NoobowSystems Lab.

Go to Back To Life Again

Hallicrafters S-20R
"Sky Champion"

General Coverage
Shortwave Communications Receiver
(1939-1945)


Circle h

    1933年にシルバー・マーシャル社製造による最初の短波受信機S-1スカイライダーを発売して6年後の1939年、 ハリクラフターズ社はそのシンボルロゴを改めました。 大きな丸の中に英小文字の"h"をあしらったシンプルなマークは、 同年発売のS-19スカイバディとS-20スカイチャンピオンのスピーカーグリルのデザインに使用され、 新鮮なインパクトを無線愛好家に与えました。 以来この「サークルh」マークはハリクラフターズ社の全盛期を通じて使用されて親しまれることとなります。
   



    ハリクラフターズS-20Rスカイチャンピオン は、4バンド切り替えで0.54MHzから44MHzまでの周波数をカバーする短波受信機です。 メタル管とGT管による9球構成の高一中二シングルスーパーヘテロダイン方式です。

    S-20Rは1939年、少数しか生産されなかったS-20スカイチャンピオンの改良機として発売されました。 それまでのハリクラフターズ機は精密な目盛が刻まれたシルバーの円形ダイヤルが印象的でしたが、 S-20Rではダイヤル盤をプラスチック製にし、扇形のエスカッションをもつカバーで覆いました。 電源を入れるとダイヤル盤は内側からランプで照らされ、透過式照明が実現しました。

    ダイヤル盤に使われている初期のプラスチック材は製造時は白色でしたが、光に反応してしだいに黄ばみ、 この時代のハリクラフターズは現在では例外なくアンバー色のダイヤルになってしまっています。





    S-20ではチューニング連動のロギング スケールでしかなかった中央のダイヤルはS-20Rではバンドスプレッド ダイヤルになり、 チューニングつまみが2つになりました。 一見Sメータ風に見えるデザインですが、メイン ダイヤルと同様にプラスチック製のダイヤル盤が中で回転する仕組みです。 S-20Rにはオプションで外付けSメータが用意されていました。





    このモデルは、戦前のハリクラフターズの受信機ラインアップの中ではミッドレンジ機といえます。 エントリーモデルとしては基本的に5球スーパー(高周波増幅なし、中間周波増幅1段のシングルスーパーヘテロダイン)である S-19Rスカイバディ があり、その上位として高一中二構成のS-20Rスカイチャンピオンが用意されていました。 最上位機種は、いうまでもなく通信型受信機の記念碑的存在であるSX-28スーパースカイライダー(1940)です。

    S-20Rと同じ1939年のモデルであるSX-24スカイライダー ディフィアントはS-20Rと同じ9球シングルスーパーの4バンドモデルですが、 クリスタル フィルター/選択度可変機構/Sメータ標準装備/アマチュアバンドにキャリブレートされたスケールをもつバンド スプレッド ダイヤル・・・など、 上級アマチュア無線家向けの装備を持っていました。 資料によればS-20Rは第二次世界大戦が終わる1945年までの販売となっています。 戦後、エントリーモデルのS-19Rスカイバディはより低価格志向となり、 エコーフォンEC-1 / EC-1A/EC-1B を経て ハリクラフターズS-38シリーズ に進化します。

    一方ミッドレンジ機であるS-20Rスカイチャンピオンは、 使用真空管やパッケージデザインをリニューアルされてS-40シリーズとなり、これまたミッドレンジクラスの人気モデルになりました。 ちなみにハリクラフターズの型番の"SX"はクリスタル フィルター装備の受信機、"S"はクリスタル フィルターなしの受信機を意味します (ただしVHF受信機にはこのルールは適用されません)。 初期のモデルではクリスタル フィルターがオプションで用意されていたものもあり、 たとえばS-16とSX-16はオプション装着のあり/なしの他は同一モデルです。








パネルレイアウトとコントロール

    S-20Rのフロントパネルのコントロールは、向かって左側から表のようになっています。
    中央に2つならぶつまみは、左がメイン チューニング、右がバンドスプレッドです。 15年後の ハリクラフターズSX-96 のコントロール レイアウトも、基本的にはこれと大きくは変化していないことがわかります。 実はS-20RとSX-96のフロントパネルのサイズは幅47cm、高さ21cmと同一なのです。

CONTROL DESCRIPTION
RF GAIN 高周波増幅段・中間周波増幅段のゲイン コントロールです。 時計方向に回しきるとゲインが最大となり、カチリとスイッチが入って外付けSメータが動作します。
BAND SWITCH ロータリー スイッチによるバンド切り替えです。
AUDIO GAIN ボリューム コントロール。音量を調整します。
A.V.C AVCのON-OFFを切り替えます。
B.F.O. BFOのON-OFFを切り替えます。
A.N.L. ノイズ リミッタのON-OFFを切り替えます。
TONE OFF/HIGH/MED/LOWの4ポジションを持ったトーン コントロールです。 OFFの位置で電源が切れます。
PITCH CONTROL BFOピッチ コントロールです。 約300度の範囲で回転しますが、ポテンショメータではなくてコイルのスラグを移動させる方式です。
SEND-REC スタンバイ スイッチです。
PHONE ヘッドフォン ジャックです。ハイインピーダンスのヘッドフォンを使用します。




(Photo after servicing)


受信機の詳細

回路構成と使用真空管

    S-20Rは高一中二のシングルスーパーヘテロダイン受信機です。 中間周波数は455kHzで、真空管構成は以下のようになっています。

DESIGNATION TUBE FUNCTION
V 6SK7 RF Amplifier
V 6K8 Mixer Oscillator
V 6SK7 1st IF Amplifier
V 6SK7 2nd IF Amplifier
V 6SQ7 Detector / AVC / 1st Audio Amplifier
V 6H6 ANL
V 6J5GT BFO
V 6F6G Audio Power Output
V 80 Rectifier

    標準的な高一中二シングルスーパーであるこの回路構成は、 1959年のS-108までの20年間、姿を変えながら受け継がれていきます。



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匡体構造

    ケースの両サイドとフロントパネルは一枚物で、板厚1mmのスチール板をコの字型にプレス成型して作られています。 スピーカ部分はパンチング メタルでカバーされています。 エントリー機S-19Rにはない両サイドのシルバーのガーニッシュが上級機ならではの高級感を出しています。

    ケース上面はロック機構無し・ヒンジ式のボンネットになっており、 シャーシ上面に簡単にアクセスできます。








大型の中間周波トランスが写真からおわかりになるでしょうか?


チューニング メカニズム

    ダイヤル盤は、メイン チューニングつまみと同一方向に回転します。 時計方向に回すと、受信周波数が高くなります。これはSX-96とは反対。

    バンドスプレッド バリコンはメインの3連バリコンと一体化されており、チューニングつまみから糸掛け駆動されます。 バンドスプレッドつまみのシャフトにはフライホイールが取り付けられています。 バンドスプレッド ダイヤルは0-100のロギング スケールのみです。

    バンドスプレッド バリコンのロータは、メイン バリコンのステータの間に入り込みます。 バリコンの中央セクションから周波数変換管6K8のグリッド キャップに接続されているのが見えます。

    S-20Rスカイチャンピオンのバンド アレンジメントは以下のようになっています。

BAND COVERAGE (MHz)
1 0.54-1.75
2 1.7-5.5
3 5.4-16
4 15-44






高周波増幅回路と中間周波増幅回路

    高周波増幅段と2つの中間周波増幅段には、 6SK7 リモートカットオフ ペントードが使用されています。 これらの段はいずれもAGC制御を受けます。 3本の6SK7のそれぞれのカソード抵抗はグラウンド側で1つにまとめられ、 RF GAINポテンショメータに接続されています。 すなわちフロントパネルのRF GAINコントロールは、これら3つの増幅段のゲインを同時に変化させます。

    1939年のS-19スカイバディでは、これらの増幅段で使用されていた6K7から6SK7へのランニング チェンジが行われました。 S-19RおよびS-20Rでは当初から6SK7が採用されています。

    6SK7は、1950年代後半にミニアチュア管6BA6に置き換わるまでの間、短波受信機の増幅管として広く使われました。 相互コンダクタンスは2000マイクロモーです。





スペア管をチェックしていたら、NOS品の6SK7GTのベース部分の金属ベルトが見事に割れてしまっていました。


周波数変換回路

    S-20での6L7混合/6J5局発のセパレート構成に対して、S-20Rでは周波数変換回路には 6K8 が使用されています。 6K8は図に示すような特殊構造をした周波数変換用の3極・6極複合管で、 カソードと第1グリッドは3極管部分と6極管部分に共通です。 6極管部分の第2・第4グリッドは同一のもので、 第3グリッドを取り囲む形でスクリーン グリッドを形成しています。

    3極管部分は局部周波数発振回路として動作させ、 6極管部分で混合動作を行います。 局発部のグリッドが混合部の第1グリッドと共通になっているので、ここで局発信号が注入されることになります。 入力信号は管頂のグリッド キャップから混合部の第3グリッドに注入されます。

    6K8はペンタグリッド コンバータ6A8に比べコンバータ ゲインは低いものの、 短波帯での動作がより安定しています。 6K8はAGCをかけることも可能ですが、S-20Rではそうしていません。

    6K8はS-19R/S-20R/SX-24/SX-25などのモデルに採用されましたが、 すでに同1939年のSX-23スカイライダー23では改良型ペンタグリッド コンバータである6SA7が混合管として採用されています。 1940年のSX-28スーパースカイライダーでは6SA7を局発用と混合用にそれぞれ使う構成がとられました。 以降6K8が採用されることはなく、6SA7/12SA7の時代になります。




検波・AGC・初段低周波増幅

    6SQ7 双2極3極複合管が使用されるこの段はごく標準的なものです。 双2極管のふたつのプレートは並列接続され、検波回路を構成しています。 AUDIO GAINポテンショメータで音量調整が行われた後、3極管部で低周波増幅が行われます。


ANL

    双2極管6H6がANLとして動作します。 ANLのON-OFFはフロントパネルのスイッチで切り替えることができます。




BFO

    3極管6J5GTを用いたBFO発振回路はフロントパネルのBFOスイッチをONにすることでプレート電源が供給され、 発振を開始します。 発振出力はグリッドから取り出され、検波管のプレートに注入されます。

    BFO発振周波数はフロント パネルのピッチ コントロールつまみで調整できます。 これは6J5GTのプレートに入った発振コイルのスラグ位置を変化させることにより行っています。


音声出力回路とスピーカ

    音声信号は出力用5極管6F6-Gで電力増幅され、ダイナミック型スピーカを駆動します。 ラボの個体では、6F6-Gの代わりに、後になって追加発表された6F6-GTが使用されています。

    スピーカはパーマネント型ではなく、フィールド コイルを持ちます。 フィールド コイルはB電源回路の平滑チョークとしても機能します。 またオーディオ出力トランスはスピーカに取り付けられています。

    ラボの個体ではスピーカはパーマネント型に改造されていました。 ヨークに取り付けられている出力トランスは当初のスピーカについていたものだと推測されます。

    フロント パネルのヘッドフォン ジャックは標準モノラル ジャックで、 差し込むと出力トランスの2次側回路が開いてスピーカの音が止み、かわりに出力管の入力信号が接続されます。 すなわち、ハイ・インピーダンスのヘッドフォンを利用します。




トーン コントロール

    3段切り替えのトーン コントロールは、 出力管6F6Gのプレートをシャントキャパシタを介してグラウンドに落とすことにより実現しています。 この方式は低コストで実現できるものの、すでに中間周波段で高い選択度を持っている通信型受信機ではほとんど意味のない方式です。 が、出力管の歪によって生じた高域成分を減衰させてオペレータの疲労を低減する意味はあります。 あるいは、IFTの選択度があまり良くないのをカバーする意味もあるでしょう。

