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Systron Donner Model 7004A

Digital Multimeter

(circa 1973)



人生初のデジボル

    このデジボルを買ったのがいつだったのか、今はもう記録がありません。 1995年だったか1996年だったか。 買った場所ははっきり覚えていて、 マウンテンビューのHaltek Electronics。 25ドルでした。 このお店はいわゆるジャンク屋で、 そのデジボルも動作保証はありません。 けっこう度胸一発で買った記憶があります。

    Haltekはスティーブ・ジョブスがヒースキットのオシロを買ったお店でもあります。 まあシリコンバレーのジャンク屋・パーツ屋では当時知らない人はいないくらいの人気店でしたから、 そのころサンフランシスコベイエリアで自分でなにか作ろうとする人は必ず行ったことがあったでしょうね。 スティーブ・ウォズニアックとスティーブ・ジョブスが世界を変えることとなる製品を作ろうとしたとき、 その土壌としてこういうサープラス・ショップがかの地にはありました。 そんな店で買ったこのデジボルは、 自分にとってはすごく大げさに言うと歴史を所有しているかのような気分にもなりました。 Haltekは残念なことに2000年に閉店してしまいました。

    買ってきたシストロン・ドナー7004AデジタルマルチメータのフロントパネルにはIBMサンノゼ研究所のラベル、 また最後に校正を受けたのが1994年であることもわかります。 IBMラボの払下げ品だったのでしょうね。 7004Aはありがたいことに完動。 その後弊ラボでの作業に欠かせない機材となりました。






壊しちゃった(号泣)

    Lafayette HA-230 の感度不足の原因を探るために真空管のプレート抵抗の抵抗値を測定していて、 そのままの状態でHA-230の電源を入れてしまいました。 やらかしたことに気がついてすぐさまHA-230の電源を切りましたが、 デジボルは明らかに異常な表示を示しています。 あああ・・・壊しちゃった!

    抵抗値測定モードのまま、測定端子にDC280Vを越える電圧を印加してしまったのですから、 こわれて不思議ではありません。 ううう、痛恨のミス。

    症状は・・・ 入力に応答せず。 測定モードやレンジを切り替えると表示が動くこともあるのですが、 さらに切り替えると表示が反応しなくなったり、 電源を入れ直すたびにちがう数値が表示されたり。 入力アンプを飛ばしたというより、制御ロジックが死んだ感じです。

2025-12-20 ミスユースにより故障






直らないかなあ

    本機の回路図は入手できていませんでしたから、 修理はほぼ絶望的。 目視ですぐそれとわかる焼損とかであればいいんだけどと思いながら、 筐体をあけてみました。

    内部にはプリント基板が2枚あります。 1枚目には "SWITCH BOARD" と記されており、 電源回路・入力アンプ・レンジ選択スイッチなどがあります。 アナログ信号処理はすべてこちらが受け持っているようです。

    アナログ回路にはCANパッケージタイプのオペアンプが使われていて、 トランジスタもいくつかはソケットで実装されています。





    もう一枚のプリント基板には "READOUT BOARD" と書かれています。 こちらはすべてデジタル回路です。 ニキシー管ドライバもソケット実装。

    このボードのカードエッジコネクタの半分は使われていません。 これはどうやらオプションのBCD出力ボードにつなぐためのもののようです。





    使われているニキシー管はNATIONAL ELECTRONICSとブランド名が入っていますが、 Made in Japan。 うちひとつのニキシー管はイギリス製のものに交換されています。

    本機の表示はニキシー管5桁と、マイナス符号と、 オーバーレンジ表示ランプ。 マイナス符号は豆電球の光をライトガイドを使ってマイナスの字形に光らせています。 おお、こうなっていたのか、これは面白い。 オーバーレンジ表示は赤色LEDです。





    ボード上のテストピンにはシルク表示がありますが、 サービスマニュアルなしではそれぞれのピンの機能もいまひとつわからないし、 どんな状態が正常なのかの察しもつきません。

    内部電源は+17Vと-18Vの2系統であることはすぐにわかったので、 サンワのマルチメータ を使って電圧を測定してみました。 電源電圧は正常に生成されていました。 焼けた部品で過電流が流れているというようすでもありません。

    推測でしかありませんが、 やはりメインボード側で壊れているようす。 回路図もないし、仮にデバイス故障まで絞り込めても、 この様子では交換用デバイスはたぶん入手困難でしょうね。 回路図なしには代替回路をつくって故障を回避することもできないでしょうし。 これはいまのワイの手には負えないなあ。






これはなに?

    ボードの写真をXにアップしたら、 フォロワーさんから「フィルムコンの外装の痛みが気になる」 とのコメントをいただきました。

    そう、それは目視点検時に気がついていて、 だけれどキャパシタは200V定格品でしたから、 DC280Vの短時間印加で外装の痛みを引き起こすものでないはず、 しかも損傷はあたかもはんだこてのこて先を当ててしまったかのようなものだったので、 今回の故障とは関係ないはずと思いました。

    けれどフォロワーさんのリプを読んでもういちどフィルムキャパシタをまじまじ見ていると、 近くの基板上パターンが他の部分に比べて汚れていることに気がつきました。 なにか手はんだを行ったような、フラックス汚れ。 なんだろうと見ていって、そこにある小さなキャンパッケージのトランジスタのようなものに目が留まりました。





    その部品を触ってみたらグラグラして、指でつまんだら簡単に抜けてしまいました。 あれれ?

