平均を<K>、 系全体のポテンシャルエネルギーの時間平均を<W>とすると、この系の定常状態では

      2<K> + <W> = 0

      が成立する。

        「いいかえると、系全体のポテンシャルエネルギーの時間平均は、系全体の全エネルギーの時間平均に等しい。」 とWikipediaに書かれているけれど(2010-08-15)、これであっているの?

    質量分離 Mass Segregation
      質量の異なる2物体間の二体緩和は、それぞれの速度エネルギーではなくて、 それぞれの慣性エネルギーを等しくしようとする。 そのため、遭遇の結果、重い星は速度が遅くなる。 この結果として、重い星は星団の中心にとどまり、軽い星は星団の外郭へ弾き飛ばされることになる。 このように二体緩和は質量を分離する作用を持っている。 この作用により、球状星団の中心部(コア)には大質量星が集中する。 (Star Clusters and Stellar Dynamics, p26)

    星団の蒸発 Cluster Evaporation
      二体緩和の結果として、時にはひとつの星が星団を飛び出してしまう場合がありえる。 これが続けば、あたかも球状星団が蒸発してしまうように見える。 蒸発に要する時間は緩和時間の100倍と見積られ、これはとても長い時間ではあるが、 星団の寿命に限界を与えている。 (Star Clusters and Stellar Dynamics, p25)

    負の比熱 / コア崩壊 (Core Collapse) / 重力熱力学的カタストロフ (Gravothermal Catastrophe)
      熱がコアの外に流れ出ると、コアの内部の温度が下がり、その結果として圧力が下がる。 このため、コアを重力に抗して支えている力学平衡が崩れ、コアが収縮する。 こうして解放された重力エネルギーは、流出した熱を補って余りあるものであり、 コア内部の温度はかえって上昇する。 熱の流出による温度低下に比べて、その後の重力収縮による温度上昇のほうが大きく、 差し引きでは、「熱を奪ったら温度が上がった」ことになり、いわば比熱が負になっている状態である。 負の比熱は、熱力学の原理が覆されたのではなく、 重力相互作用を繰り込んだために起こる見掛けの現象といえる。
      コアの温度が高まると、コアから外部へ流出し逃げていく熱の量も増える。 するとコアの温度はますます高まる。 この傾向がどんどん強まり、コア密度とコア外部密度の比が限界値を超えるとコアは急速に縮んでいく。 これをコア崩壊という。この熱力学的不安定の進行は、重力熱力学的カタストロフィーと呼ばれている。

    連星の生成 / 三体相互作用 / Post Collapse Evolution
      コア密度が高まると、星同士が近接遭遇するチャンスが増えてくる。 2つの星の近接遭遇ではエネルギーが交換されるが、2 体運動では相対運動のエネルギーは保存されるので、 2つが結合状態になることはない。 しかしたまたま3つが近接遭遇した場合は、確率的に、 そのうち2つが結合状態になることが起こりえる。 この結果、コア内部で連星が生まれる。 (星団形成の初期から連星を含んでいるケースがあることもわかってきている。)

      連星に別の星が接近遭遇した場合、さまざまなパターンの相互作用が発生し得るが、 平均的に見ると連星がそうでない星にエネルギーを与えるケースが優勢になる。 この結果連星はエネルギーを失い、ますます密に結合することになる。

      軌道長半径が小さな連星に別の星が接近遭遇すると、 連星の内部運動と3つめの星との相対運動とでは内部運動のほうが大きいため、 相互作用の結果、連星の内部運動のエネルギーを3つめの星に渡すことになる。 3つめの星のエネルギーは高まり、連星の軌道長半径は短くなり、軌道運動速度が高まる。 これにより連星の結合エネルギーは大きくなる。これを連星のハードニングという。

      連星の構成者よりも重い第3の星が接近遭遇した場合、第3の星が新たに連星の構成者となり、 もともと連星にいた軽い星を打ち出すことが起こる。 これにより、しだいに重い連星が増えていき、また連星はコアの中心に沈んでいく。

      この働きは、連星をコア内部での熱エネルギー発生源たらしめている。 コア内部でエネルギーが発生しているために、コアの崩壊は避けられる。

    重力熱力学的振動 Gravothermal Oscillation
      コアからの熱伝導による熱の流出と、コア内部の連星からのエネルギー供給とのバランスは熱力学的に不安定で、 コアは収縮・膨張を繰り返す。 これを重力熱力学的振動と呼ぶ。 膨張過程ではコア外縁のほうが温度が高くなる状態があり、 コア外縁からコア内部に熱が流れ込んでコア内部の温度が下がる。 するといっそう外縁から熱が内部に流れ込むことになる。

