NoobowSystems Lab.

Radio Restoration Projects

SBE SB-36
Linear Systems
SBE SB-36
HF SSB Transceiver
(1972)

PRELIMINARY UPLOAD
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ここはどこ

    現在受信している、あるいは送信している周波数を正確に知りたい・・・ この素朴な無線オペレータの願望はしかし、ずいぶん長い間叶えられませんでした。 真空管式無線機の全盛期になってさえ、多くの安価なアマチュアの機器では10kHz台が読める程度で、 1kHz台を正確に知るには高価で精密な装置、または何らかの手間のかかる外部計測装置を要しました。 たいていは使用のたびにキャリブレータを用いた校正が欠かせなかったし、 機械式ダイヤルで1kHz台までのデジタル直読を実現した機械はコリンズR-390/R-390Aなどのごく限られた高価なモデルだけでした。 コリンズの機構はまさに芸術品であり、ハリクラフターズはデジタル1kHz直読機構にチャレンジしたものの、 さまざまな問題から実用化を果たせないままその歴史を閉じてしまっています。

    複雑な機構、手間のかかる調整、不足がちな精度・・・ これらの悩みを過去のものとし、長年の夢をあっさりと現実のものにしたのは半導体技術の進歩でした。 1960年代の終わりに登場した電子式デジタル周波数表示は、 まさにオペレータの待ち望んだ技術革新でした。
    1970年12月、日本国内で初のデジタルリードアウト機が フロンティア・エレクトリック社 から発売されました。 DIGITAL 500D と呼ばれたそのHFトランシーバは、ニキシー管による0.1kHz直読という夢の機能に加え、 終段入力500Wというハイパワーのエポックメイキングなモデルでした。 DIGITAL 500Dは、米国では遅れて1971年11月、QST誌上で ROBYN DIGITAL 500 としてデビューします。 価格は$895。 すでにデジタルリードアウト機はシグナル・ワン社CX7Aが存在していましたから、アメリカ初のデジタル機とはなりませんでした。 しかしCX7Aは$2195もする高級機でしたので、半額以下のDIGITAL500はデジタルをぐっと身近にしたといえます。


SBE SB-36

    Sideband Engineers (SBE) SB-33 / SB-34 はそのユニークな回路構成と最新鋭トランジスタ技術の利点を生かした軽量コンパクトな車載向けのトランシーバでしたが、 ハイパワーの国アメリカでは固定機としてはパワー不足でした。 ので、SB-33/34は専用のリニアアンプとセットで利用されることが多かったようです。 SB-34はヒット作となりましたが、後継機SB-35 (1970年10月)はその方向性を見失って失敗してしまいます。 多くのメーカーが日本製の低価格な機器のOEMに路線変更していく中、SBEもとうとう自社開発を断念し、 日本製のトランシーバのOEM供給を受けることになります。 日本製機器はもはや時代遅れの安物ではなく、品質のよいモダンなモデルとして受け入れられ始めていました。

    SBEが選択したのはDIGITAL 500D。 エンジニアリングのブランドとしてSideband Engineersの名前は残ったものの、実際の会社運営はカリフォルニア州ワトソンビルの Linear Systems Inc. です。 こうして1972年3月、 SBE SB-36 がQST誌上にデビューしました。販売店の広告には、「SBEにより改良され、 Linear Systemsによってバックアップされている」 とあり、先行モデル ロビン DIGITAL500Dの改良機であることをうかがわせています。 価格はパワーサプライ込みで$895。同じ月に八重洲FT-101は$559.95でしたから、周波数カウンタぶん高い、ということでしょう。

    SBE SB-36は、すべて2S品番で始まるトランジスタをもつ純日本製。 それまでのSB-33/34の設計コンセプトが受け継がれることはありませんでした。 回路図には英語を母国語とするエンジニアなら絶対に間違えないスペルミスが見受けられますし、 手書きの数字の書体は明らかに日本人の手によるものです。

    一方で回路図をみると、きれいに清書されたオリジナルの回路のあちこちに明らかな追加修正が入っています。 素子の番号を振りなおす手間も省いていてアルファベット添え字でごまかしていたり、 番号がいきなり飛んだり。 クリスタルフィルタの入力側などは大きな修正が入っていて、 既存のスペースに追加のトランジスタを2石、無理矢理押し込んでいるために極端に混んでいて、 ペン書きの文字がつぶれてしまっていて解読不能!! ほとんど納期前夜のやっつけ徹夜設変、 もしくはエキスパートなエンドユーザによる雑誌の改造記事のような状態になってしまっています。