    S-20Rではシャント キャパシタに直列に入るシャント抵抗を、 オープン(HIGH)/抵抗(MID)/短絡(LOW)の3通りに切り替えることができます。 特にLOWポジションにしたとき、シャント キャパシタには6F6Gのプレート電圧がそのまま印加されます。 このキャパシタがショート故障すれば、出力トランスの1次側巻線あるいはシャント抵抗器の焼損事故につながります。 キャパシタは無条件に新品に交換すべきでしょう。




電源回路とスタンバイ スイッチ

    B電源の整流は、ST型の直熱型全波整流管80で行われます。 80のフィラメント定格は5V・2A、最大125mAの出力電流を得ることができ、5Y3-Gと能力的に等価です。

    ラボの個体では、ST型ではなくGT型の外形をもつRCA製の管が使用されています。 ガラスにははっきり"80"と印刷されているものの、 フィラメント支持方式などの内部構造は5Y3-GTに近いようです。 ベースはオリジナル80と同じUX型4ピン。

    整流回路はスピーカのフィールド コイルを平滑チョークとして用いています。 手元の個体ではスピーカをパーマネント タイプに置き換えたため、 後付けのチョークコイルをシャーシ上にむりやり取り付けています。

    リヤパネルにある外部電源ソケットにDC340VのB電圧およびヒータ用の6Vを供給することでDC運用が可能です。 ここにオプションのバイブラパックを装着すれば、モービル運用ができます。 AC運用するときは、外部電源ソケットにショート・プラグを挿しておきます。

    フロントパネルのスタンバイ スイッチは電源トランスのB巻線に入っており、 スタンバイ ポジションにするとすべての真空管へのB電源の供給が停止します。




Sメータ出力

    リヤパネルのSメータ接続用ソケットにはAGCライン電圧、B電圧、 ヒータ電圧および高周波増幅管のスクリーン電圧が出ています。 RF GAINコントロールを時計方向いっぱいにまわすとカチリとスイッチが入り、スクリーン電圧が出るようになります。 ゲイン コントロールを幾分でも下げた場合は、このスクリーン電圧は出力されません。



太平洋を渡って

    太平洋を渡ってS-20R スカイチャンピオンがラボにやってきました。 外観上は年代相応の汚れがありますが、欠品はなく、大きな痛みもないのでクリーニング程度で済みそうです。

    動作するとのことでしたが、電源を入れずに観察した限りでは、シャーシ上に正体不明のトランスが取り付けられていること (ひょっとしたらチョークコイルかな?)、スピーカは交換されていてオリジナルではなさそうなこと、 さらにバンドスプレッド ダイヤルが空回りするのが問題点といったところ。





    4本のセルフタッピング スクリューを緩めてケース底のカバーを取り外すと、シャーシ下面にアクセスできます。 各バンドのコイルやトリマ キャパシタは長いシャフトを持つロータリー スイッチと一体となったコイル パックとして実装されており、 1960年代の日本製受信機と変わりがありません。

    高周波増幅管と周波数変換管のソケットはコイル パックの下となっており、はんだこては入りそうにありません。 この部分の作業をするためにはコイル パックを取り外す必要がありそうです。

    ケース底面の両側には通風孔が空いています。





    ケース底カバーには穴があいていて、コイル パックのトリマはカバーを外すことなく調整できます。 カバーの有無で調整ポイントが変わってしまうことへの配慮だと思われます。

    工場出荷時はケース底カバーのトリマ調整穴の部分は性能保証のボール紙で隠されます。 本機は以前ユーザによる再調整が試みられたようで、ボール紙カバーは失われています。





    抵抗はカラーコードをもつソリッド抵抗器が主体、キャパシタはペーパーとマイカが使われています。 配線は木綿のシースを被ったワイヤーで、一部に結束処理も行われています。

    電源系と検波回路を中心に修理、もしくは改造の形跡がみられます。 ヒューズが追加されていたり(オリジナルにはヒューズはありません)、 ヘッドホンジャックの配線も一部切られていたりするので注意が必要です。 シャーシ上の正体不明の大きなコイルはやはり後付けです。 これはフィールド コイルのないスピーカに交換したために、 フィールド コイルに代わるチョークコイルとして電源回路に入れたもののようです。

    Sメータ用ソケットの配線は他と不釣合いなビニール線(ただしさほど新しくはない)が使用されています。 オレンジ ドロップが使われていることを考えると、修理あるいは改造が行われたのは1960〜70年代頃、 あるいはおそらく、1950年代から1970年代までの間に複数回、手を入れられたものと考えられます。

2000-11-17 外観チェック






Fire it Up

    無謀なのは承知の上で・・・簡単なチェックだけ済ませて電源を投入しました。 すでに前のオーナーは少なくとも数ヶ月以前には電源を入れていましたから、50年ぶりの110Vというわけではありません。

    ダイヤル盤が濃いオレンジ色に灯り、スピーカからポツポツとノイズが出始めました。 アンテナをつないでの初受信は、北京放送の日本語番組。 簡単に各コントロールの動作と各バンドでの受信状況を調べ始めました。 電源を入れて約10分後、ヨメも見ている目の前でCW局を聞いていたら、ケースの中からとつぜんスプレーを吹くようなシューッと言う音が!!! あわててスイッチを切ります。 「いい、今シューって言ったよなあ?」 「言った言った!! スピーカからじゃなくてハコの中から!!! 」 でも別段煙が出るわけでもなし、異臭もありません。いったい何だったんだろう?

    しばらくして恐る恐る電源を入れなおすと、S-20Rはふたたび鳴り出しました。 たぶんキャパシタがやられかけているのでしょうから注意しつつテストを再開します。 最初はいきなりの日本語にびっくりしたのか感度がかなり悪そうだったのですが、 シグナル・ジェネレータを使ってテストしていくうちに調子を取り戻してきたと見られ、思いのほかの高性能ぶりを現し始めました。

受信感度

    かろうじて信号を判別するために必要なシグナル・ジェネレータ出力は、おおむね以下のようでした。

DIAL SETTING BAND A BAND B BAND C BAND D
10% 0.589MHz 30dBμ 1.822MHz 0dBμ 5.617MHz 5dBμ ---MHz 無感
25% 0.673MHz 30dBμ 2.069MHz 0dBμ 6.364MHz 5dBμ 18.113MHz 45dBμ
50% 0.945MHz 30dBμ 2.848MHz 5dBμ 8.620MHz 10dBμ 24.602MHz 60dBμ
75% 1.402MHz 30dBμ 4.112MHz 15dBμ 12.067MHz 15dBμ ---MHz 不明
90% 1.834MHz 20dBμ 5.265MHz 25dBμ 14.868MHz 15dBμ ---MHz 不明

    BAND BとBAND Cの感度はなかなかのものです。 BAND Dはダイヤル下側、16.9MHzを下回るととたんに感度ゼロ状態になります。 テストに使ったジェネレータは30MHzまでしか出せないのですが、 出力レベルが測れない別のジェネレータで試すと、 ダイヤル位置による感度ばらつきが極端にあることがわかりました。 30MHz以上と、20MHz前後では感度があるのに、27MHz近辺や17MHz以下では無音状態です。 また30MHz以上ではイメージが本来の信号と同じ程度の強さで聞こえてしまっています。

AGC動作

    Sメータをつながないと正しい診断はできないでしょうが、AGCもひととおり動作しているようです。 同調操作のたびに音量を調整する必要はあまりありません。RFゲイン コントロールも正常に動作しています。

選択度

    選択度は国際放送なら十分実用になりますが、 DXを狙う場合、あるいはアマチュアバンド受信では不満が出てくるでしょう。 逆にいえば、安定で強力な国際放送なら良好な音質が得られます。

音質

    交換されていると思われるスピーカからの音は、スチール製のケースに直接ボルトオンしている割には良好であり、 ケースを軽く叩いてもマイクロフォニックはほとんど気になりません。 音量を上げてもビビリ音はありませんが、いかにも薄い鉄板のケースである音がします。 トーンコントロールの効果は明らかです。 HIGHでは短波受信には不向きで、LOWにすると高音が抑えられて落ち着いた音になります。

筐体に触れると、おそらく電源トランスが原因の、明らかな50Hz振動が感じられます。 しかしスピーカからのハムはほとんど気にならないレベルです。

安定度

    驚いたのは、安定度がことのほか良いこと。 この受信機は安定化電源回路を持っていませんから隣の部屋のコタツのON/OFFでわずかに受信周波数が変わるのは致し方ありませんし、 温度変化によるゆっくりとした受信周波数の変化は無視できないので、 10分間手放しで14MHzのSSBをモニタできるほど優れているわけではありません。 が、BFOをONにしてCWを聞いてみると、短期的な周波数のふらつきや機械的振動による周波数変化はかなり少ないことがわかります。 CRV-1/HB などではCWを聞くとどうにもチャーピーなため放電安定管を追加して改善しましたし、貧乏ゆすりは厳禁でした。 S-20RのCW音はたいへんクリスプで、貧乏ゆすりもOK。 総合的な安定度は、放電安定管を組み込んだ後のCRV-1/HBや 9R-59 と同等程度ではないかと思われます。

動作の安定性

    最初に電源を入れたときはプツプツと言った感じのランダムなポップノイズが出ていましたが、15分ほど後にほぼ消えました。 またときおり音量がわずかに大きくなったり小さくなったりします。 キャパシタや抵抗などの部品の劣化があるのは明らかだし、各コントロールにも接触不良等が残っています。 本来の性能を取り戻すためにはキャパシタや抵抗の全交換が望まれますが、現状でもかなりの性能を出していることに驚かされます。
バンドスプレッドの空回りは要修理ですが、メイン チューニングももう少しスムースさが欲しいところです。


(ここで21年間のブランク)


21年ぶりの光

    入手直後の状況観察通電をした以降、 スカイチャンピオンは段ボール箱に入れられて修理待ちのステータスになりました。 が、スペースがない第1研究所ではやや大柄なこの受信機を整備することはなかなかできず、 その後ポゴの誕生・仕事のトラブルとつづき、 段ボール箱に入れられ中央研究所に運び込まれたS-20Rがようやく箱から出て再び光を浴びたのは、 実に21年後でした。 しかしこれはコロナ禍で在宅勤務室が必要になり、容積率80%以上にモノが詰め込まれた保管室の整理作業をはじめたから。 長い間復活を待ちわびていたスカイチャンピオンにとっては、コロナ禍は災い転じて・・・だったのかもしれません。

2021-05-28 中央研究所 夢と時空の部屋 修理待ち機としてラックに設置

(このセクションは 2021-12-12 に Noobow5000 Windows2000 Professional上のXyzzy0.2.2.231で書きました)





生命の兆候なし

    2021年秋。 整備を終えた コリンズ75S-1 は快調に動作しています。 ここ数年で急速に普及したデジタル通信モードFT8も快調に受信できています。 帯域幅わずか3kHzの周波数に複数の局が同時に運用でき、 目の前で世界のあちこちからの信号が同時に受信できているというのは今までになかった体験。 真空管式受信機で聴くデジタルモード、面白いね。

    FT8を安定して受信するには、受信機は10Hzオーダーで復調周波数が安定している必要があります。 コリンズ75S-1は60年経った真空管式といってもその安定度の高さはピカいちですから問題なく受信できるわけですが、 ほかの真空管式受信機ではそうはいかないだろうなあ。 たとえばそこにあるハリクラフターズS-20Rは・・・ 1939年モデル、わがラボの最古参です。 これでは無理だろうなあ、 試してみよう。

    コロナ禍の巣ごもりでラボの保管室の整理が進み、今年になってようやく段ボール箱から出てこれたS-20R。 早いもので、最後に通電動作させてから21年が経過しています。 電源を入れてみると、プツッという音は出ますが、パイロットランプは点灯しないし、 真空管のヒータも全く点灯しません。 これは・・・ 生命兆候が全くない。