    連星燃焼の継続期間
      二体緩和の時間スケールで連星はコアに集まってくるから、球状星団における連星によるエネルギー供給は長い間続く。

    ブラックホール化はありえない
      球状星団はすでにとても古く、重い星はもはやあまり残っていない。 コア中心部にあるのは中性子星や白色矮星であると考えられ、コンパクトな星であるので、 星同士の物理的衝突は極めてまれである。したがって、球状星団がこの先ブラックホール化することはありえない。



    ようやく晴れた

       





    2010-09-01


    海王星

       



    2010-09-04
    M39
    M57
    Do-Dzim 9
    M2
    M72
    M73
    M15
    02646 Neptune
    M30
    M31
    M110
    M34


    2017-06-03 周回軌道上の夜明け

        春の南の夜空はさびしく、せいぜいがうみへび座のアルファードくらいで、いびつなからす座のアステリズムがわびしさを引き立てます。 それでも今年はおとめ座に木星があって3〜4月のころは南天でひときわフルーツ牛乳色に輝いていました。

        金曜日夜はいろいろあって出発が遅れ、第3研究所発が午前1時近くになってしまいました。 深夜の関越〜上信越道は予想外に冷え込み、気温は ティーディ のフェアリング内装備の気温計読みで15℃。 グリップヒータ を作動させての走行でした。 中央研究所に着いた午前2時半過ぎ、すっきり晴れた天空には天の川が南から北へ見事に伸びています。 天頂にはくちょう座。 これはもう夏の夜空。 東の低い空には何事かと思うほどに大きく輝く星。明けの明星、ルシファーです。 そういえば今夜はちょうど金星が西方最大離角の日なのでした。望遠鏡で見ればきれいな半月に見えることでしょう。

        木星はすでに没していました。 単身赴任ライダーの帰還を迎えてはくれなくなっちゃったけれど、いまの時期は夜8時にちょうど木星が南中します。 まださよならジュピターというには早いな。

        天頂を横切る壮大な銀河を眺めていたら、すうっと人工衛星。 おやあ、まだ午前3時前なのに、周回軌道高度でははやくも朝日が昇っているのですね。 かくも6月の夜は短いのか。 すばらしい速度で音もなく(あたりまえ) 夜空を横切っていく衛星を目で追いかけ、見えなくなって再び天頂に目を戻すと、 今度は別の方向から違う角度で飛んでいく人工衛星。 その次も… 10分かそこらの間に、実に5機もの人工衛星が我が家の上空を通過していきました。 みんな早起きだね。 ぼくは今から寝ることにするよ。

    2017-06-03 0245JST Naked Eye Observation





    JPL HORIZONS System
    WIKISKY.ORG
    Harvard-Smithsonian Center of Astrophysics
    Open Star Clusters / A Guide for the Open Star Cluster Observing Club

    Return to Top of this page
    Return to Research and Computing
    Return to NoobowSystems Lab. Home

    No material in this page is allowed to reuse without written permission. NoobowSystems has no business relationships with the commpanies mentioned in this article.

    Copyright (C) NoobowSystems Lab. Tomioka, Japan 2009, 2010, 2017

    http://www.noobowsystems.org/

    Sep. 26, 2009 Created.
    Oct. 12, 2009 Updated.
    Nov. 08, 2009 Updated.
    Nov. 13, 2009 Updated.
    Nov. 23, 2009 Updated.
    Nov. 29, 2009 Updated.
    Dec. 13, 2009 Updated.
    Dec. 26, 2009 Updated.
    Dec. 31, 2009 Updated.
    Jan. 23, 2010 Updated.
    Feb. 07, 2010 Updated.
    Feb. 18, 2010 Updated.
    Feb. 22, 2010 Updated.
    Mar. 10, 2010 Corrected typo.
    Mar. 15, 2010 Updated.
    Mar. 30, 2010 Reformatted. Netscape Navigator compatibility.
    May. 01, 2010 Updated.
    May. 03, 2010 Updated.
    May. 05, 2010 Updated.
    May. 08, 2010 Updated.
    May. 30, 2010 Updated.
    Jul. 12, 2010 Updated.
    Aug. 01, 2010 Updated.
    Aug. 09, 2010 Updated.
    Aug. 11, 2010 Updated.
    Aug. 16, 2010 Updated. Added mini study of gravothermal dynamics and globular cluster evolution.
    Jun. 03, 2017 Updated. Started to reformat, img size from 320px to 480px. [Noobow9100D @ L1]