NoobowSystems Lab.

Go to Radio Restoration Projects

Seiwa Kogyo - Drake SSR-1

General Coverage Shortwave Communications Receiver
(1975)


   
[Jump to the latest topic]




51年越しの夢

    わざわざ探し求めたりするほどの強い想いはないのだけれど、 もしどこかでこの受信機にひょっこり出くわしたら、 いまなら買っちゃうかもしれないな。

    と、ここ10年来、思っていました。 それだけ記憶の底にしっかり焼き付いていたのでしょうね。 このモデルを知った1975年当時、 手の届かないその価格ゆえに努力して意識から遠ざけ続けていたのだと思います。

    そして51年後、 SSR-1がひょっこりと自分の目の前に現れました。

2026-07-19 SSR-1 購入






世和興業SSR-1

    1975年に雑誌広告でSSR-1のことを知ったとき、地方の小学生はドレークという名も知りませんでしたし、 SSR-1実機を置いてあるお店などあるわけもなく、なんかすごいマシンなんだろうな、と想像するのがせいぜい。 憧れと、妄想に近い期待が膨らんでいくばかり。

    いっぽうで、SSR-1はドレークと名乗ってはいるものの設計開発も製造も日本で、 R. L. DRAKEは絡んでおらず、ただブランドを謳われているだけだ・・・ということは当時すでにどこかで聴き及んだ記憶があります。 たしかにそう言われて当時の広告を見返してみると、商品説明文のなかに「ドレーク」という言葉は出てくるものの、 どこにもドレークのコーポレートシンボルはないし、 それによく見ると広告の写真のSSR-1のフロントパネル右下には "R. L. DRAKE CO."のレタリングが入っていません。

    SSR-1は日本でも海外でも結構な数が出回ったようで現存数も多いですが、 ネットに掲載された画像を見てみると、 初期ロットのSSR-1のリアパネルに貼られたネームプレートには、 メーカー名としてDRAKEではなくて世和興業の名がしっかり入っています。 後述するクロックジェネレータ対策型では、ネームプレートにはメーカー名の表示はなく、 ロット番号だけが入ったとても質素なラベルが張られているだけ。

    SSR-1が実際にはどこのファームにより設計されたのかをはっきりと言及しているソースはいまも見当たりません。 SSR-1の生い立ちにはおそらくいろいろなビジネスの思惑があったのでしょう。





    1975年の発売当時、 日本はまだ ICF-5800 RF-1150 の、マルチバンドシングルスーパーヘテロダインの時代。 以降1970年代終わりころまでの「ブーム」のなかで、 ドレークSSR-1は当時の10代の短波ファンにとって高級な高性能受信機として受け止められていたのだろうと思います。 私にしてもそうで、実際に触れることもなく、広告や当時の紹介記事からそういうイメージを持っていました。

    しかし1995年に自分が短波ラジオの世界に戻ってみると、 どうやらSSR-1はさほどに良い評価を受けてはいないらしいことに気がつきました。

    右はShortwave Receivers Past and Present Second Editionからの抜粋。 さまざまな通信型短波受信機が、短いコメントと★5つの評価点とともに紹介されています。 この本では FRG-7 は★★★★★で「ベストインクラス」と高く評価されていますが、 SSR-1は★★で、「『ドレーク』に期待される性能レベルに達しなかった」「価格なり」と手厳しいです。

    ★★は Lafayette HA-230 (トリオ9R-59) なみの低評価。 Hallicrafters S-38 でさえ★★★なのに・・・ 著者の嗜好も多分に含まれているだろうとは思うのですが、 それにしてもFRG-7とSSR-1の扱いはずいぶん違います。 ほとんど同世代の、 ほとんど同じワドレーループ機なのに。

    この本だけでなく、いろいろなところで同じような傾向の評判です。 ほんとにそうなのかな? なにか自分が子供のころに見ていた夢にケチを付けられたような気がして悲しいのですが、 であればなおさら、 自分自身でSSR-1と向き合ってみないといけないようにも思えました。







回路構成

[このセクションは作業の進捗に応じて改訂しています]

    SSR-1の回路図を右に示します。 ユーザーマニュアルに掲載された回路図は1ページにすべてが収まるようにレイアウトされていますが、 信号の流れがわかりやすくなるようにレイアウトを変え、 また自分の作業メモも書き込んでいます。







太平洋の向こうから

    ラボにやってきたSSR-1は、 電源を入れた直後は音が出たり出なかったりでしたが、 時間が経つにつれ動作が安定してきました。 電解キャパシタが再化成で復活してきたかな? 電解キャパシタの全数交換は行うべきですね。

    ワドレーループのMHzダイヤル目盛は大きく狂っていますが、 シグナルジェネレータを併用して狂いの度合いを把握。 基本的なところは動作していると見えて、 さほど苦労せずに日曜夜のフレンドシップラジオが良好に聞こえてきました。 50年前のSSR-1は、遠く太平洋を越えたオーストラリアからの電波を捉えています。



Click here to watch video on Twitter
Click here for video download


    これが15.460MHz受信時のダイヤル位置。 エスカッショングラスの取り付けが外れて、そのためにダイヤルのヘアラインもずれていますが、 正しく取り付けられていたとしてもMHzダイヤルは3MHzほどずれています。

    このMHzズレはダイヤル盤が機械的にズレているのではなくて、 HFOの調整狂いのようです。 かなり大きなズレですね。 発振コイルの経年収縮だけとは考えにくいです。 HFO発振トランジスタの劣化の可能性もあるかな?

    USBモードでは復調音がハイに寄りすぎています。 LSBではまあなんとか使える程度。 BFO発振周波数の再調整は優先で行う必要がありそうです。 BFOはトランジスタ1石で、 LSBのときにダイオードスイッチで発振周波数をシフトする方式。

    CLARIFYは第3局発VFO発振周波数をバリキャップで微調する方式で、 ポテンショメータにガリはなく動きはスムース。

2026-07-19 SSR-1 動作開始






いきなり故障

    そうこうするうちに、 USB/LSBで音がほとんど出なくなってしまいました。 いきなり故障か。 まあ出るべき故障は早く出てもらうほうがありがたいです。 回路図はすぐに手に入りましたので、 読図しながら原因を絞り込んでいきます。

    SSR-1のAM/SSB音声切り替えは、 MODEロータリースイッチで切り替えるのではなくて、 ダイオードスイッチを用いた方式。 オーディオアンプへの入力としてAM検波出力とプロダクト検波出力のどちらを通すかを、 それぞれのモード用のダイオードのどちらにバイアス電圧をかけるかで切り替えます。 この電圧切り替えをロータリースイッチで行っています。

    SSR-1回路図のモード切替スイッチの部分、どうやら間違えていますね。 AM音声を選択する電圧制御ラインの、ロータリースイッチにつながるところ。 まあこのあたりは実機を追えば済みます。 このくらいでは騙されないよ。

    ま、今回の故障の原因はアナログダイオードスイッチ周りの直流阻止電解キャパシタのリークが原因でしょうね。

2026-07-19 USB/LSB時に音が出ない故障発生





    AM/SSBのAF切り替え用アナログダイオードスイッチ部の直流阻止キャパシタ C111 と C134 - いずれも10uF 16V - を新品交換し、 AMもSSBも音声は安定して鳴るようになりました。 症状と回路図読解からの故障個所見立てが一発で当たったのでうれしい!