部品のトップには「125V」、 側面には「1/64A」と表示されています。 え、これはひょっとしてヒューズ?

    テスタで調べてみると、抵抗値は無限大。 かんたんに抜けてしまったのははんだ付け不良ではなく、 プリント基板に打ち込まれるタイプのソケットピンで実装されています。 かんたんに交換可能なように実装されているとは、 これはますますヒューズかもしれないぞ?






これだ!!

    たぶんヒューズと思われるソケットをワイヤでジャンプしてみたら、 正常に電圧を表示し始めました!

    そのあとジャンプワイヤを外してみたら、 なんとそのまま正常に電圧を表示しています! うわー他にも何か原因があるんだと大きく落ち込んでしまいましたが、 いやそうじゃない・・・ このジャンパがないと、 電圧測定モードから抵抗値測定モードにして電圧測定モードに戻した時に動作が停まってしまいます。 また、電圧測定モードのままであっても、測定レンジを切り替えると動作が停まってしまいます。 このジャンパを挿しておけば、 測定モードを切り替えても、また測定レンジを切り替えても正常に動作しつづけます。 やはりこれは過電圧保護ヒューズで、 これを飛ばしてしまったのが原因だったんだ!

    右の動画ではシグナルジェネレータで DC0~10Vを三角波で1サイクル20秒で変化する電圧をつくり、 サンワのテスタと7004Aを並列につないで電圧指示させています。

    BGMは Zephill @zephill_tw さんのアルバム "秘封パッシブアコースティック" からトラック6 「地蔵の光 Acoustic Fusion」(原曲: 「地蔵だけが知る哀嘆」)。



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キャパシタは交換しておこうね

    フォロワーさんにフィルムキャパシタの外装異常を指摘されなければ、 その周囲をまじまじ観察することもなく、7004Aはあきらめていたでしょう。 フォロワーさんのレスに大感謝です。

    で、外装が痛んだキャパシタは新品交換しておきました。 取り外したキャパシタは2個とも容量は正常、 リークも確認できませんでした。 過電圧保護ヒューズがブローしたために近くのキャパシタの外装も痛んだのか、 それとも関連性はないのかは不明。 ヒューズソケットは製造時プリント基板に手付けで取り付けられたように見えるので、 その作業時にこて先を触れてしまったというのがいちばんありえそう。






代わりのものがないので

    マイクロヒューズを交換すれば治ることはわかったのですが、 1/64A定格のヒューズなど手元にはありません。 どうしたもんだろう。 仕方なく極細の銅線1本でヒューズターミナルをショートしておきました。 20mAで焼き切れるとも思えないので、 これでは次回過電圧を与えてしまったときに回路素子を本当に焼いてしまうでしょうね。 どこかで同等品が格安で手に入らないかなあ。 RS Onlineで売っているのを見つけましたが、20ドル以上もします。 うーむ。






抵抗値測定モードを試す

    抵抗値測定モードをテスト。 正常に動作しているようですね。

    テストにはレジスタンス・ディケイドを使いましたが、 これを入手したのはいつだったのか。 おそらく入手してから18年以上、 今回が初の実使用です。

    動画のBGMはZephillさんのアルバム "秘封パッシブアコースティック" からトラック2 「ラテンでケルティックでロックなお化けもいるから ~ Latin, Celtic, and Rock Ghosts」(原曲: 「夜じゃなくてもお化けはいるから」)。 ほんといい曲だなー。



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いつから外れてたの

    このデジボルはいままでケースを開けたことはなかったように記憶しているのですが・・・ AC電源ソケット取り付けねじが片側しかついていませんでした。 ケースの中に外れたねじが転がっていたふうもなく。 買った時からついていなかったのだろうか。 意図的に外さなければこうならないだろうと思うのですが、 なんでこうなっていたんだろう。

    手近なM3ねじで取り付けておきましたけれど、 これは謎です。






戦列復帰

    今回このデジボルが壊れたので新しいのに買い替えようと思ったのですが、 デスクトップ型のデジボルというのは市場から姿をほぼ消しつつあるようですね。 適当な価格帯のものはみつからず。 7004Aが直ったので買い替える必要性はいったんなくなったのですが、 50年前のモデルを使い続けるのはいかがなものかとも思います。 いい感じのモデルが出ないかなあ。

    まあともかく、シストロン・ドナーは戦列復帰。 ひきつづき活躍してもらいましょう。

    BGM音源は parhelia さんのアルバム "去来廻記 ~ Paradoxical Record" からトラック1 「雪月桜花の国」(原曲: 「雪月桜花の国」)。 これはほんとうに素敵なアルバム。

2025-12-27 修理完了 戦列復帰



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2025-12-29 Page created. [Noobow9100G @ L1]
2025-12-30 Updated and published. [Noobow9100G @ L1]
2026-01-11 Corrected typo. [Noobow9100G @ L1]