    この追加修正の手書き書体は日本人のものではないような気がします。 これが「SBEによって改良され」なのでしょうか? もしそうなら・・・サンフランシスコやサンノゼまでの直行便もなく、 電子メールも共有ファイルサーバもネットミーティングもなく、 経費的に毎日数時間の国際電話会議をすることもできない当時にカリフォルニアと日本とでエンジニアが意思疎通するのはさぞかし大変なことだったでしょう。
    1973年09月号でSB-36は定価$969のところ$669まで、なんと$300も値下げされ、販売に苦戦していることをうかがわせます。 FT-101B($649)とほとんど同価格帯でデジタル表示つき、 しかしデジタル表示の利便性よりも基本性能でFT-101Bに対抗できなかった、というところでしょうか。 1974年05月号に半ページの広告がありますが、それを最後にSB-36はQST誌から消えます。

SB-36 Operation Manual

回路構成

    SB-36はデジタル表示モデルだから送信機パワー段を除いてはすべてソリッドステートだろう・・・ と思いきや、実は受信回路も含めて真空管とトランジスタが混在しているハイブリッドで、 送受信切り替えはリレー式。 SBEの処女作SB-33が受信回路フルソリッドステートだったこと、 またSB-34では電子式送受信切り替えが実現されていたことを考えると、 時代に逆行しているような感があります。 これは、SB-36がSBEの手による設計ではないことの顕著な表れといえるでしょう。

    SB-36はモービル機ではありません。 デスクトップ機であれば、トランジスタの小型・軽量・低消費電力というメリットは絶対的な優位とはならず、 純粋に受信用デバイスのパフォーマンスを考えれば当時のトランジスタよりは真空管のほうが有利、 という判断だったのかもしれません。

    デジタル周波数表示はVFOの周波数を表示する周波数カウンタ方式。PLLシンセサイザではありませんから、 周波数安定性は結局VFOの安定度に依存します。 ダイヤル盤メカが周波数カウンタに置き換わっただけだ、と考えれば、 デジタルテクノロジーは無線機の本質的な性能には全く関与していないということになります。
SB-36 Schematic Diagram

SB-36 Schematic Diagram

使用真空管

    SB-36には真空管が合計6本使用されています。 終段管はテレビの水平偏向出力用として開発されたビーム出力管6KD6で、2つのアンプがパラレルに接続されています。 ヒータは6.3V 2.85Aと強力です。 ファイナルをドライブするのは6BQ5パワー管。

    送信時に使用されるもう一本の真空管は6EJ7。 バランスト・ミキサによって生成された9MHzのSSB信号と、 HFOとVFOの出力を混合した周波数が加えられ、6EJ7の出力から目的周波数のSSB信号が取り出されてドライバに伝えられます。

    受信時には2本の真空管が使用されます。 高周波増幅に使用されているのが6BZ6 セミリモートカットオフ ペントード。 もうひとつは受信用ミキサの6AW8A。 高周波信号と、HFOとVFOの出力を混合した周波数が加えられ、9MHzのSSB信号が取り出されます。 6AW8Aは3極・5極の複合管ですが、3極管部は使用されていません。
DESIG. TYPE FUNCTION
V1 6EJ7 Sharp Cutoff Pentode Tx RF Mixer
V2 6BQ5 Power Pentode RF Driver
V3 6AW8A
Hi-Mu Triode &
Sharp Cutoff Pentode
Rx RF Mixer
V4 6BZ6 Semiremote Cutoff Pentode RF Amplifier
V5 6KD6 Beam Power Tube Power Amplifier
V6 6KD6 Beam Power Tube Power Amplifier

高周波増幅と周波数変換

    アンテナからの信号は、9MHzトラップを通過した後、 V4 6BZ6 セミリモートカットオフ5極管で高周波増幅されます。 RFゲインの調整は、6BZ6のコントロール グリッドのバイアス電圧を変化させることによって行われます。 高周波増幅管はAGC制御を受けます。
    6BZ6のプレートから取り出された信号はただちにV3 6AW8Aの5極管部に入ります。 6AW8Aは周波数変換管として動作しており、カソードに局部発振周波数が注入されています。

    局部発振周波数の生成はプリミックス方式で、 各バンドごとの固定された水晶発振出力(HFO周波数)とVFO周波数(5.0〜5.5MHz)から局部発振周波数が生成されています。 USB/LSBとで局部発振周波数は同一です。 水晶発振はTR10 2SC717で行われており、プリミックスはTR11 2SC717。

    3.5MHz帯ではHFOは停止し、入力周波数(3.5〜4.0)とVFO周波数(5.0〜5.5)の和で直接9MHzの中間周波数を生成します。 この構成のため、3.5MHz帯ではサイドバンドが反転します。 3.5MHz帯SSBは通常LSBが使用されますが、モードスイッチはUSBにセットします。

    この部分はすべてFEP-503 DRIV. RF. PRE MIX & OSC ボードに実装されています。 真空管を4本とトランジスタを2つ、そして各バンドのコイルが実装された複雑なボードです。 本機に付属してきたマニュアル中のボードレイアウト図と実際のボードのレイアウトにはかなりの相違があります。 明らかに基板起こし直しという大設変が入っています。 回路そのものや素子定数が変わっていなければいいのですが、 その保証もなし。 トラブルシューティングには回路図と実際のボードを比較しながらの確認作業が必要です。 FEP-503ボード上にはパイロットランプがひとつ直付け実装されていますが、これは真空管のヒータ電流のバランスをとるためのもの。