2021-10-31 整備開始 生命兆候全くなし






明かりが灯った

    電源整流管は80です。 これではないことはほぼ確実ながら、抜いて球を乾拭きしたついでに単体チェック。 フィラメント点検してみると、5Vで1.73A流れ、ほんのり赤熱します。 電流がちょっと少ないですが、動作しないことはないはずですね。 受信機に挿し戻してよく見ると、80のヒータはうっすらと赤熱しています。 しかしほかの管はどれ一つ - メタル管の中身は見えませんから実際には出力管とパイロットランプが・・・ 点灯しません。

    80は直熱管なので電源トランスの5Vフィラメント点灯巻線は6Vヒータ巻線とは別系統です。 80は灯るけれどほかの真空管とパイロットランプが灯らないということは、 6V系ヒータ巻線断線の可能性あり。 そうなったら大ごとだと思いながら回路図と実機配線を追いかけると、 おお、トランスの6Vヒータ巻線には電圧が出ている。 しかしランプも真空管ヒータも灯らないとすると・・・

    原因は、シャシー背面に挿入されている電源プラグの接触不良でした。 このプラグは本機の電源回路の接続構成を切り替えるもので、 バイブロパックを使ってカーバッテリから動作させるときはそれ専用のケーブルをここにつなぎ、 またバッテリ動作させるときはそれ専用のケーブルをここにつなぎます。 AC120Vで動作させるときはここに専用コネクタを挿し込んでおきます。

    でもAC動作させるとき用のコネクタには2本のジャンプワイヤがあるはずなのですが、 ラボ実機のコネクタには1本しかありません。 回路図と実機を照合していくと、 シャシー内部に後付けで追加されたヒューズが、コネクタのジャンプワイヤの代わりになっていることがわかりました。 コネクタに残っているジャンプワイヤは真空管ヒータとパイロットランプ点灯用の6V回路を閉じるもので、 このジャンプワイヤの接触が悪くなっていることがわかりました。

    暫定対策としてシャシー内部のコネクタソケット側でこのピンをショート。 これでパイロットランプも真空管のヒータも点灯しました。 スピーカからはなにやらバックグラウンドノイズが聞こえますが、 しかしどのバンドでも何も受信できません。

2021-10-31 電源コネクタジャンプワイヤ接触不良 シャシー内でショートし暫定対策






あのメロディを再び

    お次は定番のオーディオ段テスト。 普通ならばボリュームコントロールのホット側に外部からオーディオ信号を注入するところですが、 ケースに収まった状態ではボリュームコントロール (AF GAIN) のポテンショメータには手が届きません。 なので回路図と配線を追いかけ、 オーディオ信号注入ポイントを探し、 信号を入れます。 すると、S-20Rは十分な音量と期待される音質で鳴り始めました。

    しばらく同人ジャズアレンジを楽しんでいたのですが、 80年前のラジオに突然同人作品では困惑しているかもしれませんね。 そこでこの受信機が誕生した年 - 1939年のベストヒット曲を聴かせてあげることにしました。 この曲ならきっと、この受信機は聞いたことがあるはずです。

2021-10-31 オーディオ段正常動作開始




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中間周波増幅段動作開始

    つぎに、第1中間周波増幅管6SK7のコントロールグリッドに455kHz AMの信号を注入してみました。 しっかり復調されて音声が出ています。 中間周波数増幅段・AM検波段とAGCも正常動作していると思えます。 シグナルジェネレータ出力20dBμで十分に了解できるし、IFTの調整ずれもほとんどなさそうです。 明日からの在宅勤務BGMは455kHz AMでジャズアレンジだな。

    ときおりパリパリノイズが出ています。 電源平滑キャパシタを含めてまだどのキャパシタも交換してませんからね、 当然のことです。 ハムはほとんどなくて、むしろ80年以上前の電解キャパシタがいまも動作していることに驚くばかりです。

2021-10-31 中間周波段・検波段 動作開始
   





バンド2/バンド3で受信動作開始

    ここは無条件交換ですね。 低周波出力管6F6GTのカソードバイパス電解キャパシタC20、 30μF 25Vを 47μF 35Vの新品に。 もっともいつの新品だかわかりませんが、 まあ1970年代後半以降のものでしょうか。 40年くらいは若返ったはずです。

    効果はあり。 ポップノイズが顕著に減りました。 さらに、バンドセレクタロータリースイッチの接点をドライタイプのエレクトリッククリーナで洗浄し、 バンドセレクタをカチカチ回して、接触不良を除去。 バンド2とバンド3で受信動作をし始めました。 IFTの455kHz合わせ込み調整を実施し、 バンド2とバンド3のトラッキング調整も仮実施。 どんどん調子を取り戻してきています。 うれしいね。

    感度も結構出ていて、 7.074MHzのFT8もはっきり受信できています。 しかし音声信号をPCに入れても、 思ったほどにはFT8ソフトウェアはデータをデコードできません。 ハムの影響か、信号強度に依存した受信周波数変動によるチャープか、 まあそんなところなのでしょうけれど、 安定したFT8受信を行うには課題がたくさんある様子。 それでも数局はFT8をデコードできました。

「80年前の受信機でもFT8は受信できるか?」

という問いには肯定的に回答できました。

2021-11-01 6F6G カソードバイパスキャパシタ交換 ポップノイズ減った






シャシーの汚れ

    いじりながら少しずつシャシー上面の清掃も進めています。 幸いにシャシーの表面腐食は酷くありません。 当初オーナーはヘビースモーカーだったらしく・・・ 1940年代ならば当然のことだったのでしょう・・・ シャシー上面の汚れはタバコのヤニと、それに付着した微細なホコリ。 水ぶきで大半は落とせますし、 しつこい部分はシンプルグリーンまたは アルコールを使って清掃します。

    BFOも動作していますが、ピッチコントロールのセンターはずれていました。 調整しようとして、作業失敗。 可変μ式調整機構を大きくずらしてしまいました。 再調整するためにはシャシーをケースから取り外す必要があります。 のでこの作業は後回しにしました。

    メインチューニングはかろうじて動きますが糸掛けのスリップあり、 バンドスプレッドは空回りしてしまいます。 ドライブコードの新品交換を含むメカニカルなサービスが必要。

    バンド4が完全に無感です。 どうやらバンド4では6K8が局部発振周波数を発振できていないようす。 これはチャレンジだなあ。

2021-11-01 BFO調整失敗






ニチコン・ルーレット

    この受信機はプレイ・スルーがとても大きいことに気がつきました。 正直、最初に電源を入れたときからこうだったのか、今となっては分かりません。 ボリュームコントロール (AUDIO GAIN)を目いっぱい絞っても、 結構な音量でスピーカから音が出続けるのです。

    これはどうしてだろうかと考え始めていたら、 パリパリノイズが出始めました。 音量を絞り切れないならスタンバイスイッチで完全にミュートしてしまえばよいのですが、 パリパリノイズが出てしまうとBGMどころではないですからね、こちらが優先課題です。

    さあて、パリパリノイズはどのキャパシタの劣化によるものかな? 初段低周波増幅3極管6SQ7のプレート電圧を オシロスコープ で観察すると、不定期に、ノイズ音と同時に、 約500mV程度のDC電圧シフトが観察されます (オシロは20mV/div設定、プローブは1:10設定)。

    いっぽう、グリッドにもカソードにもノイズ波形は観測されません。 さらに、6SQ7プレートと、オーディオ出力管6F6GTのグリッドをつなぐキャパシタを切り離すと、 当然受信音声は出なくなりますが、ノイズも出なくなります。 このことから、6SQ7のプレート周りに問題があると推測できます。



    まずは6SQ7のプレートと6F6GTのグリッドをつなぐカップリングキャパシタを交換してみましょう。 ところが奇妙なことが。 カップリングキャパシタは0.02μFのペーパーキャパシタなのですが、 これを0.047μF新品に交換すると途端に音が小さくなるのです。

    まったく説明がつかない現象。 あれやこれや数時間試し、 ようやく原因が判明しました。 ニチコンの新品キャパシタが不良品だったのです。 アナログテスタで抵抗値を測ると、 6kΩ程度を示しています。 これでは6F6Gのグリッドの電圧が高くなってしまい、 アンプとして動作しなくなるわけですね。

    同じキャパシタはいつ買ったものなのか、 たぶん2000年ころに秋葉原で買ったのかも。 新品在庫は6個ありましたが、 このうち1個 (今回たまたま「引いた」モノ) が6kΩのリークを示していて、 別の1個はリークはないけれど容量少なすぎ。 残り4個は正常でした。 6個中1個しかないハズレ品を引くだなんて、 私は万一の万一に必要に迫られても、 ロシアン・ルーレットは応ずるべきでないと確信しました。

    さてパリパリノイズですが、 まあ、よくあるパターンですね。 数時間を費やしてキャパシタを1個交換して、 全く変化なし。

2021-11-03 パワーアンプグリッドカップリングキャパシタ交換 C19 ノイズは変わらず






これだー

    6AQ7のプレートに電圧を供給するVB+ラインの電圧は、パリパリノイズが出ている間も安定しています。 それではプレート抵抗が不安定になっているのでしょうか。 プレート抵抗は270kΩ 1/2Wのソリッド抵抗。 これを新品在庫の250kΩ品 - ただし1950年代後半〜1960年代の日本製新品在庫品に交換します。 見た目だけではずっと古い年代の品物に変えたように見えてしまいますが・・・ これはアメリカと日本の当時の技術の差といったところ。 見た目が退化しても、ちゃんと働けばいいのです。

    まあ、またまた、これを交換してもちっとも変化はなかったわけなんですけれどもね。

2021-11-03 プレート抵抗交換 変化なし





    6AQ7のグリッドにノイズ波形は見られない。 カソードにも見られない。 VB+は安定している。 プレート抵抗を新品に交換しても状況は全く変わらない。 ・・・となると、これしか残っていないのでは?

    6SQ7のプレートバイパスに入っている270pF 500Vマイカキャパシタをニッパで切り離したら、 パリパリノイズは完全に消えました。 見つけた。




    新品在庫の220pF 1kV品に交換して、ひとつ問題解決。 ふひー、達成感あるね。 もうすこし手順よく原因究明したいところですが・・・ 学び。 マイカキャパシタも古くなると壊れる。

2021-11-04 プレートバイパスキャパシタ交換 ノイズ消滅






プレイ・スルーに取り組む

    パリパリノイズが消えましたので、つぎはプレイ・スルー対策。 プレイ・スルーとは、ボリュームを目いっぱい絞ってもスピーカから音が出続ける現象。 ボリュームのポテンショメータに接触不良があると目いっぱい絞った位置で突然大きな音が出たりすることがありますが、 それとは違います。 「ボリュームを絞り切れていない」 感じで、音が出続ける現象。 本機はほんとうにプレイ・スルーが強いです。 ボリューム位置ゼロで、室内のBGMにちょうどいい程度の音量でしっかり音が出続けているのです。

    プレイ・スルーは古くからある問題で、 Radiotron Designer's Handbookを読んでみると、1セクション使ってプレイ・スルー問題の対策が書かれています。 これを読みながら、あれこれいじりつつ原因探すことにします。

    ボリュームを絞り切った状態では、グリッドには455kHz中間周波数の成分がわずかに出ています。 しかしこれをグラウンドに落としても、 プレートにははっきりと半波検波後の455kHz成分が出ており、 それは音声信号で変調されていますから、出力管で低周波成分が増幅されて音が出てしまいます。

    パリパリノイズの調査をしていて、 本機の初段低周波増幅段 6SQ7の3極管グリッドは、回路図と実機とで異なっていることには気がついていました。 回路図ではグリッドはAUDIO GAINポテンショメータのワイパーに直接接続されていますが、 実機ではグリッドとグラウンドの間6.8MΩの抵抗がつながれ、 グリッドとポテンショメータワイパーは0.005μFのディスクセラミックキャパシタでつながっています。 つまり、3極管のグリッドはグリッドリークバイアスに変わっています。

    回路図と異なっていることを考えると、これはユーザによる改造なのかもしれません。 本機にはこの0.005μFのほかにはディスクセラミックキャパシタは使われていないこと、 グリッドリーク抵抗はソリッド抵抗器ですがほかの抵抗器に比べると新しく見えること、 を考えると、戦後の改造である可能性もあります。 でもそうだとしたら、何を目的とした改造だったのでしょう。 音質向上を狙うような機械ではないし。 試してみただけ、なのかな?