    BFO発振周波数はまずUSBモードで発振コイルコアを調整し、 ついでLSBモードの周波数シフト量をトリマキャパシタで調整します。 取り急ぎ計測器もシグナルジェネレータも使わず、 聴感がいい感じになるように調整しました。 USBもLSBも快適に聞けるようになりました。

    ・・・っと、これは驚いた、この受信機には明確なチャープがあるぞ。

2026-07-20 SSBモードで音が出ない故障 電解キャパシタ交換で復旧






調査

    周波数安定度はいまのところ

FRG-7 >> SSR-1 > ICF-5900 > ICF-5800
と言った感じ。 現状でSSR-1は、 通信型受信機を名乗るにはチャープがみっともなさすぎます。 FT-8デコードもかなりきついはずです。 これは故障なのか、それとも実力なのか。

    オーディオパワーアンプICを除くすべての回路の電源は、 1石のシンプルなシリーズドロップ定電圧電源回路から供給されます。 第3局発周波数の微調機構 (CLARIFY) のバリキャップ電圧は、 この電源電圧をポテンショメータで分圧しているだけ。 AGC動作に伴って回路全電流が変化すれば、電源電圧もわずかに変動するでしょう。 AGC動作が局発周波数に影響するということはあり得そうです。

    これに対してFRG-7では、1石シリーズドロップで内部電源電圧10Vをつくったあと、 さらにツェナで安定化したDC9VでHFO/1MHz水晶発振/第3局発/BFOを動作させています。 AGC動作に起因する発振周波数変動を減らす工夫だ、と読めます。 さらにFRG-7では、第3局発の直後にバッファアンプが設けられています。 SSR-1にはどちらもありません。 FRG-7のほうが高級な造りだ、といえそうです。

    現状でのおたのしみリストは:

  • Sメータが振れすぎる
  • 6.115MHz受信中に6.055MHzが混信してくる
  • kHzダイヤル000kHz位置でいろいろ聞こえる





  • AGCキャパシタ

        C80 AGC時定数キャパシタを新品交換したら、 Sメータの振れが期待される程度に収まりました。 AGC時定数キャパシタがリークしてたために同じAGC出力でもゲインをあまり落とすことができず、 より強いAGC制御が必要で、 それを反映してSメータが大きく振れてたんだろうと思います。

        さらにC100 AFカップリング交換で低音の濁りがかなり改善。 調子よくなってきています。

        それにしてもこの受信機、 受信感度そのものはとても良いのですが、 イメージ混信なのか混変調なのか ゴーストがとても多いです。 8.992MHzのHFGCS/EAMをモニタしていると、 聞こえないはずの信号がいろいろ聞こえてしまいます。 今後調整とかで良くなるといいのですが。

        第2中間周波数は2~3MHzの1MHz帯域ですが、 通過帯域内に周波数の差が455kHzである2波があるとその2波が同時に第3中間周波に出てきてしまうものと見えます。 これは仕組み上FRG-7でも同様なはずなのですが、 何が実力の違いを出しているのでしょうか。 セレクティブアンプの選択度が不足しているというのもあるかもしれませんが、 現状では裏付けはとれていません。

    2026-07-22






    周波数安定度

        周波数安定度、電源投入5分経過してから平均周波数は200Hzほど動いてほぼ安定します。 1kHz以上動いてしまうこともないし、半日動作させても変動幅は200Hzかそこら。 同時代のトランジスタポータブル機にくらべると明らかに優秀です。

        しかし小刻みな変動が±30Hzほど、また時に100Hz以上振れることがあります。 このためFT8のデコードはほぼ無理。 SSB電話を聴いていてもピッチがひょこひょこ動いてしまうのは明らかで、 イライラします。

        これはなぜでしょうね。 電源電圧変動が支配的に思えますが。

    2026-07-28 周波数安定度を見てみる





        右のスペクトログラムでは、下半分は1965年製 Sideband Engineers SB-34 、 上半分は1975年製のSSR-1。 アマチュア無線機と国際放送聴取用短波受信機という違いはありますが、 10年も古い時代の機械の足元にも及ばないというのはどうしたものだろうと思います。

        すでに2年以上連続通電動作させているSB-34、周波数安定度は良いですが、 なんだかいつのまにか感度が落ちているようですね。 調べてあげないと。

    2026-07-28





        定電圧電源回路の基準電圧生成用ツェナーダイオード D24 MZ208にエアを吹きつけると、 受信周波数が顕著に変化します (動画参照: 900Hz->150Hz->900Hz)。

        おおお、周波数変動はやはり電源電圧変動のためだったのか! と色めきたってしまいましたが、 それは早とちりみたいですね。

        電源電圧が変化してその影響で第3局発の発信周波数が変わるというのは無視できないほどにはあるけれど、 影響はここまで大きくありません。 吹き付けたエアが近くの第3局発コイルなどのコンポーネントとバリコンに当たって、 温度変化を引き起こしているほうが寄与度がずっと高いみたいです。

    2026-07-28 安定化電源エアプローテスト



    Click here to watch video on Twitter
    Click here for video download


        電圧基準ツェナーダイオードにエアを吹きつけたときの、RF-IFボードへの供給電圧の変化のようす。 30mV以上変化していますね。 電圧変化はたしかにあります。



    Click here to watch video on Twitter
    Click here for video download



    おいでなすった

        おいでなすった・・・!! 受信音が途切れ途切れになってしまいました。 さあこんどはどこでしょう。

        IC-706MK2GMにつないだピックアップコイルでSSR-1からの信号の漏れを受信してみると、 HFO発振出力は安定、VFO発振出力も安定。 第2中間周波増幅/第3混合/第3中間周波増幅前段・後段およびミューティングのいずれかがおかしいと思えます。

        これらにはすべて、 故障率が高いことが報告されている2SC710が使われています。 トランジスタ故障の可能性が高そうです。 ですが、幣ラボの活動はFTAを考えることと原因究明のプロセスが楽しくてやっていますので、 2SC710無条件全数交換といった脳筋修理はしません・・・少なくとも最初からは。 名探偵コナンを観るとき、レギュラーキャラでないすべての登場人物を犯人と決めつけてしまえば、 番組を最後まで観なくても事件は解決しますね。 そんなんじゃコナンを楽しめないでしょ?

        AM検波入力をダイオードD13のカソード側で観測してみると、 音が出ないときは検波入力がとても小さいです。 先日修理したAF切り替えダイオードスイッチ周辺はシロ、でしょう。

        まずはミューティングスイッチトランジスタ Q12 2SC710 を切り離してみましたが、 状況に変化なし。 ミューティングがかかりっぱなしになってしまっているということではなさそうです。





        Q14 AGC Amplifier 2SC1312 を取り外したら安定して受信するようになりました。 この状態ではAGCが効かないので強信号で飽和してしまうけれど、これは予想される正常な挙動。 このトランジスタの素子不良ということで原因は確定。

        2SC1312の代わりに2SC945を取り付け。 ピン配列がオリジナルのBCEではなくてECBの品種なので、 プリント基板のシルクの表示の反対向きに取り付けます。

        トランジスタ交換したSSR-1はすぐに鳴りだしました。 AGCも、メータの振れはとても速いものの、 いい感じで動作しています。

    2026-07-28 受信音が途切れ途切れになってしまう (2回目) ― AGCトランジスタ Q14 交換で治癒






    ダイヤルを調整する

        ダイヤルを暫定的に調整しました。 HFO発振コイルL13 と VFO発振コイルL21を調整して、 MHzダイヤルもkHzダイヤルも読みの確度はほぼ実用レベルになりました。

        右の写真では9.750MHzでNHKワールド・ラジオ日本を聴取中。

    2026-07-28 ダイヤル調整





        残っていたオーディオパワーアンプのカップリングとバイパスキャパシタ計3個を新品交換しました。 カップリングは1uF->2.2uFに変更。 結果、聴感上の変化とくになし。

        これでアナログ回路部の電解キャパシタはすべて交換完了です。

    2026-07-28






    相互混変調

        SSR-1のVFOが壊れたって? 大丈夫!! 聞きたい放送局よりも455kHz高い周波数の信号をアンテナに入れてやればOKだよ!