VFO

    ダイヤルは1回転で送受信周波数は約35kHz変化します。 ダイヤルつまみ外周フランジには360度を50等分した目盛りがありますが、 周波数変化量からしてこの目盛りは単なる飾りにしかすぎません。 ダイヤルメカニズムは精密なギアドライブで、 ダブルギアによるバックラッシュ防止機構になっています。

    本機には外部VFO接続のためのオプションコネクタが用意されています。 外部VFOを使用しないときは、右図に示すようなダミープラグを挿し込んでおきます (写真では内部説明のためダミープラグのカバーを開けています)。


Dummy plug must be inserted when external VFO is not used. The manual does not have a description of the interconnection of this plug - if you lost the dummy plug, you need to study the circuit diagram, or the actual wiring inside the transceiver. Alternately --- and possibly the easiest ---, check out this picture.

ボード構成

    SB-36を構成しているPCBは以下のようになっています。

DESIGNATION FUNCTION REMARKS
FEP-501
Microphone Amplifier/ Side Tone Oscillator

FEP-502
DSB SSB Amplifier and Noise Blanker

FEP-503
Driver RF Pre Mixer and Oscillator

FEP-504
Crystal  Oscillator

FEP-504A
HF Cristal PCB
各バンドのHFオシレータ用の水晶発振子と調整用トリマ キャパシタが実装された小型の基板です。バンド切り替えロータリースイッチ ノブのすぐ裏に取り付けられています。 水晶発振子はソケットで実装されており、オプション バンド用の空きソケットが2つあります。
FEP-505
VOX and Anti-Trip

FEP-506
Carrier Oscillator

FEP-507
AF Power Amplifier

FEP-508
Receiver IF and AGC Amplifier

FEP-509
VFO

FEP-510
Counter

FEP-511
5.6MHz Oscillator/ Upper and  Lower Limit Light

FEP-531
Power Supply

FEP-532
20V Regulator2 パワーサプライ ユニットから供給されたDC30Vから安定化されたDC20Vを生成します。 シャーシ上面に垂直に取り付けられています。

まずは受信機を試す

    前オーナーはこの機械を実際に運用し、「案外いい音だ」とのレポートをもらったと書いています。 そのときパワー計が100Wまでのものしかなかったのでパワーを100Wに抑えて運用していたが、 そのうちポンという音とともにパワーが30Wしか出ないようになってしまった、とも書いています。 どこかが故障しているのは確かですが、それでも実際に使用可能だったようですから、安心してテストを始めましょう。 素性がわかるまで送信テストは実施しないほうが無難なようです。 SB-36 Name Plate

電源装置

    で、純正パワーサプライを接続しパワーアップすると、オレンジ色のきれいなニキシー管表示! こりゃいいぞと思ったら、パワーサプライからモクモクと白い煙が立ち昇り始めました!! おおおっ!! 緊急停止っ!!

    煙が消えたパワーサプライの中をケース上面のパーフォレーションから覗くと、 なにやら綿のようなものが詰まっています。 ああ、ひょっとしたら前オーナーはこの機械を発送するにあたり緩衝材を詰めていてくれたのかも。 さっそくケースから中身を取り出して見てみると、 それは緩衝材ではなくて、スピーカの音をよくするためのグラスウールでした。 し、グラスウールは電源回路のコンポーネントには触れていません。
    ケースから取り出したパワーサプライをスピーカ面を下にして置き、再度スイッチON。 と、今度は何事も起きません。 はて。

    テスト中にすこしパワーサプライを動かそうとしたら、シャーシ下面からパチッと火花が飛びました。 その辺にはELNA製の電解キャパシタが4個、直並列接続されて1個のキャパシタを形成しています。 はて、ヘンな使い方だな。 で、それらのキャパシタは当初は接着剤でシャーシに貼り付けられていたようですが、今は接着剤がとれてブラブラしています。 このためにキャパシタのリード線が近くの抵抗器のリード線に接触してショートが発生したのかも。 もしかしたらこの4つのキャパシタは、素人修理なのかも。

    いずれにせよ、注意しながらもう少し様子を見てみましょう。 800Vの出力電圧をもつこのパワーサプライは間違いなく危険な装置です。


音量・音質

    受信音量は十分で、ボリュームコントロールの動きもスムース。 ですが、SSB受信の音質はかなりひどいものです。 ひどくピーキーでキンキンした音だし、しかも濁っています。 10分も聞いていると頭痛がしてきそう。 このひどい音質は何らかの故障によるものであることを期待しましょう。 これがノーマルの音だったら、他にトラブルがないとしてもこのリグは棚の飾りにしかなりません。