    ハンドブックには、3極管をグリッドリーク動作させているときのプレイ・スルーの可能性が書かれています。 対策は「発生している場合はキャパシタ容量を大きくしてみろ」。 でも大きめのキャパシタを0.005μFに並列につないでも状況は全く変わりませんし、 そもそもグリッドをグラウンドにダイレクトに落としてもパス・スルーは出ていますからね。 念のために6.8MΩのグリッドリークを切り離してグリッドをポテンショ直結にしてみました ― つまり回路図通りの結線にしてみましたが、状況は変わりません。 グリッドリークの問題ではないでしょう。 回路はふたたび入手時と同じグリッドリークバイアスに復旧しました。

    交換したばかりの、6SQ7 3極管のプレートをグラウンドに落とすバイパスキャパシタの容量不足? しかしこれを多少大きくしても、プレート波形の455kHz成分は皆無にはなりません。 プレイ・スルー音量も変化なし。





    6SQ7のカソードまわりを新品の抵抗で組みなおしましたが変化なし。 真空管ソケットと真空管ピンベース部をエレクトロニッククリーナで何回か洗浄してみましたが、 変化なし。

    6SQ7周辺のキャパシタや抵抗をひとつひとつ新品交換していきますが、 プレイ・スルー音量には変化がありません。

    6SQ7の3極管プレートと2つの2極管部プレートは近い位置にあって、 そのすぐ脇を絹巻電線が絹糸で束ねられてぎっちりと通っています。 最終の中間周波トランス2次側の線もその中で、 これは2極管プレートにつながるわけですが、 そこにBFO出力の絹巻線が来ていて、中間周波トランスからの線に巻き付けられています。 BFOの注入は回路図ではキャパシタの記号が描かれていますが、 実際にはこのツイストワイヤがキャパシタの役割を果たしています。 ここはその配線密度からクロストークがありそうだし、 絹巻電線の絶縁不良かもしれませんから、 束ねている絹糸をほぐしてワイヤをばらけさせてみました。 けれどなんの変化もなし。

    まあそれもそうでしょうね、 この込み入った配線がクロストークを生んでいるとしたら、 プレイ・スルーは製造時から出ていたはずですし。 それとも、もしかしてこのプレイ・スルーはS-20Rが生まれつき持っている性質? いやーそんなことはないでしょう。 いったいどこが悪いんだろうねえ。






スクリーン電圧が高い気がする

    どうにもプレイ・スルーが収まらないので、 一時中止して、先に中間周波増幅段を調べてみます。 もちろん感度も分離も出ているしAGC動作もしているので、 何かあるとは思えませんけれど。

    で、中間周波増幅第2段の6SK7のプレート電圧とスクリーングリッド電圧を測ってみたら、 プレート電圧が109Vなのにスクリーン電圧は270Vもかかっています。 ん? なにか変ですね。

    電源回路のドロッピングレジスタ回りを調べはじめると、 なんとも奇妙なことが。 明らかに後付けで追加されている大型の抵抗は、 おそらくオリジナルでもともとついている抵抗と並列につなげられています。 それはそれとして、 フィールドコイルスピーカをパーマネントダイナミックスピーカに交換したときに追加された大型チョークコイルの配線が・・・ たぶん間違っています。 この状態だと、チョークコイルを通ったB電圧がまずスクリーン電圧バスに入り、 そこからドロッピングを通ってプレート電圧バスに入ってしまう。 スクリーン電圧よりもプレート電圧のほうが低くなるわけだぞ。

    チョークコイルからのB電圧をプレート電圧バスに入れるようにつなぎ変えました。 結果は・・・ なにも変わりません。 受信動作も音量も、プレイ・スルー音量も・・・ なにも変わらないのです。 真空管回路の動作ってかくもアバウトでいいのかなあ。

    これでひょっとしたらバンド4で発振していなかった6K8も発振するかなと思ったのですが、 それもありませんでした。 まあこれは当然で、6K8周波数変換管の電源はほかのすべての真空管とは別系統の、 チョークコイル上流から分配されています。 チョークコイル以降がどうなっていても影響を受けないはずですからね。

2021-11-06 電源回路誤配線修正


    スクリーン電源バスの配線を追っていて、 6AQ7カソードとスクリーン電源バスをつなぐ抵抗が配線されていないことに気づきました。 カソード廻りの抵抗を交換したときに配線師走けたのかなと思いましたがそんなことはなく、 入手時にすでにそのような配線はありませんでした。

    これか? と思い抵抗器を仮配線しましたがプレイ・スルーは変わらず、 使ったのが1/2Wの抵抗器だったので受信機が鳴り出すと同時に抵抗器は燃えてしまいました。 あー部屋が焦げ臭くなっちゃった。
    ANLの動作点が狂っているのかな? しかし6H6を抜いても何も変わらず。

    ただ、スクリーンドロップ抵抗は回路図では10kΩなのですが、 実機についているホーロー抵抗は2kΩ品であることがわかりました。 オリジナルのスクリーンドロップはちょっと理解に苦しむ方法で配線を変えられています。 なにか意図があって、あるいはあてずっぽうで、改造されているようす。 いちどオリジナルに配線を戻すようでしょうね。

    電源チョークの代わりに抵抗を使う方法はうまくいかずハムが酷かった、という修理記事がいくつか見受けられます。 チョークを抵抗に代えたら、平滑キャパシタ容量の見直しもあわせ実施する必要があるのでしょう。 いま取り付いているチョークの代わりに手持ちの電源トランス巻線を使ってみるとハムは許容できない程度に大きくなりますから、 いまのチョークがきちんと仕事をしているのは確か。 いっぽうオーディオアンプ自作用のチョークコイル新品も手に入るようですから、 新品チョークを奢るという作戦もあり得ます。

2021-11-12 スクリーンドロップ抵抗が設計値10kΩのところ2kΩ品が使われていることを確認






ダイヤルメカニズムを直す

    いろいろ試してもプレイ・スルー問題は改善が見られません。 受信機そのものはかなり調子よく動作していますので、先にダイヤルメカニズムの修理にとりかかります。

    ケースのアッパーパネルとリアパネルは一体で、まずこれを取り外し。 つぎに、スピーカに直接マウントされた出力トランスの配線をシャシー下面で切り離し、 フロントパネルのつまみとスイッチ類のロックナットを取りはずします。 スイッチのナットは薄くて最初は取り外しに苦労しましたが、 ネジザウルスGTを使ったら一発。 これはいい買い物をした。





    はじめてダイヤル目盛り盤の全体が見えました。 白色プラスチック製のダイヤル盤は場所によって黄変の程度が異なり、 見栄えはよくありません。 どうにかして手作りで新品作れないかなあこれ。

    バンドスプレッドダイヤル盤にはキズが入っていますが、 それはフロントパネル側のヘアライン入り透明ウインドゥが経時変形してダイヤル盤に触れてしまっているのが原因。 透明プラスチックウインドゥは適当な材料を探し出して手作りする必要があります。




    ドライブコードは部分的に黒 部分的に茶色で、かなり劣化しているようす。 コードテンションも不足しているし不安定です。 メインチューニングもバンドスプレッドも、チューニングシャフトのコード巻き取り部は汚れも酷いし、 バリコンシャフトプーリーはシャフトとの垂直が狂っていて・・・ やはり分解清掃、コード張り直しが必要。





    ドライブコードを取り外し、チューニングシャフトアセンブリを取り外して清掃。 ドライブコードが部分的に黒部分的に茶色だったのはコードの劣化ではなく、タバコの煙と油汚れでした。 水拭きでコードはきれいな黒色に戻り、柔軟性もあるし過度なクセもなく引張強度はしっかり維持されています。 このまま継続使用できそう。 ただしうまく掛け直しできれば、ですが。

2021-11-12 ダイヤルドライブ分解




    ふたつのチューニングシャフトとバンドスプレッドダイヤルシャフトを支えるアセンブリはスチール板金細工ですが、 板どうしの結合はスポット溶接で行われています。 1945年、終戦直後の民生機器の製造にスポット溶接が何の衒いもなく使われているんですね。 スナップリングを外せばシャフトが抜けてより楽に確実に清掃できますが、 今回はシャフトは外さずに清掃と研磨作業。

    メインチューニングシャフトはすこし曲がっていました。 製造不良なのか、それともミスユースでメインチューニングノブに過大な力がかかってしまったためか。 指でぐっと押して曲げを修正。 パーフェクトではありませんが実用には支障のないレベルまで回復しました。 バリコンプーリーはバリコンシャフトにロウ付けされています。 メインバリコンプーリーがシャフトに対して垂直が出ていなかったので、 指で押し曲げて修正。

    シャフトを研磨し、軸受け部に注油して、完成。 懸案だった糸掛けも、オリジナルのドライブコードとテンションスプリングを使ってうまく復旧できました。 ダイヤル操作感はすっかりスムースになりました。 バンドスプレッドノブシャフトに取り付けられたフライホイールの感覚がうまく出て、 心地よいダイヤル操作ができるようになりました。

2021-11-15 ダイヤルドライブ組付け復旧





    透過型照明をもつダイヤル盤。 ひどく黄ばんでしまったこのダイヤルを、なんとか新品素材で作り直しができないものでしょうか。 わたしはこの手の工作が苦手なのですが、 どうにかできそうな気がしてきました。 うまくいかなかったらオリジナルダイヤルにもどせばいいだけの話です。

    半透明白色のアクリル円盤を特注で作ってもらい、 インクジェットプリンタで透明フィルムに印刷したダイヤルスケールを貼り付けたらどうだろう。

    オリジナル品はそのまま保管しておきたいですから、 ダイヤルシャフトに取り付けるハブ部をどうするか。 使用予定のないつまみを改造して作ればいけるかな。





戦後生まれの個体

    S-20Rのオペレーションマニュアルは2種類あって、ひとつがおそらく戦前バージョン、 もうひとつには1945年6月15日の日付が見えます。 これは大日本帝國が無条件降伏する2か月前。 ドイツが無条件降伏した5月08日にはすでにアメリカには戦争の結末は見えていて、 ハリクラフターズ社には軍需の急減が明らかに予測でき、 したがって民生機生産再開に向けて急速な準備をしなければならないことがわかっていたのでしょうか。

    ハリクラフターズS-20Rスカイチャンピオンは1939年のモデルだから戦前生まれと思っていましたが、 資料によると戦時中は生産が停止されていたものの、1945年夏から生産が再開され、 1945年末まで生産されていたようです。 そしてラボの個体は、シリアルナンバーとフロントパネルのSky Championロゴのフォントから、 戦後生産モデルであると思われます。

    ハリクラフターズ社は、 戦争終結とともに新しい時代にふさわしい新工場をイリノイ州シカゴ W 5th Avenue 4401番地に建設しました。 この工場は1945年から稼働開始したとされており、 であれば戦後生産のS-20Rはこの新工場で作られたのかもしれません。 QST誌1945年10月号の広告においてハリクラフターズ社は、 限定数量ながらアマチュア向け機器の製造と出荷が始まっていることを伝えています。

    しかし大きな量産工場が1ヶ月・2ヶ月で建てられるとも思いにくく、 ドイツが無条件降伏する前から建設着手でもしない限り9月からの量産はできなかったでしょうから、 戦後生産ロットのS-20Rは従来工場の軍需ラインをピースタイム転換して生産したのかもしれません。