        ・・・って、笑ってる場合じゃないですよこれ。 右の動画では、 SSR-1のVFOつまり第3局発発振トランジスタのコレクタ抵抗を抜いて第3局発を止めています。 にもかかわらず、 シグナルジェネレータでつくった7.780MHzをアンテナにルースカップルさせると、 7.325MHzの中国国際放送がしっかり聞こえます。 それ以外の放送局もいろいろ聞こえていますね。

        これはかなりひどいなあ、 本当にこれがSSR-1の実力なのか、 それともどこか故障しているのか。

    2026-07-29 第2IFでの相互混変調を確認



    Click here to watch video on Twitter
    Click here for video download



    第3局発の電源電圧依存性

        第3局部発信周波数の不安定さの原因を探るため、 トランジスタQ13 VFO (第3局発) だけを外部安定化電源で動作させてみました。 予想に反して、なんとチャープはしっかり残っています。 第3局発の不安定さは、電源電圧変動だけが原因ではない、ということのようです。 電源電圧変動、装置内空気流そして信号強度依存の3つの原因があるものと見えます。



    Click here to watch video on Twitter
    Click here for video download


        右の画像はWSJT-Xのウォーターフォール。 14.074MHzのFT8を受信しているところ。 14.077MHzにシグナルジェネレータで作ったパイロット信号を入れています。 3000Hzあたりにいる縦線がきれいな縦一直線であるのが理想。

        このスクリーンショットでは、 下半分がFRG-7での受信、 上半分がSSR-1での受信。 SSR-1は受信機全体を外部安定化電源からのDC12Vで動作 ― つまりAC100V電源電圧の変動の影響はとても少ないはずで、 かつ筐体カバーをしていますから室内空気流の影響も少ないはず。

        SSR-1での結果を見ると、かなり安定してはいるものの変動は10~20Hzほどはあり、 かつ入力RF信号強度で変化していることがわかります。

        ということで今日のSSR-1観察結果は:

  • 第3局発専用電源回路を用意するのは効果が期待できる
  • それでも信号強度に応じた変化は残る

  •     同じような回路構成なのに、FRG-7の安定度は良いですね。 SSR-1も改良すればFRG-7の安定度に迫れるのかどうか。

    2026-07-29 外部安定化電源での周波数安定性を調査






    突然無音に

        突然無音になり、そのまま放置で2時間後に再び音が出るトラブルが発生。 突然鳴らなくなった故障の3回目です。

        切り分けのために第2IF出力をIC-706MKIIGMで聞きながら再発を待つと、 無音になるときも第2IFは正常でした。 問題はメインボード上にあります。

        メインボード上の素子をウイグルテストしてみると、 Q9 2SC710 第3ミキサのトランジスタに不安定があるのがわかりました。



    Click here to watch video on Twitter
    Click here for video download


        はんだクラックではなかったようです。 2SC710を2SC2347に交換したところ、 一発で正常動作。 感度も明確に向上しました。

        2SC710は見つけ次第全数交換しろとおっしゃるOMさんは多いのですが、 実をいうと幣ラボではいままでに2SC710の故障というのには出くわしたことがないのです。 まあたいした経験台数ではないですけれど、 それでも ICF-5800 とか CF-1980 とかに多数の2SC710が使われているんですけどね。 というわけで、今回が初の2SC710故障です。 実績解除。

        トランジスタ交換後、チャープは良くなった気がしますがいまだに明確。 他周波数の混信も依然として明確です。

    2026-08-03 突然鳴らなくなった (3回目) ― Q9 2SC710 第3ミキサトランジスタ交換で回復






    音が濁ってるよ

        先週末は家族の入院のドタバタがあり疲れてしまいました。 一息付けた日曜日はSSR-1で15.460MHzのフレンドシップラジオを聞いて過ごしましょう。

        ところがなんだか復調音が濁っているような気がします。 最初からこうだったかなあ? 前はあまり気がつかなかったんですけれどね。 オーディオアンプ周りを整備したので低音がはっきり聞こえるようになったからかなあ? ラジオ放送番組を聞く限りはさほどには目立ちませんが、 ファクシミリやCWのシングルトーンを聞くと気にしだすと我慢できなくなるレベルのものです。

        明らかな故障・不調の調査修理は一段落しましたから、 復調音濁り問題の調べを入れることにします。

    2026-08-02 復調音の濁りに気づく



    Click here to watch video on Twitter
    Click here for video download


        右のスクリーンショットは、単一波をUSBモードで聞いた時のオーディオスペクトラム。 上は外部DC12V動作時、下はAC100V動作時。 外部DC12Vで動作させたときは問題が出ていません。 濁りはAC100V電源電圧由来であるのは間違いがなさそうです。

        しかしこの濁り、音声信号にAC100V由来の50Hzのハムが重畳しているのではなくて、 オーディオ信号に±50Hzのスペクトルが見えます。 単一トーンの振幅が、1秒間に50回の周期で増減してしまっているわけですね。 さあて、これはなんでだ?

        50Hzハム重畳ならばAC100V電源回路の整流直後の平滑キャパシタの容量抜けが疑われますが、 それとは症状が違いますね。 でも物は試しと、 オリジナルの電解キャパシタの代わりに新古品の低ESR品4700uFを使ってみました。 残念というか予想通りというか、音の濁りは変わりません。 そもそもAC100V動作時、SSR-1内DC電源電圧のリップルレベルは外部DC12V動作時と大差ありませんし。

        すると・・・電源トランスからの漏れ磁束? そんなばかな、そんなの試作段階で気がつきそうなものだ。

    2026-08-04



    DC12V動作時


    AC100V動作時


        SSR-1をAC100Vで動作させて第2IF (ワドレーループ出力) をIC-706MK2GMで受信してみると、 受信音の濁りはなく、チャープもありません。 チャープがないのはあたりまえでしょうけれど、 2nd IFでのシングルトーンはきれいで、AM出力では濁りあり。 濁りの理由はAF復調周波数が小刻みに変化していること。 そしてこの現象はAC100V動作時にのみ起きています。

        IS - IS NOT分析を続けていけば、きっと追いつめられるでしょう。

    2026-08-05



    第2IFをIC-706MK2GMで受信


    SSR-1 AF出力



        第3局発信号 (テストではたまたま8.761MHz受信中なので2.640MHz) を第3混合出力後の455kHz IFT 2次側から取り出し、 IC-706MK2GMのUSBモードで受信してみると、 発振周波数が小刻みに変動していることが見て取れます。 現時点での問題記述は、

    「AC100V動作時に第3局部発振周波数が1秒間に50回の周期で変動する」

    ですね。 絞り込めてきました。

    2026-08-05



    Click here to watch video on Twitter
    Click here for video download


        予想に合わない状況になってしまいました!!

        第3局部周波数発振器だけを外部DC7.4Vで動作させ、 第3局発をIC-706で受信してスペクトルを見てみます (バリキャップ電源電圧変動の要因を切り離すためにCLARIFY回路は切り離してあります)。

        これならば本体電源がAC100VであろうともDC12Vであろうとも第3局部発振回路は影響は受けないはずなのに、 AC100V動作時にだけ明確な周波数の小刻みな変動が出ます!




    第3局発はDC7.4V動作 ほか本体AC100V動作時 第3局発スペクトラム



    第3局発はDC7.4V動作 ほか本体DC12V動作時 第3局発スペクトラム



        さらに本体内AC100V電源回路の配線を切り離しました。 第3局発は外部DC7.4Vで、 残りの回路は外部DC12Vで動作させます。 AC100V電源ケーブルからの電源で電源トランス1次巻線は駆動されているのですが、 電源トランス2次側は整流ダイオードと平滑キャパシタだけで、 本体内部回路にはグラウンドを含め何もつながっていない状態です。

        それなのに・・・AC100Vで電源トランスに通電すると第3局発にジッタが出る!

        これは妖怪の仕業だ! そうとしか考えられない!!