感度

    ざっとテストしてみた範囲では受信感度は良好のようですが、14MHz帯だけどうも反応がないようです。 シグナル ジェネレータを接続してテストしてみると、14MHz帯では受信はしているものの、出力を30dBuまであげてかろうじて受信音が聞こえ出す程度。 7MHz帯などでは、シグナル ジェネレータの出力を最低の-9dBuに絞っても信号が確認できます。
FREQ Signal Level for
S=3 reading S=9 reading
3.7MHz 29dBu 37dBu
7.2MHz 29dBu 37dBu
14.0MHz 61dBu 68dBu
21.2MHz 28dBu 36dBu
28.2MHz 36dBu 43dBu
28.7MHz 34dBu 42dBu
29.2MHz 39dBu 47dBu
29.7MHz 46dBu 54dBu

Sensitivity measurement result before fixing/alignment

周波数ドリフト

    正確には測定していませんが、受信時の安定度は思いのほか良好です。 デジタルシンセサイザではありませんからビクともしないといったものではありませんが、 深夜の3.5MHz帯SSBのOMさんのラグチューを受信しているとき、15分に一回程度わずかにダイヤルに触れるだけですみます。 コールド スタートしてからダイヤルに触らずにいても、表示のズレは1kHz以下。 良好です。 VFOダイヤルのタッチはスムースで、33年経過した現在でもなんら問題はありません。

RIT

    本機にはRITコントロールがあります。 RITスイッチを押し込むと小さなネオンランプが点灯し、RITつまみが有効になります。 RITつまみのセンター周波数は2.1kHzほどずれているので再調整が必要。 さらに、RITをONにすると受信音の濁りがことさら顕著になり、了解度がきわめて悪くなります。 これは明らかな故障です。 RITコントロールはポテンショメータですが、ガリは全くありません。

周波数表示異常

    自慢のニキシー管デジタル表示機能は幸いに動作していますが、完全ではありません。 7.020MHz±5kHz程度の位置で、実際の受信周波数は正常なのに、表示がだいたい7.045MHz±5kHzの範囲でばらついてしまいます。 この現象はどのバンドにしても同じで、3.520MHz / 7.020MHz / 14.020 / 21.020 / 28.020 / 28.520 / 29.020 / 29.520 MHz の前後5kHz程度で発生します。 表示が乱れている範囲でもダイヤルを回すと受信周波数はなめらかに変化しますから、 VFOバリコンのシャフトの接触不良とかではなくて、周波数カウンタの問題なのだろうと推測します。
SB-36 Frequency Counter Block Diagram

SB-36 Frequency Counter Block Diagram

低周波段のチェック

    この1年ほどラボで使っていたメインアンプはシャープ製のミニコンポで、 これはデッキやCDプレーヤなどが壊れているものを親族から譲り受けたものですが、 このパワーアンプ部もしばらく前に吹き飛んでしまったのでした。 しかしこの半年というものとにかく仕事で忙殺されていて、 修理を試みることも別のアンプを用意することも全くできませんでした。 Noobow0208コンピュータのオーディオ出力を送信しているRamsey AM-1のAM電波をポケットラジオで聞いていたのです。 大改造の後に低域カットも入れたAM-1の電波はAMラジオとは思えないいい音なのですが、 しかし所詮はポケットラジオ、毎晩これでは癒される心も癒されないままでした。 ラボに戻っても何もする気になれず、ラジオもいじらず、自転車にも乗らず。 強烈な仕事のプレッシャーに押しつぶされ、実はうつ病状態だったのかもしれません。

    で、今日は久しぶりに夜10時前にオフィスから逃げられたので、本当に久しぶりにオシロスコープの電源を入れました。 ベンチの上でただ置き去りにされていたSB-36に火を入れ、このオーディオアンプを試すことにします。

    SB-36のオーディオアンプは、トランジスタ4石からなるシンプルなSEPPパワーアンプです。 出力トランスは持たず、スピーカ出力は2SC496と2SA496のコンプリメンタリペアの中間点から200μFを介して取り出され、 リアパネルのスピーカ出力RCAジャックに出ています。 フロントパネルのヘッドフォン ジャックには、ここからさらに600Ωの抵抗を介して出力が取り出されています。 ヘッドフォン ジャックにプラグを差し込むと、リアパネルのスピーカ出力は切れます。 マニュアルによると最大出力は10%歪時2.5W。

    初めてSB-36の上下のカバーを開け、オーディオボリュームのポテンショメータにオシロスコープをつなぐと、 ポテンショメータの両端には0.5V程度の直流が出ています。 これでいいのかな?