    いずれにせよハリクラフターズ社は、第2次世界大戦の終結前後から新しい時代のモデルの準備を始め、 レイモンド・ローウィ氏をデザイナーに起用し、 エコーフォンEC-1A を再設計して S-38 を、 また戦前機S-20RをスタイリッシュにリパッケージしてS-40を世に送り出しました。

    新工場は1965年まで稼働し、 建屋は1990年代までは倉庫として使われていたとのことですが、 いまでは更地になってしまっています。






シャシーマウントボルト

    シャシー後端部をケースにがっちり固定するシャシーマウントボルトは2本あり、 そのうち1本だけ、シャシー上面に出ている頭の部分のサビが目立ちます。 これを磨いてやろうとしてボルト2本をよく見ると、 あれえ? ずいぶん違うぞ。

    どうして1本だけがサビているのだろうと思いましたが、 なんと材質が違います。 サビていないほうはずっと色が白く、軽く、また磁石のくっつき方が弱いです。 白い方はニッケルの含有率が高いように思えます。 それに、ご覧の通りにねじ切り部の長さが違います。

    シャシーの左右でボルトの材質を変える理由でもあるのでしょうか? 重い電源トランスに近い方は強度の高い材質を用いてシャシー剛性を確保し、 さほどに重くないほうは軽い材質を使って軽量化した? すごいね、レーシングマシンのような設計だ。 ・・・でも残念、そうではないですね、電源トランスに近い方に白っぽいボルトが使われてて、 軽いバリコン側に強そうなボルトが使われていました。

    戦前生産の長期在庫部品と、戦後に発注した新しい部品が無頓着に一緒に部品箱に入れられ、 混在して使われたと考えるのが妥当でしょう。 そうでなければ、途中でサプライヤが変わったか。 たいそうな理由はなさそうです。

    というわけで2本とも頭部の錆を落とし、ネジ部も清掃しておきました。

2021-11-17 シャシーマウントボルト清掃 つまみ清掃 パネルコントロールシャフトナット類清掃









出力トランスをシャシー上に固定する

    この個体は入手時にスピーカがパーマネントダイナミックスピーカに交換されていたわけですが、 スピーカのヨークにタッピングスクリュー1本で固定されていた出力トランスは、 おそらく生産時のフィールドコイルスピーカに取り付けられていたオリジナル品のように思えます。 出力トランスはリード線引き出しタイプですが、 1次側ワイヤの絶縁シースはシャシー内部に使われているワイヤと同類のものですから。

    この出力トランスはいい音で鳴っていますし、シャシー上部にはスペースがあるので、 スピーカマウントではなくてシャシー上部に移設することにしました。 ドリルで2つシャシーに穴を開けましたが、 このシャシー、板厚があって丈夫ですね。 手持ちのドリル刃は鈍ってきてしまったのか、ちょっと苦労しました。

    トランスの取り付け部にラグ版も共締めして、 2次側リード線をつなぎ、ここでスピーカへのワイヤを中継することにします。 ワーフェデール ダイヤモンド スピーカをつなぐと、 おお、6F6GのA級シングルパワーアンプはいい音で鳴ってくれます。 音質もパワーも、ウチのラボの真空管式通信型受信機の中ではダントツなんじゃないかな。

2021-11-18 出力トランス移設






バンドスプレッドダイヤルウインドウを自作する

    メインダイヤルエスカッションウィンドゥもバンドスプレッドダイヤルエスカッションウィンドゥも透明プラスチック板で作られているのですが、 この両者は材質が違うと見えて、メインダイヤルのほうはきれいな透明を維持していますが、 バンドスプレッドのほうはけっこう濃く黄変してしまっています。 黄変はがまんしたとしても、バンドスプレッドウインドゥは経年変化なのか湿度の影響なのか変形してしまって、 内側に出っ張ってしまっています。 このためにバンドスプレッドダイヤルディスクと接触し、 ダイヤルディスクには擦れた傷跡がついてしまいました。

    というわけでバンドスプレッドダイヤルのほうは作り直しが必要。 透明プラ板は求めればすぐ手に入るでしょうけれど、 "BAND SPREAD"の文字はどうやって再現しよう。 インスタントレタリングのようなものを使うとしたら、 ウィンドゥの内側に貼り付けたいですから、 裏文字レタリングが欲しいところ。 くっきり細い黒色ラインもどうやったらいいものか。

    夢と時空の部屋に転がっていたブリスターパックの透明プラを切り抜き、 とりあえず黒ラインを黒ビニールテープを使って貼り付けてみたら、 まあ十分に実用になるものができました。 工法試作品ですが、なんとなくこのまま実用採用となってしまう気がしますね。

2021-11-19 バンドスプレッドダイヤルウインドウ自作






    ちなみにケースのうちはメイン部はフロントと左右サイドが1枚物の曲げで作られ、 そこにアンダーパネルフレームを溶接で取り付けた構造。 シンプルグリーンとお湯で洗浄し、黄ばみは落ちてフロントパネルのレタリングも白くくっきりしました。 レタリングは剥げ始めているのでこれ以上の無理は避けるべき。 パネルは汚れのムラも残っていますが、磨き始めるとかえってみっともなくなってしまいそうだったので、 深追いはせず。

    メインダイヤルの円形カバーとスピーカの取り付けはマイナスネジで行われますが、 今回は新品のステンレスM3なべ小ネジに交換しました。 見る人が見れば「スカイチャンピオンにプラスネジが使われているはずないだろう!」 となるでしょうね。 私は「きれいだしいいんじゃない?」で済ます程度にはユルユル派です。






上級機の風格

    S-19スカイバディとS-20スカイチャンピオンはQST誌1938年05月号の巻頭広告2ページで同時デビューを飾りました。 価格はそれぞれ29ドル50セントと49ドル50セント。 いずれも、良い受信機を手の届く低価格でより多くの人に提供したいという創始者のWilliam J. Halligan氏の想いを実現したモデルです。 スカイチャンピオンの価格は先行していたスカイチャレンジャーIIやナショナルNC-80Xの半額。 同じ性能が半分の値段で手に入る、と広告に謳われています。 1939年の49ドル50セントは The Inflation Calculator によると2020年の937ドル45セントとのことですから、日本円ならざっと10万円。 20万円していた本格的受信機が10万円で手に入るとなれば、 ショーウインドゥを眺めることしかできなかった少年たちはアルバイトに精を出したに違いありません。

    さらに身近な価格だったスカイバディはスカイチャンピオンとほぼ変わらぬルックスでしたから、 スカイバディを手に入れられた少年はみな誇りに思ったことでしょう。 いっぽうでスカイチャンピオンの匡体には最上位機スーパースカイライダーと同じシルバーのサイドガーニッシュが奢られ、 上級機の風格を得ています。

    アルミ薄板をプレスして作られたこのサイドガーニッシュは、 ラボの個体では表面酸化に加えひどいタバコのヤニで茶色くなっていました。 ケースから取り外してシンプルグリーン原液でお湯洗いののち、軽くコンパウンドで光りすぎない程度に研磨。 すっきりきれいなアルミホワイトに戻りました。

2021-11-20 サイドガーニッシュ清掃





フォーンジャックを復旧する

    フォーンジャックからはワイヤが3本出ていますが、このうち2本は切断されていました。 ほぼ間違いなく、 前オーナーがオリジナルのフィールドコイルスピーカをパーマネントダイナミックに変更改造した際の手抜きでしょう。

    オリジナルのS-20Rでは、ハイインピーダンスのレシーバを使うように設計されています。 フォーンジャックにプラグを差し込むとスピーカの接続が切れ、 ヘッドフォンには出力管6F6Gのグリッド、つまり初段低周波増幅管6AQ7の出力がつながる仕組みです。

    いまやハイインピーダンスレシーバなんて入手は困難ですし、 また実際にヘッドフォンをつないでこの受信機を聴こうとも思いません。 なのでこのフォーンジャックは、外部スピーカ端子として使うことにしました。 取り外したフォーンジャックを清掃し、シャシー上に設けたスピーカ接続ラグ版と配線。

2021-11-21 フォーンジャック改修






BFO復活

    狂わせてしまったBFOの再調整を行います。 6J5GT 3極管で発振されるBFO周波数はグリッドから取り出され、 ワイヤを6SQ7の2極管プレートへの検波入力ワイヤに巻き付ける形で注入されます。 このBFO信号注入ワイヤをみのむしクリップで噛んで 岩崎通信機SC-7202ユニバーサルカウンタ に入れると、 BFO周波数を変動させることなく周波数を読むことができました。

    BFO周波数は、フロントパネルのつまみでネジを回し、 このネジがBFO同調コイルのスラグコアを前後に出し入れすることによって調整されます。 ネジとつまみをつなぐジョイントの締めネジの頭は大きくなっていて、 つまみの回転角度を300゜に機械的に制限しています。

    ジョイントの締めネジを取り外し、つまみの締めネジとして使われているイモネジを使ってジョイントを締め、 つまみを回してBFO周波数が455kHzになる位置にセット。 ジョイントを緩め、本来の頭の大きなネジにつけ戻して、 つまみ可動範囲のセンターになる位置で締めます。 これでBFOは455kHz±数kHzで可変できるようになりました。

    BFOが使えるようになったのでSSBとCWの受信を試します。 AGCを切り、RF GAINを絞り、AF GAINを大きく上げた状態で受信。 ワイヤ巻き付け量が少ないと見えてBFO注入電力は弱く、 RF GAINを高くするとモゴモゴになって復調できず。 せっかくの高感度受信機でありながら、ゲインを高められないというのはもったいない話ですね。

    短時間の変動がないわけではないし数分間の間にゆっくり受信ピッチは変化してしまいますが、 それでもCW受信トーンは十分にクリスプでチャープはなく、気持ちよく受信できます。 手を抜かずにRF GAINを調整している限りはSSBの受信音質も良好。

    これならばと思ってFT8の受信にチャレンジしましたが、 あれ? 今夜はただの1回もうまくデコードできません。 最初にFT8のデコードがすくなくとも何回かできたときは、 音声信号はAM検波出力、つまりAF GAINのポテンショメータのホットから取っていました。 いまはスピーカ端子両端から音声信号を取り出し、PCのオーディオインターフェイスに入れています。 ひょっとしたらスピーカ端子からだと低周波増幅段で50Hz/100Hzのハムが混入してしまい、 FT8のデコードを妨害しているのかもしれません。 もしそうなら、FT8受信用にハムの影響を受けづらい小さいアンプをトランジスタかオペアンプで作り、 検波段からオーディオ信号をなるべく低負荷で取り出す方法がいいかな。

    現状ではBFO注入レベルが低すぎるので、 ワイヤ巻き付けではなく、数pFのセラミックキャパシタを試してみましょうかね。

2021-11-21 BFO再調整





ダイヤル盤をつくる

    ムラの濃い茶色に変色してしまったダイヤルディスク、 それがこの時代のハリクラフターズの証といえばそうなのですが、 やはりあまり楽しいものでもありません。 作り直してみようかな。

    乳白色半透明のプラスチック板で円盤を作って、 目盛はプリンタで透明フィルムに印刷して貼り付けてやれば行けそうですね。 問題は、私はこの手の工作が子供のころからとても苦手だったということ。 はたしてできるだろうか。

    半透明アクリル円盤を特注加工してくれるサイトがありました。 値段も手ごろだし、当然精度よく作ってもらうるでしょう。 でもプリンタでフィルムに印刷して貼り付けるのが果たしてうまくいくかどうか確信が持てなかったので、 とりあえずホームセンターで乳白色半透明の2mm厚のアクリル板と、 サークルカッターと、印刷フィルムを買ってきました。 慌てずのんびり作ろうね。 と、買ってきた材料を見て、ありゃ、 着手前に失敗しちゃった。