    2026-08-06






    妖怪の正体

        電気的にはどうにも理由がわからず、 やはりこれは電源トランスからの磁束漏れに反応してしまっているとしか思えない。

        それを確かめるために電源トランスを外して位置を変えてみようと思いましたが、 SSR-1のシャシー機構設計は組み立てることしか考えていないと見えて、 電源トランスを外すにはサブシャシーを分解しなければならず、 そのためにはワドレーループ基板を外さなければならず、 そのためにはワドレーループ基板のシールド板を外さなければならず、 けれどシールド板を取りつけているネジはシールド板を取り外さなければ回せないという信じられない作り。 要するにシールド版を一部破壊しなければ分解できないのです。 なんてこった。

        これははんだ付けで取り付けられているシールド板ステーを取り外せばいいのですが、 薄い金属板ゆえにはんだこての熱はすぐに逃げてしまい、 普段使いのはんだこてではどうにもなりません。 小学生のころ使っていた60Wの大きなはんだごてはどこかに残してあったっけ? ガスバーナーじゃヤバ過ぎるよなあ・・・ それにこれ、1か所だけじゃないんだよな・・・

        あまりの配慮の無さに腹が立ち、ニッパでシールド板を切り裂く一歩手前まで来ましたが、どうどうどう、 ちょっと冷静になって考えようや。





        長い休憩をはさんでアタマをクールダウンし、 どう分解したものかとドライバーでSSR-1の中をあちこちつつきながら考えます。 すると気がついたのが・・・ 近づけたときに第3局発の周波数が明確に変化するドライバーと、そうでないドライバーがあるのです。

        ほどなく気がつきました。 第3局発周波数は、磁化されているドライバーに敏感に反応します。 どうやら第3ミキサ/第3局発の付近が磁気にとても敏感らしいです。

        閑古鳥 さんのジャンク市で「これあるといろいろ便利だよ、もってってよ」 と店主さんに言われて買ってきたフェライト磁石がありました。 これを使って即席の強力磁石ツールを用意し、 試してみると、 おおお、局発周波数が磁界に反応している。

        電源トランスからの磁束漏れによる影響というのは、 普通は受け側のコイルに電磁誘導で交流電圧が誘起されて起きるものなわけですが、 SSR-1の場合は電磁誘導ではなくて磁界に ― 磁束密度に反応してしまっているのです。

        外部磁界に一番敏感なのはL21 第3局発発振コイルです。 これはひょっとしてコアを帯磁させちゃったから? コアが磁化されればその程度によってコイルのインダクタンスは変わりますから、 発振周波数に影響が出て当然。 しかしこんなにも敏感になるとは。 この手のコイルのコアは普通は帯磁しないタイプのフェライトが使われると思うんですけれどねえ。 あるいはコイルのシールドケースが帯磁してしまった可能性もあるのかな?

        おそらく間違いなく、 kHzダイヤルのズレを調整したときに磁化されたマイナスドライバーを使ってしまったからでしょう。 それでコイルのコアが磁化されてしまい、 コイルが磁束密度に敏感に反応するようになってしまったのだと思います。

        だとすると自分の作業ミスだなあ。 コイルコアを消磁する方法を考えよう。

    2026-08-07



    Click here to watch video on Twitter
    Click here for video download



    突然鳴らなくなった

        妖怪の正体を見破ったところで、 さーて、またまた全然鳴らなくなりましたよ? 突然鳴らなくなった故障の4回目。 ちょっと悪口みたいなこと言っちゃったからかなあ? 機嫌直してよー。

        なんだか故障切り分けの手順も手慣れてきた気がします。

  • 2nd IFが生成できていません。
  • HFOは発振しています。
  • 一瞬音が出ることがあります。
  • 42.5MHz 第2局発も出ています (弱くなっているかどうかは不明ですが)。
  • Sメータは振れていないのですがAGC電圧は0.184Vほどしかありません。

  •     明らかに異常ですね。 AGC電圧は無信号時に1.55Vほど、 S9+20dB程度の強信号の時でも0.83V程度にいるはずです。 AGCトランジスタが勝手に強くONしているのなら、 AGCトランジスタのエミッタ電圧が上がってSメータは大きく振れるはず。 それはないので、AGCトランジスタは正常で、ONしていないと思われます。 であれば、ミューティングトランジスタが勝手にONして、 ワドレーループボードのゲインが思いっきり下げられているものと見えます。





        はたしてMUTINGトランジスタ Q12 2SC710を抜いたら、 SSR-1はすぐに鳴りだしました!! これまたスムースに原因特定ができました。 嬉しい。

        このトランジスタはDC領域で動作すればよいので、 AGCトランジスタと同じく2SC945に交換しました。 これもピン配が異なるので、 基板のシルク印刷とは反対向きに取りつけます。

        幣ラボのラジオはいままで奇跡的に2SC710故障はなかったのですが、 今回このSSR-1で2個めの2SC710故障。 この機械に使われている2SC710はダメロットなんですかね。 やっぱり全数交換するようでしょうか。

    2026-08-07 突然鳴らなくなった (4回目) ― MUTINGトランジスタ Q12 2SC710 故障 2SC945に交換






    不思議なお祓い棒

        第4回突然鳴らなくなる病から回復したので、 妖怪局発ゆらしの退治を再開します。

        SSR-1は第3局発も2SC710が使われています。 まさかトランジスタが不良でMR素子に化けてしまったなんてことはあり得ないと思うのですが、 強い妖怪は人を騙すのが得意ですから、 ひょっとすると。 なので、トランジスタを交換してしまいましょう。

        新品の2SC2347に交換したのですが、でもやはり・・・ 妖怪局発ゆらしは健在。 ほんのわずか改善したように気もするのですが、 まあ本当に気のせいでしょうね。

    2026-08-07 第3局発トランジスタの2SC710を交換しても変わらない





       



        でも大発見! L21に磁石を近づけてから離すと、 磁界感受性が変わります。 磁石を逆向きにして同じことをすると、磁界感度が下がったりします。 これは近づけた磁石で着磁されることもあるし、 逆極性にすればDC消磁できるということでしょう。

        AC消磁と異なり上手にゼロに消磁するのはなかなか難しいです。 が、 第3局発信号の復調スペクトルをWaveSpectraでリアルタイムに見ながら ジャンク市フェライト磁石でつくった不思議なお祓い棒磁石を近づけたり遠ざけたり反対向きにしたりといろいろ試したら、 磁界感度を大きく下げることができました!!

        右に示した画像のスペクトルは、 第3局発 2.662MHz (7.793MHz受信中)をIC-706のUSBモードで受信したもの。 AC電源トランスからの漏れ磁束による±50Hzの成分をピークから40dB以上落とせば、 聴感上濁りは感じなくなります。 ピークとの差が20dBより小さくなると、濁りが顕著になってしまいます。

        より完全を狙うならAC消磁ができる消磁器を工夫するなり、 磁石を電動ドリルでくるくる回しながら近づけ離していくという作戦もありますね。 今回は不思議な磁石の棒を振ることによって問題とならない程度に解消できましたので、 ここで作業終了とします。

        ということで、AC100V動作時の受信音の濁り、またの名を妖怪局発ゆらしの正体は:

    第3局発コイルが帯磁してしまった結果、 発振周波数が磁界に敏感に反応してしまうようになり、 電源トランスからの漏れ磁束で局発信号に50Hzの周波数変調がかかってしまっていたため

    でした!