    オーディオ ライン信号を入れると、SB-36のオーディオ段はいい音で鳴り出しました。 低音から高音までバランスが取れていて、音量も十分。 パスブーストしても低音のピークで濁ったりしません。 動作には問題なしです。 小型ブックシェルフ スピーカで聴く音楽はもちろんモノラルですが、安物のポケットラジオよりははるかにいい音です。 いくらか癒され始めてきたような気がしました・・・。

    スピーカ出力を取り出す200μFのリークとかプッシュプルのバイアスとか点検すべき項目も残っていますが、 音は良好なのでここはなにもせずにおきます。 というより、飲み始めたビールが効いてきて、もうただ音楽を聴いていたいだけの気分になってしまったからです。 し、高圧パワー部をもつこの機械の内部を酔っ払った状態でつつくのは絶対に避けるべきです。

安定化電源回路

    受信音質が濁る、またRITをONにするとその傾向が一段と顕著になる、という事実から、VFO回路への電源の平滑がうまく行っておらずにリップルが乗っているのではないかと思われました。 電源電圧の変動に応じて発振周波数が変化し、そのため音が濁るという仮説です。 そこでVFO回路への電源を調べます。

    ソリッドステート回路各部への電源供給はDC20V安定化電源回路によって行われます。 この回路は一枚のボードに構成されており、シャーシ上側中央部に縦置きされています。 マニュアルのレイアウト図を見ると、しかし、実機とは全く違います。 し、回路図とレイアウト図で回路定数が違っています。 あれまぁ。
    ただし回路構成にあまり大きな差はなく、入力が非安定のDC30Vで、パワートランジスタは2SC491で、出力側にヒューズが入っているというのは同じ。 

    で、電圧を観察してみると、入力は平均DC30Vで4Vp-p程度のリップル、出力は平均DC28V程度で3Vp-p程度のリップルが乗っています。 どうも、ほとんど安定化できていないようです。 出力側の平滑キャパシタは25WVの220μFですが定格電圧を超えており、また各部のソリッドステート回路には設計値DC20Vを40%も超えたDC28Vが印加されているわけです。 これは望ましくありません。 ううむ、この状態で20時間は動作させてしまったぞ。

    回路図から原因を推測すると、パワートランジスタTR46のショート故障(導通しっぱなし)、TR45のショート故障、TR47のオープン故障、トリマの接触不良によりTR47のベース電位が上がらず、ツェナーD31のオープン故障・・・といったところでしょうか。
    TR45のベース電圧を見てみるとDC30Vあります。 トリマポテンショのセンターもDC30V程度。 ところがTR47のエミッタ、つまりツェナーの上側の電位はほぼ1V。 ポテンショメータの上側はDC28V程度、下側はDC25V程度。

   この安定化電源回路の代わりに外部から安定したDC20Vを供給して試してみます。と、案の定、受信音の濁りはかなり低減され、CWの受信音もクリスプになりました。 周波数表示の乱れもなくなりました。 この基板のためにいろいろなトラブルが出ていたようです。 DC20Vを外部から供給した場合の全電流は約200mA。 パワートランジスタが約10Vの電圧降下を起こすためにはパワートランジスタは約2Wの熱を出す必要があります。 送信時の消費電力は試していません。

    基板を外してみると、半田面にはFEP-532Aと記載されています。 末尾の"A"は改良タイプを示しているのでしょう。 使用されているコンポーネントの定数がいくつか違い、部品のレイアウトはかなり異なりますが、回路そのものは同じ。 ただし半田面にセラミックキャパシタがひとつ追加されています。

DC20V Regulator Board Overview

The malfunctioned voltage regulator board resulted in the unregulated DC30V output. It caused several problems including distorted audio, unbalanced LSB carrier and unstable readout of thefrequency counter.

Revised DC20V Regulator Board Circuit Diagram



    まずは電圧制御用のトランジスタの故障かなと思い、手持ちの適当なトランジスタと交換してみました。 電源を入れてみると、あああっ!! ダーリントン駆動用の2SC373がパキッという音とともに真っ二つに割れてしまいました。 あちゃぁ。
    もう一度基板を取り外し、パワートランジスタ2SC491を取り外してチェックしてみると、ベースに何もつながなくてもコレクタとエミッタの間が順方向・逆方向ともに導通状態にあります。 どうやらパワートランジスタのショート故障のようです。
    たまたまアメ横に立ち寄る機会があったので何件かの店に尋ねてみましたが2SC491の在庫は無し。

    2ヶ月以上たってようやく秋葉原に出かけるチャンスができ、トランジスタを買いました。 2SC373の在庫はなかったので、電圧検出用とダーリントン駆動用のトランジスタには回路図どおりの2SC458を使用することにします。
    トランジスタを入手して2週間後、ようやく半田こてに火を入れてトランジスタを組み付けました。 この基板の半田面にはペーストがたっぷりで、たった3個のトランジスタ交換作業をしただけなのにラボ中パーツ屋さんのにおいに包まれてしまいました。
    電源を入れてみると、あれ、出力が全く出ていません。 今度はパワートランジスタのオープン故障かな。 買ったばかりの新品パーツとはいえ、ひょっとすると製造から30年以上経っているかもしれません。 不思議ではないかも。 電圧制御用トランジスタを取り外して試してみると、出力はほぼ最高電圧が出ます。 パワートランジスタとダーリントン駆動トランジスタは動作しているようです。