・・・うちにはレーザープリンタなんかないよ。

2021-11-27 ダイヤルディスク用材料・機材購入





    買ってきたアクリル板を丸く切り抜くにしろ、 アクリル円盤を特注するにしろ、 それをバリコンシャフトに取り付けるのはどうやろう。 オリジナルのダイヤル盤はそのまま保管しておきたいので、 それを分解してハブ部分だけを取り出すということはしたくありません。 工作がヘタクソな自分でも確実に作る方法はないかな。

    あれこれ考えて、いもネジでシャフトに取り付けるタイプのつまみを転用することにしました。 S-20Rはアメリカ製ですからシャフトの径は1/4インチ、約6.35mmです。 6.1mm径シャフト用の日本製のつまみは使えません。 ラボの在庫部品を探すと、 ちょうどいい形状の1/4インチシャフト用のつまみが5個ありました。 これを使います。

    メインダイヤル側はつまみのシャフト穴をドリルで貫通させてしまえばOK。 しかしバンドスプレッド側は、ダイヤル盤とダイヤル機構の寸法の関係からハブの厚みに制約があって、 そのままでは取りつきません。 なので、ハンドソーでつまみを切り、厚みを薄くしました。 工作ヘタクソ少年はこんな加工ができただけでも達成感で大満足。

2021-12-01 ダイヤルディスクハブ製作





    つぎはいよいよサークルカッターでアクリル板の切り出し。 しかし厚さ2mmのアクリル板はサークルカッターだけでは切れてくれません。 何回も回して切り溝がすこし深くなったところで、 プラスチックカッターを使って根気よく掘っていきます。 汗をかきながら作業して、切り口もきれいに、とは言えないものの、 どうにか円形に切り出すことができました。 うん、この材料と方法、大変だけどなんとかなる。

2021-12-02 メインダイヤルディスク素材切り出し





    ついでバンドスプレッドダイヤルのディスクを切り出し。 2回目だと手際も少しはよくなるし、 径が一回り小さいこともあって、 さほどに汗をかかずに切り出せました。

    2021-12-05 バンドスプレッドダイヤルディスク素材切り出し





    メインダイヤルをフラットベッドスキャナでスキャンしてグラフィック画像に。 手持ちの・・・驚かないでくださいね・・・ 1994年製JASC Paint Shop Pro 4.13でピクセル単位でタッチアップし、 いい感じのイメージファイルにできました。 まずはテスト用に普通紙にプリンタで印刷して・・・あれえ?

プリンタ壊れた。

    内蔵フラットベッドスキャナが、スキャンヘッドの初期キャリブレーションに失敗しているようです。 それでもプリンタ機能は使わせてくれてもいいのに、 Canon XK80はシステムエラーを表示するのみで全く使えず。

    新品購入後わずか2年1ヶ月、たいして使ってもいなかったのですが、 修理に出す気にもならず、EPSON EP-883ABの新品を買ってきました。

    ところがこの新品のEPSONは、プリンタエラーを表示してまったく使い物になりません。 またかよ。 2回連続で、エプソンプリンタは初期不良品を引いてしまった。

    起動シーケンスから見て排紙トレイ駆動モータが動作していない様子だったので、 排紙トレイを手で引き出しておいてから電源を入れると正常に動作することがわかりました。 うーん、年賀状の印刷が終わったらクレームに出そう。

    ということで交換カートリッジ込みで3万5000円以上の出費。 S-20Rのダイヤルディスクはずいぶん高いものについたなあ。

2021-12-05 メインダイヤルフェース試作







    次はバンドスプレッドダイヤルですが、 こちらはオリジナルのままにするのではなくて、 よく使うバンドについて較正されたキャリブレーテッドダイヤルにしたいなあ。 外付けクリスタルキャリブレータあるいはシグナルジェネレータを併用して基準点合わせを行う必要がありますが、 いったんメインダイヤルを合わせればバンドスプレッドで10kHzの精度でチューニングできそうです。

    それではバンドスプレッドダイヤルの周波数変化量を正確に測定しようしましたが、 そうだ、このバリコンは容量大側の80%程度でロータがステータに接触するトラブルがあったんだった。

    テスタを使ってどのセクションがショートしているのかを調べ、 ショートしていたアンテナ同調回路バリコンのロータを指で曲げて修正しました。

    さらにオシレータセクションのバリコンもショートしていたので、これも修正。

    バンドスプレッドの全域でスムースに変化できるようになりました。 あたらめてバンドスプレッドのキャリブレーションスケールつくりのためにダイヤル位置と受信周波数の関係を測定。

2012-12-06 バンドスプレッドバリコンロータ曲がり修正





    インクジェット用透明フィルムを買ってきてメインダイヤルを印刷し、貼り付け。 むー、エアバブルが入っちゃうよう。 とりあえずはできあがり。 いよいよ気になるようだったらやり直せばいいですね。

    バンドスプレッドは、まずは14.0〜15.5MHzの目盛ができたので、 普通紙に印刷して実機で再確認。 いい感じで使えます。

    バンドスプレッドバリコン容量大側、つまり周波数が低くなる側で周波数変化量はとても大きくなるので、 14.0MHzのCWを受信するときはバンドスプレッドといえどかなりデリケートなつまみ操作が必要になります。 14.5MHz起点のスケールも用意できるといいのですが、 ダイヤル盤の寸法上、スケールは5本がせいぜい。 この受信機で自分が良く使いそうな、 6MHz国際放送帯・7MHzアマチュア帯・9MHz国際放送帯・11MHz国際放送帯、 それに14MHzアマチュアと15MHz国際放送帯を一つにまとめたスケールの5本をつくることにします。

2021-12-07 バンドスプレッドダイヤルスケール試作





    測定した受信周波数をダイヤルスケールとしてデザインし、フィルムシートに印刷して取りつけ。 おお、#47ランプの光の透過具合もちょうどいい感じです。できた!

2021-12-09 バンドスプレッドダイヤルスケール完成





    フィルムの貼りムラやエアバブルもあるのですが、 光源の#47ランプの光のムラのほうが気になりますね。 さらに半透明のディフューザプレートとか追加すればいいかな?





    オリジナル品は新品の時は白だったといいますが、 実際にはどういった色味だったのか? 第2次世界大戦開戦前のモデルですからカラー写真は残っておらず、 コントラストから推測するだけ。 でもまあ、だいたいこのくらいだったんじゃないかな。

    新旧のダイヤルを並べてみて、色味の違いを見ます。 それにしても激しい黄変ですね。

    まだページは書いていないのですが、 このあとそのうちに修理を待っているNational NC-57のダイヤル盤は、 このS-20Rよりもずっと酷く黄変しています。 今回初挑戦したダイヤルディスクつくり、 きっとNC-57にも行ってあげるつもりです。





    タバコのヤニでひどく黄色になっていたのをシンプルグリーンとお湯で洗い、 きれいになったケースに組み込みました。 おそらく当時の色味にかなり近いところまで戻れたのではないかと思います。

    電源を入れていないときはダイヤルは薄グレーがちな冷たい白色。 電源スイッチをONにすると、#47ランプが暖かい色にダイヤルを照らします。 まさに命が吹き込まれて目覚めた、という感じですね。

    しかし、ケースに組み込んでみるといくつか問題あり。 さすがに一発では無理でしたね。 メインダイヤルが、7MHz前後でわずかな引っ掛かりがあります。 シャシーをフロントパネルに密着させられず、パネル右側のジャック類のナットを取り付けることができません。

    いったんシャシーを取り外して再チャレンジ。 メインダイヤルディスク外径が大きすぎてケースベゼルに擦れていたので、外径をドリル砥石で削りました。 メインダイヤルディスクセンター穴とメインダイヤルハブセンター穴の同心度不足のため、 メインダイヤルディスクがメインバリコンシャフトに対して垂直になりません。 これはメインダイヤルディスクセンター穴をドリルで拡大して回避。 バンドスプレッドダイヤルはハブ厚みがまだ厚すぎてフロントパネルと擦れるので、 ダイヤルシャフトアセンブリをワッシャをかませてシャシーへの取り付けを傾けて回避。 スピーカフレームがシャシーに干渉してしまうのでスピーカを取り付けなおし。

    なんとかダイヤルがスムースに回る状態で組付けられましたが、 手作り品の寸法精度の悪さゆえ、かつスピーカも前オーナーが見つけてきた代替品ゆえ、 微妙な調整で組付ける必要があるという感じです。

    なお電源チョークコイルは、入手時にたった1本のネジだけで仮固定されていたのですが、 ドリルでシャシーにもう1つ穴をあけ、セルフタップスクリューを使ってしっかり固定しました。 このチョークコイルやそこへの配線からの誘導ハムが懸念されるので本来なら電源トランスに近い位置にマウントしたいところではありますが、 現状 ハム混入は許容できるレベルなので、レイアウト上の都合を優先しました。




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周波数ドリフトを測定する

    この受信機は、まあその設計年度を考えれば不思議ではないのですが、 受信周波数の安定度はよくありません。 電源電圧変動の影響はほとんど感じられず、 CW受信時のチャープも少ないのですが、 電源投入後の周波数変動は結構あります。 とくに15MHz帯 - バンド3の上限近く - では、 しょっちゅうバンドスプレッドダイヤルを触ってチューニングを取り直す必要があります。 ま、いつもの感じで受信周波数のドリフトを測定してみましょうか。

    シグナルジェネレータで15.000MHzを60dBμで受信機のアンテナ端子に入力。 朝一番のコールドスタート状態でS-20Rの電源を入れ、BFOをONにし、BFOピッチはセンターに。 バンドスプレッドダイヤルは100位置 (=バリコン容量最小位置)にし、 メインダイヤルを合わせて15.000MHzを受信し、ゼロビートをとります。 ここでストップウォッチをスタート。 以降、一定時間間隔で、受信機がゼロビートとなるようにシグナルジェネレータ側で周波数を変化させていき、 その周波数をプロットします。 結果は右。

    電源投入後、受信周波数はどんどんずれていきます。 変化の傾向は1時間30分あたりで緩やかになってきますが、 3時間を経過しても周波数のズレは1分間100Hz程度で続いています。 電源投入後4時間を経過してでさえなお、周波数変化は収まる様子にありません。 これはおそらく・・・ 4時間15分経過時点で部屋のドアを空けたら、周波数の変化傾向は反対になり、元に戻りはじめました。

    1時間30分経過したあたりでおそらく受信機内部の温度勾配はほとんど平衡し、 その後はどうやら室温の変化にしたがって受信周波数が変化していると見えます。

    電源投入して機内温度が安定するまでに1時間半、は、 この構成の受信機ならまあありうる話だとして納得できるのですが、 その間に50kHzも受信周波数が変化し、 さらにその後はわずか数℃の室温変化で5kHzも受信周波数が変化してしまうというのはかなりのものてす。 これではSSB/CW受信時はバンドスプレッドダイヤルから指を離せないし、 AM受信時もしばしばダイヤルを調整することになりますね。 周波数安定度に関していえば、 ハリクラフターズS-20Rスカイチャンピオンは、 トリオ9R-59 松下電器CRV-1 にも及ばないし、 入門者向けキットである ヒースキットGR-64 にさえ負ける、最下位クラスの成績ということになります。

    幸い7MHz帯ではこれほどにはドリフトは酷くないし、 なにより信号強度の変化によるオシレータプルインが気にならず、 チャープもないので、 しょっちゅうダイヤルを合わせなおす手間さえ惜しまなければ、 SSB/CWの受信音はきれいで、楽しめます。

2021-12-12 周波数ドリフト実測

(このセクションは 2021-12-12 に Noobow5000 Windows2000 Professional上のXyzzy0.2.2.231で書きました)






電気的な修理作業に戻る

    キャビネット組み込みが一段落ついたので再び筐体を横倒しにして、 電気的な修理作業に戻ります。 といっても現状、バンド4以外は一通りは動作していますから、 予防保全的な作業です。 ペーパーキャパシタは無理なく作業できる範囲で交換してしまいましょう。