        発振コイルが帯磁してしまった原因は、調整時に磁化ドライバーを使ってしまったため。 再発防止策は、非磁性ドライバーを使うこと。 学びは、 「発振コイルが磁化されるとインダクタンスが周囲磁界の影響を受けやすくなってしまうことがある」。

    2026-08-07



    DC12V動作: 第3局発をIC-706MK2GMで受信


    AC100V動作: 第3局発をIC-706MK2GMで受信



       




    再スタート - チャープのようす

        第3局発コイルの消磁ができて復調音の濁り問題が解決したので、 電源回路配線をすべてノーマルに戻して再スタートします。 SSR-1は順調に動作中。 信号強度に依存したごくわずかな復調ピッチ変動 = チャープの低減ができないものかの調査を再開します。

        動画はJMH2を受信中のオーディオ出力スペクトラム。 7.795MHzのキャリア受信時の復調ピッチのようすを見ています。 最大25Hzほどのチャープが見られますね。 ファクシミリ受像ならほぼ問題なしですが、 FT8デコードには許容値越え。

    2026-08-08



    Click here to watch video on Twitter
    Click here for video download


        チャープにはほぼ何の効きもないだろうと思いつつ、ちょっとだけ予防保全と、 回路調整を行います。

  • Q8 2SC710 第2中間周波増幅を2SC2347に交換
  • 第2中間周波増幅段入出力の同調回路を調整
  • 第3中間周波トランス L18 / L19 / L20を調整
  • BFO再調整 (USBのみ LSBは未調整)

  •     調子は一回り良くなった気がします。

    2026-08-09






    混変調のようすを再確認

        8.764MHzのUS Coast Guard Weather Serviceを、現状のSSR-1とFRG-7とで聞き比べてみます。 FRG-7では「かくあるべく」聞こえていますが、 SSR-1では聞こえないはずの信号がいくつも折り重なって聞こえてしまい、正直使い物になりません。 これが本来のSSR-1の性能なのでしょうか? それともウチの個体がどこかに問題を抱えているのでしょうか?

        kHzメインダイヤル同調回路のトラッキング調整を取ってみたものの、混変調は解消されませんでした。 それもそのはず。 混変調は第2中間周波、つまりワドレーループボードの出力ですでに発生しています。 第2周波数変換段を調べてみるべきです。

    2026-08-09





    SSR-1ではいろいろな信号が折り重なってしまいほとんど聞き取れないが
    Click here to watch video on Twitter
    Click here for video download



    同じアンテナでFRG-7ではすっきり聞こえている
    Click here to watch video on Twitter
    Click here for video download


        変えても何も変わるまい・・・と思いつつ、 Q7 第2混合と Q5 高周波増幅の2SC710を2SC2347に交換しました。 Sメータの振れが落ちたかな・・・ これはAGCの効きが良くなったということかもしれない。 メータ感度上げ調整を行いました。

    2026-08-09





        第2周波数変換周りを眺めていて・・・ 基板のシルク印刷の間違いに気がつきました。 まあ、よくあることですかね?

    2026-08-09 シルク間違いに気づく





        右図は、SSR-1とFRG-1の第1周波数変換~第2周波数変換の回路比較。 FRG-1では第1混合のあとに第1中間周波数増幅段があり、 ここに2段の疎結合バンドパスフィルタが配され、通過帯域を1MHz幅に絞っています。 SSR-1では第1混合出力はそのまま第2混合に入ります。 帯域外の信号も素通りしてしまうわけですね。 これがSSR-1とFRG-7の、ワドレーループ部の性能の差の理由なのでしょうか?

        SSR-1のダイヤル位置 8.160MHzで、 ふるさとの風 9.455MHz と 9.705MHzが聞こえてしまいます。 この手の現象が起きるときは、ほとんどの場合で2波同時に混信しています。 ふるさとの風は2波で音声に0.2秒くらいの遅延があるので、 2波が混ざって聞こえていることがわかります。 この場合は、第1中間周波段の帯域バンドパスは効果があるはずですね。

    2026-08-11






    ハーモニックジェネレータ

        SSR-1のハーモニックジェネレータ出力波形を、 ボード上に用意されているテストポイントで観測してみます。 周期1μS、振幅5V。 急峻な下がりをつくって、 1MHzの高調波成分をたっぷり含む信号を作っています。

    2026-08-12





        初期型SSR-1は、 1MHzハーモニックジェネレータを10MHz水晶マルチバイブレータで直接ドライブするという「それってどうなの」回路になっています。 正確には「フリーランアステーブルマルチの発振周期を10MHz発振にロックさせる」というトリックを使っています。 実際に低室温時に発振停止する等のトラブルが多く、SSR-1の評判を落とす一番の原因になっていたとのこと。

        水晶発振子は1MHz品よりも10MHz品のほうが安かったからこういうトリックを使ったのかなと思いますが、 これは結局高くついたコウトダウンだったのかもしれません。 それともこれは特許回避の苦肉の策策だったりしたのかな?

        ラボの個体はおそらく暫定対策型。 ボード裏面に7490ディケードカウンタが載ったクラッジボードが追加され、 10MHzクロックを10分周して1MHzを得て、 ハーモニックジェネレータを安定にドライブしています。

        ちなみにFRG-7では、ワドレーループのクロックは1MHz水晶発振子+1石トランジスタ発振回路で生成しています。 ごく素直でシンプル・堅実な作り。

        クロックジェネレータ電源はDC7.4V母線からツェナーダイオードを用いてDC5Vが生成されます。 ここの平滑電解キャパシタは未交換でしたので交換しました。 ついでに10uF->22uFに増量。 知覚できる変化はありません。

    2026-08-12






    BFOはどうだろう

        SSR-1の第3中間周波 (455kHz) を引っ張り出し、 外部のIC-706MK2GMで受信してみます。 ここではサイドバンドは元に戻っていますから、706をUSBモードにしてFT8を受信。

        シグナルジェネレータで作った+3000Hzのパイロット信号の動きを見てみると、 周波数のふらつきはあるものの、その変化はゆっくりしています。 信号強度に呼応した1秒以下での早い変化は見られません。

        このことから、信号強度に呼応した周波数変動の原因はBFOが支配的であることがわかります。

        これはまた、信号強度変化->AGC動作変化->電源電圧変動->第3局発の周波数が変化、 というシナリオはなさそうだということもわかりました。 それじゃ第3局発がふらふらするのは何が原因なんだろう。

    2026-08-13





        ということで第3IF信号によってBFO発振周波数がプルインしてしまう理由は何でしょう。 SSR-1のBFOとプロダクト検波回路を見てみます。

        FRG-7ではBFO発振回路の直後に置いたエミッタフォロワでリングダイオードをドライブしますが、 SSR-1ではバッファは省かれ、1石発振回路が直接リングダイオードをドライブします。 FRG-7ではBFOバッファが効果を発揮しているということなのでしょうか。

        とはいえ現状でのSSR-1のチャープは、 SSB電話受信・電信受信・ファクシミリ受像には全く問題がないレベルです。 もちろんAM国際短波放送を聞く分には全く気付きません。 問題となるのはFT8受信のみ。 1975年のこの受信機の使い道を考えたら、 実用上全く問題がないレベルだ、といえますね。

    2026-08-13






    AGCのしくみ

        まだ理解できてないのがAGCのしくみ。 SSR-1の回路図は1ページに収まるように描かれていて、 信号の流れがよくわかりません。 なのでいつものように写経しながら、 レイアウトを変えつつ、回路図を読み解く努力をしてみます。 実機はAGC時定数がとても短く、 SSB電話の語と語の間のノイズが耳障りだし、 AM国際放送ではフェーディング谷の歪がうるさいです。 もっと時定数を大きくしてファーストアタック・スローリリース特性を持たせ、 回復の時定数を大きくしたいのですが、 どういじればいいのか見当がつきません。

        AM検波とAGC周りを整理して抜き出したのが右図。 うわ、こんな回路初めて見るよ。 倍電圧のAM検波に並んでAGC用の検波回路があると思いきや、 その両者からAGCトランジスタにつながっています。 平均キャリアレベルに加えて変調レベルも加味して高速に制御しようとしているのだろうか? だとするとこれはノイズリミッタ的にパルスノイズの低減を狙っているのかな?