    もう一度電圧制御トランジスタ周辺を調べると、基準電圧発生用のツェナーに電圧が出ておらず、1V近辺のままです。 この1S338ツェナーは約14Vのツェナー電圧をもち、SB-36サービスマニュアルによればこの部分には13.2V出ているはず。 どうやらツェナーダイオードのショート故障も発生していたようです。 パワートランジスタ故障との因果関係は不明ですが、共倒れした可能性もあるかも。 ラボにはダイオードはそれなりに在庫があるものの、ほとんどがジャンクパーツでツェナーかどうかさえ不明。 ひとつひとつチェックするのも難儀だし。もう一度秋葉原に出かけるか、通販で買うようでしょうか・・・。 1S338の規格は以下のようです。

1S338 New Japan Radio Co. Ltd. Shape Factor:7B EIAJ SC-1A
Maximum Rating P=250mW
Zener Voltage Vzmin=12.4V Vztyp=14.3 Vzmax=16.1
@ Iz=5mA
Maximum resistance for operation rz=55Ω @Iz=5mA
Temperature Coefficient of Vz
0.08%/degC
Reverse Voltage Characteristics
IR maximum 1uA @ VR=11V
2SC491

    A power transistor 2SC491 found to be defective; it conducted regardless of the base current. Replacement component costed 250JPY at Akihabara.


   

発光ダイオード

    小学校4年のとき、トランジスタ2つでLEDを点滅させる回路を作ろうと、自転車を1時間以上も漕いで模型屋さんで部品を買いました。 紅色に輝くTLR-105はそのとき本当の宝物でした。 そんな記憶もあり、必要以上についぞ買い込んでしまった発光ダイオードがラボにたくさんあります。 そういえば、発光ダイオードの順方向電圧降下は温度特性も良くツエナーの代わりに使える、とかいう記事をトラ技かなにかで読んだことを思い出しました。 いっちょ試してみるか。

    小型の赤色LEDを取り出し、ブレッドボードを用いて入力電圧20〜30Vのときに13.5V近辺になるような設定をトライしてみると、電流制限抵抗4.7kΩでLEDを8本直列にしたときに概ね目的どおりになりました。 次に、ユニバーサル基板の切れ端を使って安定化電源ボードに実装してみました。 本来の電流制限抵抗は820Ωですが、これを4.7kΩに交換しました。
     仮組みして試すと、結果は予想以上に良好です。 トリマで出力電圧を20.0Vに簡単に調整できました。 気をよくしてボードを本来の位置に取り付けます。 紅色LEDが8つ輝くその様子はなんとなくハイテク風。 DC20V安定化電源回路が正常な動作を再開しました。

     安定したDC20Vが供給できるようになったSB-36は、それだけでいくつかの問題点がクリアできました。 受信音の濁りは解消しましたし、周波数カウンタの不安定な動作もなくなりました。 RITのセンター周波数の再調整は必要ですが、RITがONであってもOFFのときも音質に変化はありません。 LSBポジションのときにSメータが大きく振れて感度が下がるという現象も消えました。 受信周波数も安定しており、1時間以上ダイヤルに手を触れず7MHzのSSB局を連続モニタできます。
Voltage Reference using LEDs
A zener diode was also found to be defective. Without a replacement component stock in lab, eight LEDs were series connected so that they would work as a voltage reference. This gimmic worked better than expected; this tentative solution would be the permanent one.

RITのセンターを出す

    SB-36にはRITがあり、フロントパネルのRITボタンを押すとRITランプが点灯し、RITつまみで必要に応じて受信周波数のみ上下させることができます。 RITを有効にして受信周波数を変化させているとき、デジタル周波数ディスプレイには実際の受信周波数が表示されます。 つまり、RITつまみの操作に応じて表示も変化します。

    本来はRITつまみがセンターにあるとき、RITスイッチをON/OFFしても受信周波数は変化しないはずですが、 この個体ではRIT ONのとき受信周波数が0.7kHzほど低くなってしまいます。 これでは具合が悪いので、RITのセンターを調整しましょう。
    回路図を見ると、RIT調整トリマはVFOボード上にあります。 VFOのシールドケースを開け、調整用ドライバでこのトリマを回せばRITのセンター周波数が・・・変わらない!! やや、おかしいぞ。 どこか壊れているのかな。
    もう一度よくよく回路図を読んでみると・・・これはRITのセンター調整じゃあないぞ!!