    シャシー下面を一瞥したときにひときわ酷い状態にあるのが、 中間周波第1増幅管6SK7の近くに取り付けられているC30、 0.1uFのワックスペーパーキャパシタ。 発熱することがあると見えて、融けたワックスがしたたり落ちて底面パネル裏側にワックスの塊ができていました。 このキャパシタからのものと思われる、ジェット状に噴射されたワックスがシャシー内面に残っています。 この受信機を入手した2001年、電源を入れて約10分後にシューッ!!という音がキャビネットの中から聞こえましたが、 おそらくそのときこのキャパシタから融けたロウが吹いたのでしょう。 それにしても修理を再開してから1ヶ月半、いままでなんとか動作し続けてきたわけですね。

2021-12-14 ペーパーキャパシタ交換作業 C30 C12 C11 C10交換





    ところでシャシー低迷に取り付けられているこの部品、 シャシー上面から調整するタイプのコイルパックのトリマキャパシタか何かだろうかと思っていたのですが、 そうではありませんでした。 マニュアルの部品表を見ると、「温度補償キャパシタ」と説明されています。 実際、このキャパシタにエアダスターで空気を吹き付けると、 受信周波数がすうっと動きます。 へえ、受信周波数の温度ドリフト低減のためにこんな専用部品を使っているんだ。

    この温度補償キャパシタC41は、6K8の3極管プレートをグラウンドに落とす形でつながっています。 これをほかの温度補償キャパシタに交換する等で周波数ドリフト特性を改善することができるかもしれません。





ときおり音が大きくなるのはシグナルジェネレータの問題だった

    一日中S-20RでBGMをかけていると、ときたま一瞬だけ音が大きくなる現象が起きていました。 きっとAGC平滑キャパシタが壊れかけているためだろうと思っていましたが、 これは使っているシグナルジェネレータ、 目黒MSG-2161 の問題であることがわかりました。 特定の楽曲の特定の個所で、どうやらPLLのロック外れが起きてしまい、 一瞬RF周波数が大きく変化してしまうからのようです。

    高崎のジャンク屋で中古AS-ISで買ったのがたぶん2000年、 もう21年も経っているので文句など付けられませんけどね。 そろそろいいシグナルジェネレータ買おうかなあ。





ブロック電解キャパシタがとうとう故障

    電源平滑のブロック電解キャパシタは無条件交換対象ですが、 修理再開してから1ヶ月半、ほとんど毎日16時間動作させて問題なく動作しているのは驚きでした。 製造されてから76年は経過しているんだよ?

    でもとうとうダメになりました。 電源を入れて1時間ほど経過したころ、徐々にハム音が大きくなり、 その1時間後には大きくブーンと。

    大きなハム音をもたらしたのはプレート電源系平滑用の10uFで、 ラボの在庫NOSの22uFに交換。 ハム音は気にならないほどに小さくなりました。

    調べてみると整流管出力直後の40uFもほとんど機能を失っていました。 あわせて周波数変換管系の10uFも新品の22uFに。 これで電源ON中のハム音は気づかない程度に小さくなりました。

    交換後、外部スピーカから音の低音が明らかに良く響くようになりました。 音量もたっぷり。 6F6Gを使ったこの受信機のオーディオ出力はほんと優秀ですねえ。

2021-12-16 電源平滑ブロック電解キャパシタ機能喪失
2021-12-17 電源平滑キャパシタをNOS品交換





バンド4の局発停止に挑む

    さあ、いよいよ、 現時点で最大の製品仕様未達の不具合 - バンド4受信できず - に挑みます。 16MHzから44MHzを受信するバンド4は、まあ実際にはあまり使うことはありませんけれどね。

    周波数変換管のプレート電圧を測ってみると、周波数混合用のヘキソードセクションのプレート電圧が171V、 局部発振用のトライオードセクションのプレート電圧が55V。 1938年1月31日付けの6K8のデータシートを読むと、トライオードプレートは100Vで動作させています。 55Vはいかにも低いな。 そこでプレートドロッピングを変えて、プレート電圧を78Vにまで上げてみました。 しかし発振する兆候は全くありません。

2021-12-17 6K8 3極管部 プレート電圧増大の試み 効果なし




    バンド4が受信できないのは6K8の3極管セクションが発振動作をしていないからなのは間違いないのですが、 発振さえすれば受信できることを確認しておきます。

    Lodestar SG-4162ADシグナルジェネレータ を使って19.545MHzを発振し、ブロッキングキャパシタを介して6K8のグリッド (3極管と6極管部に共通) に注入。 アンテナ端子からは目黒MSG-2161で生成した20.000MHzを入力。 これでS-20Rをバンド4にし、メインダイヤルを20MHzに合わせたら、 ちゃんと受信できました。 アンテナ同調回路〜高周波増幅段〜RF同調回路〜周波数変換段入力までの信号経路に問題はないということが確認できました。

2021-12-18 バンド4 RF信号経路の動作を確認




    バンド4の局発同調回路のトリマをいじって静電容量を下げたら、 局発が発振し始めました。 2001年に調整を試みたときに調整を途中でほったらかしていてたのかな?

    けれどそんな簡単に解決するものでもありませんでした。 調べると、発振できているのはメインダイヤルが20MHzあたり以下の場合だけのようです。 それも、たとえば20.0MHzで受信できているのに20.1MHzでは受信できず、 もういちど20.0MHzに戻すと全然聞こえない。 今度は19.8MHzでなら聞こえるけれど、 19.81MHzではだめだとか、 19.81MHzでは聞こえないけれどシグナルジェネレータの信号をめいっぱい (99dBu) に上げると突然聞こえるようになって、 いったん聞こえるようになれば60dBuまで下げても大丈夫だとか。

    要するに、やはり発振回路の発振余裕がほとんどない状態になってしまっているようです。 発振したり、止まってしまったり、外部からの刺激で発振再開したり、とか。




    発振コイルが断線しかかったりしているのかな? バンド4の発振コイルまわりを眺め、回路図と見比べてみます。

    S-20Rは中波帯から44MHzまでを4つのバンドに区切って動作します。 全バンドで安定に動作させるというのはやはりなかなか難しいことなのでしょう。 各バンドの発振コイルは、コイルのインダクタンスが違うだけではなく、 回路構成も少しずつ違います。 15.5MHzから44MHzをカバーするバンド4の局発コイルは、 2次側のパディングキャパシタが固定になっている (他のバンドではパディングトリマがある) ほか、 1次側に寄生発振防止用の抵抗が入っています。

    寄生発振防止用の抵抗は10Ω。 この抵抗が断線していれば発振はしないはずですね。 実測してみると12Ωでした。 抵抗値が高くなってしまっているようですが、 設計値の20%増大程度なら問題はないように思えます。 でも物は試し、 この抵抗をみのむしクリップリード線でショートしてみました。 すると・・・ おお、しっかり発振するぞ? 30MHzも安定して受信できてる!!

    右のテスト中のムービーでは、再生音が途中2回途切れています。 これは特定の音声信号で目黒MSG-2161シグナルジェネレータのPLLのロックが外れることがあるため。 S-20R側の異常ではありません。




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    パラ止め抵抗として新品の5.1Ω金属皮膜抵抗を入れてみたら、 全く発振しません。 結局、抵抗を入れずに直接コイルをグラウンドに落とすことで対策としました。

    やはり発振回路の余裕度が少なくなってしまっているのでしょうね。 となると、真空管の性能低下の可能性、 またまだ交換していない3つのキャパシタ - 6K8 6極管部スクリーングリッドフィルタ用のC9 0.02uF、 それに6K8カソードバイパスの0.05uFペーパーと2200pFマイカ - あたりが怪しそうです。 特にカソードバイパスは、わざわざペーパーとマイカを並列につないでいるあたり、 周波数特性に効いているであろうことが伺えます。

    問題は、6K8のソケットはコイルパックのバンド1局発コイルの真下にあって、 ニッパーも半田こても入らないということ。 交換作業をするには、キャビネットからシャシーを外し、 かなりの作業をしてコイルパックを外す必要があります。 ネジザウルスGTを使えばバンド1局発コイルだけを取り外すことができるかもしれません。 いずれにしても、作業の途中でコイルパックを痛めてしまう可能性があり、 おいそれと試せません。

    パラ止め抵抗をショートした暫定対策で動作するのなら、 修復不能な失敗をするリスクを冒したくはありません。 ということで、ここまででやめておきます。

2021-12-18 バンド4局発コイルの寄生発振防止抵抗をショートすることで局発動作開始






残りのペーパーキャパシタを交換

    残りのペーパーキャパシタを交換。 高周波増幅管と中間周波第2増幅管のカソードバイパス、 それに中間周波第2増幅管のプレートフィルタ。

    とくに中間周波第2増幅管のプレートフィルタ C14 0.02uFは、 外したときにワックスがトロトロに融けていました。 リークして発熱していたのでしょうか。

    ここは外観上も機能上も問題は見受けられなかったけれど交換 - 高周波増幅段のAGCフィルタC40 0.05uFと、 BFO発振コイルのプレートブロッキング C25 0.01uF。

    これで、交換していないペーパーキャパシタは手も工具も届かない6K8のスクリーンフィルタとカソードバイパス、 そしてバンド4のパディングキャパシタだけになりました。

    BFOをいじったついでに、 BFO出力を検波段に注入するツイストワイヤキャパシタを作り直し。 いままでは仮ワイヤで巻き付けが少なかったためにRF GAINつまみを半分以上に上げるとBFO強度が不足していましたが、 今度はいい感じ。 弱めの信号を受信する場合ならAGC ONのままでも可能。

    さあこれで機能・性能的にほぼ仕上がったかな。 そろそろ底板を取り付けて、トラッキング調整を行おうか。

2021-12-19 ペーパーキャパシタ残り交換 BFO注入調整






ロワーサイドインジェクションを試みる

    プローブの先に被覆単線をループ状にして取り付け、 6K8の3極管プレート抵抗に引っ掛けると、 局発周波数を取り出して 岩通SC-7202ユニバーサルカウンタ で周波数が読めることに気がつきました。 このとき局発周波数はわずかにずれてしまいますが、 そのズレは30kHz程度。 これなら周波数ドリフトの測定はカウンタで測定できそうです。

    で、バンド4で30.000MHzの信号を受信しているときの局発周波数を測ってみたら・・・ あれれ? 30.455MHzになっている。 アッパーサイドインジェクションになってるじゃん。 これはうっかりしたな、調整作業のときに間違っちゃったのか。

    さらに調べると、 バンド1から4のすべてのバンドで、局発周波数は受信周波数よりも455kHz高くなっています。 むむ?