        基本的にAGCライン電圧はR77とR75で分圧されて無信号時に1.5V程度にあり、 信号レベルが高まるとAGCトランジスタがしだいにONし、AGCライン電圧を下げていく仕組みです。 そこまではわかるんですけどね。

    2026-08-13





        AGCトランジスタQ14のベース電圧 (上トレース) とエミッタ電圧 (下トレース)をオシロスコープで観察してみます。 横軸はRF信号強度。 シグナルジェネレータでS=0からスタートして5秒間でS9+20dBほどになるようなランプにし、 オシロスコープの時間軸は1div=0.5secにセットしました。 結果は右。 信号を出しはじめてから約3.5秒後あたりまでが管面に収まっています。

        なるほど!! 信号強度が高まってVBEが0.6Vに達してはじめてAGCトランジスタがONしはじめる・・・ これはディレイドAGCを実現するための工夫みたいです。 AGCトランジスタがONし始めるまではAGC検波回路の出力でSメータが振れ、 AGCトランジスタがONし始めるとトランジスタのエミッタ電流のためにエミッタ抵抗の電圧が高まり、 結果として無信号時~AGC動作開始~最強信号入力時までなめらかにSメータが振れるようにしています。

    2026-08-14





        右の写真はS9程度のRF信号強度で400Hz AM100%変調時。 AGCトランジスタのベースには音声信号が見えます。

        AGCトランジスタは音声周波数に応答しているわけですが、 トランジスタのコレクタ側には時定数を決定する平滑キャパシタが入っているため、 AGC制御を受ける各段のトランジスタには音声信号成分はフィードバックされません。





        AGCライン電圧をオシロスコープで観測。 RF信号をバーストさせてみると、 ファーストアタック・スローリリースになっています。 が、ゲイン回復に要する時間は0.3秒ほど。 リリース0.3秒はSSB音声には速すぎますね。

        強信号が入るとAGCトランジスタがONしてAGCキャパシタC80を急速にディスチャージします。 無信号になると抵抗R77が比較的ゆっくりAGCキャパシタをチャージしていきます。 だから、無信号時の感度回復をもっとゆっくりにしたければ、 AGCキャパシタをさらに大きくするか、R77を大きくすればよいということになります。 R77は無信号時のAGC電圧を決める分圧抵抗でもあるので、 変更したらあわせてR75も変え、 無信号時AGC電圧を1.6V程度にしておく必要があります。





        シグナルジェネレータでDSB音声信号を作り復調してみると、 AGC電圧は忙しく上下してしまいます。

        このテストでは音質は良くありませんね。 実際のSSB信号を聞く分にはここまでの音質の悪さは感じないのですが。 どこが悪いのでしょう?

    2026-08-14 AGC電圧を観察



    Click here to watch video on Twitter
    Click here for video download



    ダイヤル照明

        SSR-1のダイヤル盤はグリーンの内部照明を持ちますが、 自分的にはドレークならブルーだろという思い込みがどこかにあるということと、 このグリーンの照明はちょっと暗くて読み取りにくいので、 明るめのターコイズブルーに変更したいなあと思っています。

        まずはフロントパネルを取り外し、 トップカバーと一緒にお風呂に入ってシンプルグリーンで洗浄。 あまりひどくはなかったものの、タバコのヤニが落ちてすっきりしました。

        フロントパネル内部の汚れは酷くなかったのでホコリ落としをした程度。 ダイヤルコードも良好な状態を維持しています。





        ダイヤル盤バックライトは、 グリーンと乳白色の2枚のプラスチック板の裏を豆電球で照らすことによって行われています。 自分の好きな色のプラスチック板を用意すればいいですね。 これは簡単に楽しめるカスタム。

        Sメータはメータ内の目盛盤を変えないといけませんから、 難易度が上がります。





        第1回のトライは、ダイソーで買ってきたライトブルーのプラスチックトレイからバックパネルを切り出して取りつけ。 うーん、薄すぎたなあ。もっと濃いブルーの素材を使うべき。

        光源が自然光のときはいい感じの色ですが、 オリジナルの白熱電球ではオレンジがかって今一つ。 白熱電球を白色LEDに置き換えるべきですね。

    2026-08-10 フロントパネル洗浄 ダイヤルバックライト交換






    ボトムカバー

        フロントパネルを取り外して、トップカバー・ボトムカバーとあわせ洗浄清掃。 ボトムカバーは六価クロムメッキの痛みが進んでおり、 磨いただけではみっともない状態にしかなりませんでしたので、 アクリル艶消しブラックスプレーで塗装しました。

    2026-08-14 筐体清掃 ボトムカバー塗装





    修理フェーズ完了

        問題点は多いものの、どうやらこれらはSSR-1ラインオフ時から持っている特性であるように思えてきました。 基本的な動作は安定しています。 これでまず最初の修理フェーズは完了ということにして、 いったんケースをとじて完成ということにしましょう。

    現状で本機が持つ課題をまとめます。

  • かなり明確な相互混変調。ワドレーループ内で発生している。
  • 相互混変調はリアパネルのアンテナアッテネータをLOCALにするとかなり低減できる。
  • チャープとSSB復調品質問題。 BFO発振周波数が第3IFにプルインされてしまうためと思われる。
  • 復調周波数の短時間変動問題。第3局発とBFOのいずれも可能性あり。 電源安定化が望まれる。
  • プリセレクタバリコンシャフトベアリングのゴロつき。

  •     SSR-1、小学6年生のころから抱き続けてきた高級機のイメージとはかなり異なりました。 ICF-5900をいくつもの点で凌駕しているとはいえ、 思いのほかこの受信機には改善ネタが多いです。 もっともこれはこの個体がまだどこかに不具合を抱えている可能性もありますが。

        ともあれこの段階で修理フェーズは完了ということにして、 いったんケースを閉めました。 しばらくこれで短波を楽しみましょう。 SSR-1、この先も改善プロジェクトでまだまだたっぷり楽しめそうです。

    2026-08-14 修理フェーズ完了






    セレクティブアンプリファイヤで混変調が悪化する

        明らかに故障している~なんとなく怪しい、と判断されない限りは部品交換はしない方針ですが、 「2SC710は見つけ次第交換」のアドバイスは何人もの方からお聞きしていますし、 そのうち壊れるのなら交換しておいたほうがいいですね。 すでにウチのSSR-1は修理フェーズを終え、 予防保全フェーズに入った、ということです。

        慌てずゆっくり作業を進め、 セレクティブアンプの3つの2SC710 - Q2/Q3/Q4 を2SC2347に交換しました。 すると・・・なんてこと。 ワドレーループがマトモに動作しない!!

        トランジスタを交換したんだからトランジスタの接合容量は変わり、 だからセレクティブアンプの結合コイルの再調整は必要なはず。 それが狂ってしまったのだろうと思い調整を試みましたが、 ぜんぜんマトモに調整できません。

        ゲインは高いのだけれどMHzつまみを回してもMHzがきれいに選べず、 さまざまな信号が激しく折り重なっています。 MHzつまみを回すと数多くのバーディが出ていますし。 なんというか、ヤクをキメてハイになってしまったかのようです。 これはやばい、壊しちゃった。

    2026-08-22 セレクティブアンプトランジスタを2SC2347に換えたらワドレーループ不調に





        最初からすべての2SC710を無条件交換しなくてよかった! あちこちひととおりの部品交換を済ませていざ電源を入れてすぐにこんな感じだったら、 どこがどう悪いのかわからず、 わけがわからずあきらめて投げ出していたかもしれません。

        ひとつずつ2SC710にもどしていったら、 そのたびに以前の状態に戻っていき、 3つとも2SC710に戻した後に再度セレクティブ周波数調整を取り直したら以前の状態に戻ってくれました。 ふう!