    SB-36のVFOはバンド設定にかかわらず5.0MHzから5.5MHzの周波数を発振します。 VFO発振はTR-30 2SK25 にて行われます。 周波数変化は超小型のバリコンを回すことにより行われますが、この同調回路にはD211 1S48 バリキャップが入っており、 RIT制御はこのバリキャップに印加する電圧を変化させることにより行います。
    バリキャップそのものは同調回路に常時接続されています。 RITスイッチがOFFの状態ではB1系電源(DC20V安定化電源回路の出力)を分圧した電圧が印加されます。 --- DC20V安定化電源回路の出力にリップルがあるとVFO周波数が変動するのも当然ですね。
    RITスイッチがONで、トランシーバが受信状態にあるとき、バリキャップにはB3系電源を分圧した電圧が印加されます。 RITコントロールはこの分圧回路に入ったポテンショメータです。
    RITスイッチがONで、トランシーバが送信状態にあるときは、バリキャップにはB3系電源ではなく、B2系電源を分圧した電圧が印加されます。 この分圧を微調整するのが、私がうっかり回してしまったトリマだったのです。 つまり、うっかり送信時の周波数を狂わせてしまいました。
    再調整は、トランシーバを送信状態にし、RITのON/OFFで周波数が変化しないようにトリマを合わせればいいわけです。 が、怖くていまだに送信状態にしたことがありません。 そもそも200W以上のパワーを許容できるダミーロードがラボにはありませんし。

    で、結局RITのセンターずれは、単にRITつまみの取り付けが狂っていただけでした。 つまみの固定ねじを緩めてセンターを出し、締めなおして完了。 なあんだ。

    ところでVFOボードはスチール製のシールド ケースに格納されていますが、 このケースは電磁的にVFO回路を保護するだけではないことに気がつきました。 VFOボードに強い光を当てると周波数がわずかに変化するのです。 おそらく透明ガラスに封入されたバリキャップが、光に反応してしまうのでしょう。

FEP-509 VFO Board

FEP-509 VFO Voard Layout

    When RIT switch is turned ON, receprion frequency slightly changed. Quickly referring the circuit diagram, I found a trimmer on the VFO board which controls voltage applied to a varicap. I rotated it, found no effect. Reading the schematic again, I realized it is not a RIT center adjustment but the transmit frequency adjustment.
    RIT center adjustment was done by loosening the RIT knob, slightly rotate and tightened again - simple. Transmit freuency trimmer should be adjusted, but I haven't tried to transmit the rig. I have no dummy load which is capable to handle power more than 200W.

4年ぶりに続きを

    ポゴがラボに来て、つかまり立ちができるようになると、 さすがに800Vの電源装置がむき出しに置いてあるのは危険すぎるので、 SB-36はケースのネジも締めないままラックにしまいこんでしまいました。 それから4年近くたち、ポゴは許された操作 --- HP1200Aオシロスコープの電源を入れることなど --- 以外は触れない節度を有してきましたので、TS-820Sの高圧電源の修理を行えました。 続いて、ほったらかしだったSB-36に戻ります。

    TS-820S をしばらく楽しんだ後にSB-36を使ってみると、あれれ、受信感度がとても悪い。 もちろん設計世代が違いますから劣っていても当然ですが、もうすこし聞こえてもよさそう。 ほったらかしにしている間に何か起こったのかな。 ろくに掃除をしないラボにカバーをかけずに放置したため、 内部は入手時よりもホコリに汚れてしまっています。 ごめんよ。
    ひとつすぐ気がつくのは、LOADコントロールシャフトからファイナルセクションのバリコンを駆動するためのラバーバンドが切れてしまっていること。 しかしこれは受信感度には影響しないはず。 もう一度、回路を勉強しながら楽しむことにしましょう。 ハイパワーダミーロードがないので送信テストは行っていませんが、 しばらく様子を見たところ以下の点が気になります。

  • 感度不良。 増幅段1段ぶん、またはそれ以上、ゲインが不足している感じです。
  • Sメータ動作。たぶんゲイン不足と関係していますが、ある程度の信号強度になるまでは振れません。
  • AGC動作。これも当然Sメータ動作と関連していますが、AGCがほとんど効いていません。
  • 音質不良。質の悪い携帯電話のようにキンキンしていて、歪っぽい音です。
  • ヒータ電流バランス用パイロットランプがときおり点灯しません。


  • AGC Amplifier

        感度が悪い/Sメータの振れがおかしい/AGCの利きが悪い・・・はすべて関連していそうです。 フロントパネルのRFコントロールをフルの位置から下げていくと信号もバックグラウンドノイズも滑らかに小さくなっていきますので、 高周波増幅管6BZ6のコントロール グリッドのバイアス制御はうまく行っている様子。 それでは判りやすいところでAGCラインの様子を調べてみます。