    S-20Rのマニュアルには、 局発がアッパーサイドインジェクションなのかロワーサイドインジェクションなのかを示す記述は全くありません。 でもネットで調べると、S-20Rは全バンドがアッパーサイドインジェクションだ、というポストを見つけました。 なんだ、調整作業のミスじゃなかったのか。





    試してみると、バンド4とバンド3ではトリマを回すことによって局発周波数を目的周波数よりも455kHz低くセットすることができますし、 バンド3ではパディングトリマを調整してメインダイヤルの読みもぴったり合わせ込むことができます。 バンド4はパディングトリマはありませんが、メインダイヤルのずれは気にならない程度です。 いっぽうバンド2では、トリマの調整範囲では目的周波数より455kHz低いところまでは変化できませんでした。 結果として、バンド3とバンド4ではロワーサイドインジェクションに調整することが可能です。

    バンド3もバンド4も、このトリマはわずかな機械的振動にとても敏感でした。 またそのため、温度変化にもとても敏感です。 受信周波数ドリフトの大きな原因になっています。 ロワーサイドインジェクションに調整するということは局発周波数を下げるわけで、 このとき調整トリマはねじを締めこんで電極を近づけ、静電容量を大きくした状態で使うことになります。 であれば、ロワーサイドインジェクションに調整すれば、 トリマは機械的振動に対して鈍感になり、 また温度変化に対しても鈍感になるのではないでしょうか。

    なので、しばらく使って受信に支障がないことを確認し、 またそのあとで周波数ドリフトの再測定をしてみようと思います。

    なおアッパーサイドインジェクションをロワーサイドインジェクションに変更すると、 中間周波数に変換したときにサイドバンドが反転してしまいます。 でもS-20RのBFOは周波数可変式ですから、 BFOつまみを回す方向が反対になるだけで、USBにもLSBにも対応できます。 実用上の問題はないでしょう。

2021-12-20 アッパーサイドインジェクションになっていることに気がつく / ロワーサイドインジェクションを試みる






プレイ・スルー問題の心残り

    さて当初から気になっていたプレイ・スルー問題ですが、 キャパシタ交換作業を進めていく中でそのレベルがかなり小さくなっていることに気がついていました。 どういった機序なのか。 入力信号波形に応じたRF段・IF段のプレート電流変化がAF段に流れ込んで、 検波段をバイパスした音声復調経路ができていた、とか?

    確かに音は小さくなりましたが、無音になったわけではありません。

    2極・3極複合管をAM検波管・低周波初段増幅管として使うとき、 共通要素であるカソードは直接グラウンドに落とすのが普通です。 しかしS-20Rでは、6SQ7のカソードには100Ωの抵抗が入っています。 これはおそらくANL - Auto Noise Limiter回路の動作のためなのだろうと思われますが、 正直 その詳細な動作原理を追いかけきれていません。 しかし、100Ωのカソード抵抗があるということはIF信号波形に応じてカソード電圧が変化しているはずで、 ボリュームを目いっぱい絞って3極管のグリッドをグラウンド電位固定にしても、 カソード - グリッド間の電位差はIF信号波形が出ているはず。 だから、3極管はグリッド接地増幅回路として動作してしまうはずです。

    これが本当に嫌なら、もともと大した効果がなく、かつ現代では必要性がほとんどなくなったANL回路を撤去し、 シンプルな検波回路に改造してしまうという作戦もあり得ます。 けれど、まあそこまでする気もならず、 ほぼ実用上は困らない程度にまでプレイ・スルーは低減したので、 確証に乏しいもののこれが本機の本来の姿だということにして、 ちょっと心残りだけどこれで調査改善は打ち切りにします。

2021-12-21 プレイ・スルー問題調査中止





ボトムカバーを取り付ける

    ということで、気残りはあるもののひととおり調子よくなったので、 ボトムカバーを取り付けました。 取り付けネジは新品トラス十字みぞタッピングスクリューを使用。 ボトムカバーを取り付けた後もダイヤル目盛り合わせの再調整は不要でした。

    気残りは;

6K8周波数変換管のペーパーキャパシタ交換

少なくともコイルパック一部分解の作業が必要。 交換すれば6K8局部発振回路のバンド4での発振余裕が元通りになるかも。


ダイヤルシャフトアセンブリの組付け

バンドスプレッドドライブコードのテンションの余裕が少ない。 かつ、バンドスプレッドダイヤルディスクのセンターが左に寄りすぎている。 ディスクの擦れを起こさないままアセンブリを右にずらして再組付けしたいところ。

電源回路の再配索

配線は前オーナーの改造と今回作業の仮配線のままなので仕上げは良くない。 電気的には現状ままで問題がないけれどきれいに仕上げられたら良いでしょうね。





最初の問いにもう一度

    今回S-20Rの修理を始めたきっかけは、 現代のデジタル通信モードであるFT8を第2次世界大戦前の真空管受信機で受信できるのか? という疑問でした。 すくなくとも数回デコードできたので「できる」という回答が得られたのですが、 ほんとうに最初の数回だけで、 その後はうまくできていませんでした。 なので、いろいろいじっておおむね本調子を取り戻したいま、再チャレンジしてみます。

    そしてその結果は・・・ できる。 できるけれど、 実際のところは 「できないことはない」 あるいは 「かろうじてできる」 といったものでした。

    AM検波出力からオーディオ信号を取り出したときはデコードできたのにスピーカ出力から取り出したときは一度も復調できなかった、 のは、まず間違いなくスピーカ出力に常時重畳していた電源ハムの混入が原因だったのでしょう。 電源の電解キャパシタを交換してハムがほぼ消えて、この問題は解決。

    そのあとも安定してデコードできずにいるのは、間違いなく周波数安定性の限界のためです。 そりゃそうですよね、データ送信フレームの15秒間の間の周波数変動を数ヘルツに抑えなければならないFT8の受信に、 電源を投入してから20,000ヘルツも変動してしまう受信機が使えるはずはないのです。

    AGCを切って4時間以上動作させ、部屋の気温も安定している状態でFT8を受信しているときのウォーターフォールを見ると、 15秒の間に20ヘルツも30ヘルツも周波数が変動していることがわかります。 不規則な周波数の変動は、室温のごくわずかな変化、 キャビネットに当たるカーテン越しの日射、 さらには部屋の中にいる人間が椅子の上で足を組み替えたことにも反応します。 それではと部屋から人間が出てみても、やはり変動。 これはAC100Vの電源変動でしょう。 たまたま15秒間に変動しなかったラッキーなときだけデコードできている、 という状況でした。

    改善を求めるなら、 定電圧放電管を追加して真空管のスクリーン電圧を安定化する、 BFOを水晶発振回路に変える、 あたりが考えつきます。 それでも信号強度によって局発周波数が変化するオシレータ・プルイン現象は皆無にはできないでしょう。 これは戦前の古いモデルだからというより、 1960年代前半の日本製受信機でもこの程度のはず。 普通の高1中2ゼネラルカバレージ受信機はこんなものですよ、 といったところのはずです。 むしろローコスト化を重要設計要件に入れた1939年の普及価格帯モデルでここまでの性能を出しているということに、 素直に感嘆するべきでしょうね。

2021-12-25 FT8受信トライ





凛とした表情

    サイドガーニッシュを取り付けました。 すっきり乳白色になったダイヤルとあわせ、 とても凛とした表情になりました。

    サイドガーニッシュの取り付けは片側3本のボルトナットですが、 今回は新品のM3ステンレスなべ小ねじとステンレスナットを使いました。 これも見る人が見れば「オリジナルちゃうやん!」とか言うんだろうなあ。

    フロントパネルのスプレッドダイヤルエスカッション下にシルクスクリーン印刷されているSky Championのロゴの書体は、 2種類のバリエーションがあることが確認されています。 また、ラボの個体では"the Hallicrafters co."のカンパニーロゴが見えますが、 "the Hallicrafters inc."となっているモデルもあります。 "the"の書体も異なります。

    実はハリクラフターズ社が"the Hallicrafters inc."と称していたのは1938年から1941年で、 1945年からは"the Hallicrafters co."と称しています。 同社が戦後にS-20Rの生産を再開したとき、カンパニーロゴを更新するためにシルクスクリーンを作り直し、 そのときにSky Championのロゴも新しいフォントにしたのでしょう。

    このことからラボの個体はフロントパネルだけ見ても戦後生産モデルだとわかります。

    さらにマニアックな話をすれば、フロントパネルのスピーカ取り付けボルトが、 初期型では対角4本に加えて、グリル円周上にも4本のねじがついています。 後期型では対角4本だけで固定されていますが、円周上の4つの穴はキャビネットにわずかなへこみとしてその痕跡が残っています。 穴あけ加工は省略されたものの、プレス工程での穴位置のへこみだけは残っていた、ということでしょうか。

2021-12-25 サイドガーニッシュ組付け






ファクシミリを観る

    それではファクシミリはどうだろう。 3.620MHzの気象ファクシミリの受信画像はこちら。 FT8ほどには周波数変動に敏感ではなく、 まあまあ受像できていますね。

    本機は、1.7MHzから5.4MHzを受信するバンド2では、かなりの外来ノイズを受けてしまいます。 これはアンテナ回路がハイインピーダンスであるためなんでしょうね。 良いアンテナとアンテナカップラを使い、カップラと受信機の間はなるべく短いシールド線を使うとか、 その辺の工夫をして、相対的にノイズの影響を減らしたいところです。

    いっぽう中波ラジオ放送が受信できるバンド1では、感度は短波帯に比べるとかなり落ちるものの、 プラスチックボディでバーアンテナを内蔵しているポータブルトランジスタラジオに比べれば室内電子機器のノイズからは逃れられやすいので、 長いビニール線アンテナを張れば調子よく受信できます。

2021-12-25 気象ファクシミリ受像を試す






周波数ドリフト測定を再び

    2021-12-14にペーパーキャパシタ交換作業を開始してから、なんとなく周波数ドリフトの程度がけっこう改善された気がします。 どうしてだろう、 局発の温度安定性に効きそうなのは温度補償キャパシタに近かった6K8のプレート抵抗をわずかに遠ざけた位のものなのですが。 いっぽう2021-12-20に実施したロワーサイドインジェクション化は、トリマキャパシタの温度影響度合いを軽減できているはずです。 ともかくも再度周波数ドリフトを測定してみました。

    方法は2021-12-12に実施したときとほぼ同様。 バンド3、受信周波数15.000MHz、AGC OFF、BFO ON。 シグナルジェネレータ出力は60dBu。 電源を投入してからの受信周波数の変化を、シグナルジェネレータ側で周波数を変化させ、 BFOのゼロビートを追いかけていきます。 結果は右。

    驚いたことに、電源投入後の周波数ドリフトはおよそ5分の1に低減されています。 電源投入後3時間で周波数はほとんど変化しなくなりましたが、 実験室のドアを開けると周波数が変化しました。 やはり室温に敏感に反応するという傾向は残っています。 それでもその変化量は数分の一といえます。 SSBやCWを受信するには不十分ですしFT8を受信するのはかなり困難ですが、 AM受信ならば頻繁なダイヤル操作は不要。 1939年の低価格志向モデルということを考えれば、十分に優秀だといってよいでしょう。

    しかしあれだね、何がここまで改善に効いたんだろうねえ。 ペーパーコンを片っ端から交換すれば、周波数ドリフトは改善するかもよ? というのを今回の学びにしましょう。

2021-12-26 周波数ドリフト再測定






ひとまず完了。


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2000-11-17 Created. Initial observation performed.
2000-11-19 Revised.
2001-09-05 Added circuit diagram and remastered service manual.
2001-09-30 Updated the rectifier circuit description.
2002-07-27 Revised links.
2002-08-10 Revised links.
2002-08-13 Reformatted with Mozilla 1.0 as well as manually. Improved compatibility among browsers.
2004-05-16 Reformatted.
2005-12-15 Reformatted.
2021-10-31 Service started.
2021-11-07 Updated. [Noobow9100F @ L1]
2021-11-08 Updated. [Noobow9300 @ L1]
2021-11-13 Updated. [Noobow7300A @ Sekikawa, Niigata]
2021-11-21 Updated. [Noobow9100F @ L1]
2021-11-22 Updated. [Noobow9200B @ L3]
2021-11-23 Updated. [Noobow9200B @ L3]
2021-12-10 Updated. [Noobow9100F @ L1]
2021-12-11 Updated. [Noobow9100F @ L1]
2021-12-12 Updated. [Noobow5000 Windows2000 @ L1]
2021-12-19 Updated. [Noobow9100F @ L1]
2021-12-22 Updated. [Noobow9200B @ L3]
2021-12-25 Updated. [Noobow9100F @ L1]
2021-12-26 Updated. [Noobow9300A @ L1]
2022-03-19 Updated. [Noobow7300A @ Nigata]
2022-04-03 Corrected type. [Noobow9300A @ L1]
2022-04-24 Added label. [Noobow9100F @ L1]
2022-11-16 Updated. [Noobow9200B @ L3]