        大汗をかいてしまいましたが、 この受信機においてはセレクティブアンプ、 すなわち第2局発周波数生成段の具合で相互混変調の程度が大きく変わるという知見が得られました。 大きなヒントです。 高周波増幅段は相互混変調の第一の原因にはなっていない といえそうだからです。

        ますます、 相互混変調は第2混合で起きているのではないか と思われるようになりました。 この回路が過大入力に弱く、 第1IF入力と第2局発入力、どちらのレベルが高くてもひどい混変調を引き起こすのではないでしょうか。

        もしそうであれば、 セレクティブアンプに2SC2347を使った状態でも、 第2局発出力レベルをアッテネータで落としてやれば動作は安定するのかもしれません。 未トライですけれども。

        なんにせよ、これはやはりシンプルな故障ではなく、 本機SSR-1が設計当初から持つ弱点のようですね。 改善作業はシロートの手には負えなくなってきそうです。

    2026-08-22 セレクティブアンプを2SC710に戻し元の状態に復旧





        トランジスタQ7は第2混合の役割を果たすと思っていましたが、 これは主として第1IF増幅で、 第2混合はQ7に続くトランスでパッシブミキサとして行われていると考えるべきなのかもしれません。

        トランジスタQ7はオリジナルでは2SC710が使われていました。 これは故障の兆候は感じられなかったのですが、 「2SC710は即交換」のアドバイスを受けて何も考えずに2SC2347に交換してありました。 このトランジスタのゲインが高すぎたら第2混合への第1IF入力が強くなりすぎ、 混変調は酷くなってしまうはず。

        なので、Q7を2SC945に換えてみました。 大きな変化ではありませんが、 混変調は改善されたようです。 なんとなく、 いままででいちばんいい調子で動作している感じがします。

    2026-08-22 Q7 第1IF増幅を2SC945に換えてみる - 2SC2347よりも良い感じ





        右図はSSR-1とFRG-7の 第2局発周波数生成回路の比較。 どちらも、 第1局発とハーモニックジェネレータの1MHz高調波をプリミキサでミックスし、 その中からトランジスタ3段セレクティブアンプで42.5MHz(FRG-7では52.5MHz)に近い周波数だけを選び出し、 第2局発周波数とします。

        このコンセプトは全く同じなのですが、 詳細設計はかなり違いますね。

        FRG-7では通過帯域はすこしフラットにしつつもシャープな選択度を得るために疎結合複同調を4段とし、 結果、怒涛の8連コイルを持ちます。 さらに、ハーモニックジェネレータは厳重にシールドされRF回路から極力離されて配置されています。

        これに対してSSR-1のセレクティブ各段の結合はシールドされていないタップ付き空芯コイル。 同じコンセプトなのに、実装された基板の景色はかなり異なります。

    2026-08-22 セレクティブアンプ回路考察






    相互混変調は結局のところ

        SSR-1の相互混変調は、リアパネルのアンテナアッテネータスイッチをLOCALに切り替えればかなり低減されます。 夜の8MHz帯を聴くときは、 7MHz帯や9MHz帯に超強力な大陸からの電波が飛び込んでくるため、 アッテネータをLOCALにしないとほとんど実用になりません。 これは、使っているロングワイヤーアンテナが8MHzあたりに最大ゲインがある長さになっていることも影響しています。

        アッテネータを入れておけば、パーフェクトではないにせよ十分楽しく聞けます。 中学生の時にポテンショメータ1個のアンテナアッテネータボックスを作ったことがありましたが、 それがSSR-1のベストコンパニオンなのかもしれません。

        いっぽうで、アッテネータをLOCALにするとすっきり消える混信と、 かすかに聞こえ続ける混信があります。 混変調の原因はひとつではなさそうです。 かすかに聞こえ続けるタイプの混変調は、実用上さほどに支障にはなりません。

    2026-08-26 アンテナアッテネータLOCALで8MHz帯を楽しむ




        SSR-1のアンテナ入力から高周波増幅段までの回路を見てみます。 とてもシンプルですね。

        ホイップアンテナはプリセレクタのハイインピーダンス同調側につながっていますが、 外部アンテナ端子はローインピーダンスでアンテナコイルを駆動するようになっていますね。 ICF-5900 などのポータブル短波ラジオの「外部アンテナ端子」がセラミックキャパシタ1個でホイップアンテナにつながっているだけのオモチャであるのに比べると、 ここはひとまわり本格的です。

        シンプルなプリセレクタの出力側には、 過大入力クリップ用ダイオードが設けられています。 ここには1S1588シリコンダイオードが用いられていて、 プリセレクタ出力を0.6V以内に抑えます。 AM放送大電力送信所の近くだとこのダイオードが導通して激しい混変調を起こす可能性がありますが、 幣ラボではその可能性は無いはずです。

        SSR-1の高周波増幅段はバイポーラトランジスタ1石のエミッタ接地で、 目を疑うほどにこの上なくシンプルな作り。

        SSR-1の相互混変調は第2混合で起きているのだろうと推測しているのですが、 潔いほどにシンプルなRFアンプを見せられると、 ここでも相互混変調が起きておかしくはないねと思います。 もしこんなシンプルかつローコストな回路でじゅうぶんな実用性が得られるのなら、 わざわざデュアルゲートMOSFETを使ったり、トランジスタ2石のカスコード構成にしたり、 はたまたいくつものフィルタを設けたりはしないでしょうからね。

    2026-08-26





        実験用パネルを使って、ポテンショメータ1個のシンプルな連続可変アンテナアッテネータをこしらえました。 一面相互混変調の海になってしまう夜の9MHz国際放送バンドでテスト。

        シグナルジェネレータで作った9.390MHzの信号をアンテナ経由で受信しているのですが、 一面の混変調で信号が完全に埋もれてしまっています。 アンテナアッテネータを効かせていくと、 あるところで相互混変調がすっと消え、 信号がクリアに浮かび上がってきます。

        テスト音源はParadoxさんのアルバム "Closed Session"からトラック4、 「夜が降りてくる ~ Evening Star」(原曲: 「夜が降りてくる ~ Evening Star」)。

    2026-08-29



    Click here to watch video on Twitter
    Click here for video download


        結局のところ、そういうことみたいです。 ここまで何日もあれやこれやとやってきたのですが。 内蔵ロッドアンテナなら大丈夫、 というわけなんです。 SSR-1はゲインの高い外部アンテナをつかうと破綻する、 というだけの話みたいなんです。 RQ-554 みたいな中学生向け短波つきラジカセじゃあるまいし、 そこまでひどいはずもなかろうと思ってきたのですけどね・・・。

        テスト音源はParadoxさんのアルバム "Closed Session 2"からトラック9、 「夜が降りてくる ~ Evening Star (Remix)」(原曲: 「夜が降りてくる ~ Evening Star」)。

    2026-08-29



    Click here to watch video on Twitter
    Click here for video download


        要するに、相互混変調が気になるようならアッテネータを入れなさい、 というのがSSR-1の使い方ですね。 ユーザーマニュアルにもそう書いてありますからね。





        ホイップアンテナでは混変調問題は出ませんが、 感度はどうしても不十分だし、 室内のノイズをたくさん空けてしまいます。 外部アンテナを使うな、というのは禁欲すぎます。

        使っているロングワイヤーアンテナは8MHz近辺に最大ゲインがあり、 15~16MHzあたりでは感度が下がります。 このあたりだとアンテナアッテネータスイッチはDXポジションのままで問題は出ません。

        大きなアンテナをつなぐとひどい相互混変調が起きる、そんなときはアンテナアッテネータをLOCALにせよ。 おそらくこれがSSR-1の実力なのでしょう。 そうやって使えばじゅうぶんに使えるのですが、 やはり不満が募りますね。 いつかはこの問題の改善に取り組むべきでしょう。

    2026-08-30 ノーマルSSR-1の実力限界を改めて知る






    SSR-1の評価

        実際にSSR-1をしばらく実用しての観察をもう一度まとめます。

    相互混変調がひどい

        アンテナ入力が大きいと激しい相互混変調が発生し、 ダイヤルのいろいろなところで聞こえるはずのない信号が聞こえてしまいます。 付属ホイップアンテナだけで使っている場合は大きな問題にはなりませんが、 しっかりした外部アンテナを接続すると問題が顕著です。 昼間はまだ運用可能ですが、 夕方になって7MHz帯や9MHz帯で大陸からの強力な信号が入りだすと、 まるで熱を出してうなされているかのような大混乱な状態になります。