        AGC電圧はFEP-508 RX IF AMP & AGC AMPボードの中で、TR29によって生成されます。 TR29は回路図では2SC458ですが、実機では2SC372Yが使われています。 リングデモジュレータに入る直前の9MHz IF信号をSD-34ダイオード2本で検波し、その電圧レベルに応じてTR29 AGCトランジスタを導通させ、 コレクタ電圧を変化させます。 AGC回路は同じボード内のツェナー・ダイオードで作られる-9V電源を基準として使っており、 AGCトランジスタのコレクタ電圧は無信号時に0V、 最大信号時に-9Vまで下がる仕組みです。
        フロントパネルのAGCスイッチは、OFFにしたときにAGCラインの電圧を強制的に0Vにし、 またSLOWのときにはAGCラインに1μFのキャパシタを入れることによって電圧変化を緩慢にしています。

        TR29のコレクタから330kΩを通過した後のAGCライン電圧を見ながら S METER SCALEトリマを調整すると、 たしかに信号強度に応じて0Vから-9Vまで電圧が変化しているので、 AGCアンプとして動作している様子。 ただし、ときおりなにやらIFボードからのシューッ!という小さな音ともにAGC電圧が大きく負に落ちます。 およよ。 IFボード上のトランジスタのどれかが壊れかかっているようです。
    TR29 2SC372Y DC VOLTAGE @ NO SIGNAL AGC ON
    DESIGNED MEASURED
    EMITTER -8V -9V
    COLLECTOR 0V 0V
    BASE -8V -8V

    TR27 2SC372Y 3rd RX IF AMPLIFIER
    DESIGNED MEASURED
    EMITTER 6.6V 5.5V
    COLLECTOR 18V 19V
    BASE 7.2V 6V

    TR26 2SC372Y 4th RX IF AMPLIFIER
    DESIGNED MEASURED
    EMITTER 6.2V 6V
    COLLECTOR 14.5V 14V
    BASE 6.8V 6.5V


    SK41E

       
       
    TR28 2SK41E DC VOLTAGE
    DESIGNED MEASURED
    DRAIN 20V 20V
    GATE
    SOURCE 1.1V 50mV


    つづく・・・

    Attatchment: SB-36 Circuit Board Layout

    DESIG. FUNCTION
      FEP501 Microphone Amplifier & Side Tone Oscillator
      FEP502 / FEP508 Transmit / Receive 9MHz Amplifier
      FEP503 Transmit / Receive RF Amplifiers
      FEP504A HFO Oscillator
      FEP505 / FEP507 AF Amplifier
      FEP506 9MHz Oscillator
      FEP509 VFO Oscillator
      FEP510 Digital Counter
      FEP511 5.6MHz Oscillaotr / Upper and Lower Limit Lights
      FEP531 P/S High Low Voltage Rectifiers
      FEP532 20V Regulator

    Attatchment: SB-36 Service Data, excerpted

    DESIG. TYPE
    (DIAGRAM)
    TYPE
    (ACTUAL)
    FUNCTION LOCATION REPLACEMENT
    TR22 2SC496 Audio Power Amplifier, Complementary FP-507 AF POWER AMPLIFIER
    TR23 2SA496 Audio Power Amplifier, Complementary FP-507 AF POWER AMPLIFIER
    TR24 2SC733 Bias Control FP-507 AF POWER AMPLIFIER
    TR25 2SA495 Audio Driver Amplifier FP-507 AF POWER AMPLIFIER
    TR26 2SC458 RX IF Amplifier, #4 FP-508 RX IF AMP & AGC AMP 2SC372
    TR27 2SC458 RX IF Amplifier, #3 FP-508 RX IF AMP & AGC AMP 2SC372
    TR28 2SK25 2SK41E RX IF Amplifier, #2 FP-508 RX IF AMP & AGC AMP 2SK41E
    TR29 2SC458 2SC372 RX AGC Amplifier FP-508 RX IF AMP & AGC AMP 2SC372

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    http://www.noobowsystems.org/

    Dec. 16, 2002 Created.
    Mar. 11, 2003 Revised. Tested audio amplifier; found no problem.
    Mar. 14, 2003 Revised.
    Mar. 15, 2003 Revised. Problem confirmed on DC20V regulator board.
    Mar. 21, 2003 Revised. Power transistor in DC20V regulator board found to be malfunctioning.
    May. 01, 2003 Revised.
    Jun. 15, 2003 Revised. Regulator board revived with replaced transistors and voltage reference using 8 LEDs.
    Aug. 12, 2003 Revised. Added a link to a remastered operation manual. Reformatted.
    May. 16, 2006 Revised. Added a dummy VFO plug interconnection picture.
    May. 17, 2006 Reformmated.
    May. 07, 2007 Revised. Resumed restoration project.
    Nov. 27, 2009 Reformatted. Adapted Japanese text rendering behavior of Google Chrome 2.0.
    Nov. 27, 2009 Also uploaded the schematic diagram which is still on a way of retouching.
    Dec. 10, 2009 Uploaded the board layout.
    Aug. 21, 2011 Updated.
    Aug. 18, 2013 Updated.
    Dec. 08, 2014 Updated. Added a tag.
    Apr. 11, 2021 Updated. [Noobow9100F @ L1]