        リアパネルのアンテナアッテネータスイッチをLOCALに切り替えることによって問題はかなり軽減されて実用可能な状態になりますが、 受信機の感度は大きく下がってしまうわけですから、 微弱な信号を受信することはできなくなってしまいます。

        この問題は高周波増幅段の能力不足でも起きますが、 SSR-1の場合はこれは主として第2周波数変換段の回路の設計に起因していると思われます。 根治するには当該回路の完全再設計が必要なようす。 この弱点は後期型SSR-1でも対策が施されているようには見えず、 よって同型機であるLOWE SRX-30もStandard C6500も同じ問題を抱えているはずです。

    SSB/CWでの受信ピッチが安定しない

        SSB/CWでの受信ピッチが安定せず、 CW電信やSSB電話を聞くと、 じゅうぶんに了解はできるものの、 かなり気持ちの悪い復調音になってしまいます。 AMの国際短波ラジオ放送番組を聞く場合はほとんど気がつきませんが、 FT8のデコードはほとんど不可能です。

        SSR-1の復調ピッチ不安定の原因はおおきく3つあります。

    1. 電源電圧変動の影響

    第3局発回路とBFO発振回路の電源は専用の安定化回路は持っておらず、 他のすべての受信回路と同じ電源バスから取られています。 電源電圧の変動や受信機の消費電力の変動の影響を受けやすくなっています。

    2. 第3局発の周波数が変動する

    第3局発の発振周波数は、第2中間周波増幅段の動作状態に応じた同調回路負荷の変動の影響を明確に受けます。 第3局発の出力にはバッファは設けられていないことも原因の一つです。

    3. BFO発振のプルイン

    BFO発振回路にはバッファは持っておらず、 発振回路が直接プロダクト検波回路をドライブします。 ここで入力のキャリアレベルに応じてBFO発振周波数が明確に変化してしまいます。 これは受信音がチャープを伴って聞こえてしまう理由です。


    ディレイドAGCの動作開始が遅い

        本機はディレイドAGCを持ちますが、 入力信号がそれなりの強さになってようやくAGCが動作し始める感じで、 弱信号~微弱信号域ではAGCはほとんど聴いていません。 このため、微弱な信号を追っている場合、 頻繁なボリューム調整が必要になってきます。


        これらを総合して短波受信機としての性能を考えると、 SSR-1は1975年当時のトランジスタポータブル機に比べいくつかの点で明らかに優れており、 ホイップアンテナを使用して国際放送ラジオ番組を聴くという 「BCLラジオ」としての使い方ならじゅうぶんな性能を発揮できていますが、 通信型受信機としての期待値には及んでいない、 と言えます。

        なるほど、市井の評価に納得することができました。 しかしこれは見方を変えると、 SSR-1は1975年当時に 「トランジスタポータブル機以上・通信型受信機未満だけれど中学生にも手が届く高性能低価格モデル」 が意図され、そしてそれを実現したモデルだったのでしょう。

        そして、 基本的な受信機アーキテクチャは同一としながらも低価格に妥協せず、 すべてのステージを見直して1段2段高い性能を実現したのが、 SSR-1の1年後に発表された 八重洲FRG-7 なのだと言えると思います。





    ファクシミリがきれい

        JMHがとてもきれいに受画できました。 これは受信機が良いというよりも純粋に電波伝搬のコンディションが良かったというだけではありますが・・・ 気がついたらもう秋が来ていた、ということなんでしょうかね。

        いままでラジオファクシミリの受画にはKG-FAXを使っていましたが、 今回からMULTIPSKを使用。 MULTIPSKのファクシミリモードにはAFC機能があり、 受信機に周波数ドリフトがあっても自動的に白・黒のトーンをトラックしてくれます。 真空管式受信機や1970年代のトランジスタポータブル機が好きな幣ラボにとってこれは助かる!

        自動で周波数ドリフトをトラックしてくれるといっても、 短時間の変動にすぐさま追従してくれるものではありません。 右の画像の白ベタの部分をよく見ると、 わずかな濃淡の縦縞が見えます。 SSR-1の周波数のふらつきが原因です。






    ライトブルー

        ダイヤルバックライトのカラーフィルタを換え、 光源は白熱電球を止めて白色LEDに換えました。 いい感じになったな。

        SSR-1のパイロットランプは電源トランスの専用巻線で得られたACをシリコン整流ダイオードで半波整流したのちに平滑電界キャパシタで平滑して点灯されていますが、 リップルは明確で、LEDはわずかなちらつきがあります。 カメラで写真を撮ろうとするとそれは明らか。 普段使いではあまり気になりませんのでそのままにしていますが、 3端子レギュレータくらい奢ってあげてもいいかな。

        いろいろ事情があってシグナルメータの透過照明を塞ぐことになってしまいました。 メータは白色バックグラウンドの目盛板に交換したいと思っているので、 いまはこのままにしておきます。

    2026-09-05 ダイヤルバックライトを白色LEDに交換 - バックライトカラー修正





    周波数安定度

        SSR-1の電源投入後の周波数ドリフトのようすを測ってみました。 SSBシングルトーンを受信したときのオーディオ周波数の変化で測定。 朝に電源を投入してからの変化を2回、2日にわたってテスト。 電源投入直後に200Hzほど復調ピッチが高くなり、 その後低下します。 USBモードで測定しているので、 復調ピッチが下がるということは受信周波数は高くなっていくということです。

        ウォームアップに1時間30分ほどかかっているように見えますが、 これはその間の室温上昇の影響のほうが大きそうです。 同じ一定室温で測らないと不公平ではありますが、 同年代のトランジスタポータブル短波ラジオに比べるとはるかに優秀、 と言っておいて間違いなさそうです。






    Sメータ

        SSR-1を使っていて絶えずいまひとつに思えるのがシグナルメータ。 黒の目盛盤にグリーンの透過光が浮かび上がるのはきれいではあるのですが、 照明は指針をうまく照らしてはくれず、視認性がいいとはいえません。

        そこでメータを改造することにしました。 同じ形の新品メータを買ってきて目盛盤をSメータとして作り直したのですが、 残念、このメータはSSR-1オリジナルのメータに比べて電流感度が10分の1ほど。 メータアンプを作って追加してあげればいいのですが、それも面倒で。

        なので、思い切ってオリジナルのメータを取り外し、 目盛盤を撤去してSメータの目盛を貼り付けました。

        ダイヤルに合わせてライトブルーにしたかったのですが、 オリジナルのメータはボディの樹脂の黄変が進んでいて、 ブルーのフィルムを使ってもきれいなブルーの透過光が得られません。 結局は樹脂の色そのまま、 また光源はオリジナルの電球そのままにして、 ペールオレンジにしました。

        メータとダイヤルでちぐはぐな印象はぬぐえないのですが、 メータとしては視認性は大幅向上。 受信機としてずっと使いやすくなりました。

    2026-09-09 メータ改造






    つづく・・・


    Go to Back to Radio Restorations
    Go to NoobowSystems Lab. Home

    http://www.noobowsystems.org/

    Copyright(C) NoobowSystems Lab. Tomioka, Japan 2026.

    2026-08-16 Page created. [Noobow9100G @ L1]
    2026-08-19 Updating. [Noobow9100G @ L1]
    2026-08-20 Updating. [Noobow9100G @ L1]
    2026-08-22 Updating. [Noobow9100G @ L1]
    2026-08-24 Updating. [Noobow9100G @ L1]
    2026-08-29 Updated and Released. [Noobow9100G @ L1]
    2026-08-30 Updated. [Noobow9100G @ L1]
    2026-08-31 Updated. [Noobow9100G @ L1]
    2026-09-01 Updated. [Noobow9100G @ L1]
    2026-09-05 Updated. [Noobow9100G @ L1]
    2026-09-06 Updated. [Noobow9100G @ L1]
    2026-09-11 Updated. [Noobow9100G @ L1]